吉田修一/「太陽は動かない」/幻冬舎刊

吉田修一さんの「太陽は動かない」。

新油田開発利権争いの渦中で起きた射殺事件。ＡＮ通信の鷹野一彦は、部下の田岡と共に、その背後
関係を探っていた。産業スパイ――目的は、いち早く機密情報を手に入れ高値で売り飛ばすこと。
商売敵のデイビッド・キムと、謎の美女ＡＹＡＫＯが暗躍し、ウイグルの反政府組織による爆破
計画の噂もあるなか、田岡が何者かに拉致された……。いったい何が起きているのか。陰で糸引く
黒幕の正体は？　それぞれの思惑が水面下で絡み合う、目に見えない攻防戦。謀略、誘惑、疑念、
野心、裏切り、そして迫るタイムリミット――。　大人気作家のノンストップ・アクション
超大作！！（あらすじ抜粋）

吉田さんの最新刊。世間的にはかなり評価が高いみたいなんですが・・・私的には、全く
のめり込んで読めなかったです＾＾；；確かにストーリー的にはハラハラ・ドキドキ系では
あるんですが・・・なーんか、人物関係わかりづらいわ、専門用語頻発だわで、読んでると
すぐ疲れて来ちゃって。題材があんまり好みじゃなかったってのも大きいですし。派手な
アクションとかもあるので、いかにも映像向きの作品って感じではあるんですけど。こういうの
好きな人はすごくはまると思うんですけどね～＾＾；『悪人』とか『横道世之介』の時の
さくさく読める感じはなかったんですよね。説明とか状況描写が多かったせいもあるのかな。
なんか、読んでも読んでも先進んでる気がしなくて、途中で何度止めようかと思ったことか＾＾；
普通なら先が気になる筈の終盤も、早く終わらないかなーって思いながらページめくってました。
政治的背景とかわかりづらかったんだもん・・・今の私には、ちと難しかった。頭悪くてほんと
すみません・・・。どことどこが敵対してて、どことどこが手を組んでいるのかとか、なんか
ごっちゃになっちゃって、全然頭に入って来なかった＾＾；ちゃんと整理して読めばそんなに
難しくないのかもしれないですけどね。もっと、徹底したエンタメっぽい方が好きなんです
よね、私。ちょっと政治とか絡んでくると、読みづらさを感じてしまって入り込めなくて。
全体的にストーリー展開も単調で、あまり心理描写が出て来ないので、いまいち緊迫感が
なかったのも、読む手が進まない理由の一つだったかも。

主人公鷹野のキャラは、クールなところと熱いところ両方持ってて、なかなかかっこ良かった
ですけどね。でも、いまいち彼自身の性格が掴めないままだったので、もうちょっと彼の内面
描写とかも入れて欲しかったな。ただ、終盤で明らかになる鷹野の出自には、胸が痛くなりました。
子供は親を選べないですからね・・・それにしても、ひどすぎる。母親は、どういうつもりだった
んでしょうね。今頃何をしているのか。鷹野だって、今更知りたくなんかないでしょうけど。
彼のそういう、心の闇の部分ももう少し描かれていたら、作品に深みが出ていたかも。

ただ、青木優の存在には最後の最後まで翻弄されましたね～。途中のあの描写にはすっかり騙され
ましたし。彼女の母親が可哀想かな。まぁ、説明したところで、わからない状態なんでしょう
けども・・・。

デイビッド・キムの役柄もちょっと中途半端だったかな。最後まで冷血なままでいればいいのに、
変に自分が騙した女にほだされちゃうし。AYAKOと会ってる所を見られたシーンで、キムじゃ
なくてAYAKOの方に攻撃が行っちゃうような女、全然魅力的に感じなかったですけどね。あれだけ
他人を騙して来た男が、こんなつまんない女に情を移してしまう理由がよくわかんなかったです。
まぁ、別にキム自体に魅力を感じた訳でもなかったですけど。AYAKOのキャラもちょっと類型的で
薄っぺらく感じました。最後は自分を過信しすぎて足元掬われるしね。なんか、私のイメージでは
高嶋政宏と泥沼裁判してる美元が思い浮かんだのですけれど（彼女の顔、あんまり綺麗だとは
思わないんだけど・・・高飛車で薄っぺらい感じが、なんか重なりました＾＾；）。

うーん。最後は無理矢理終わらせた感があったし、なんかあんまり残るものがなかったような。
最後の１０ページすら読むのが辛かったもんなー＾＾；でも、映画とかにはしやすい話じゃ
ないかな。なんか、私が観たら、映画でも開始５分くらいで寝ちゃいそうだけど＾＾；；

産業スパイとか、国際的な政治的謀略とか、そういう世界が好きな方なら面白く読めるんじゃ
ないかな。
まぁ、万人が面白いってタイプの作品ではないかもしれないです（その代表例がここに＾＾；）。
またしても、黒べるよりの記事で（いや、完全に黒べる出てるか＾＾；）、すみません・・・。
レビューもなかなか言葉が浮かばなくて書きづらかったです・・・＾＾；支離滅裂なレビューに
なってたらすみません・・・（え、いつも？＾＾；）。