ミステリ読書録

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似鳥鶏/「午後からはワニ日和」/文春文庫刊

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似鳥鶏さんの「午後からはワニ日和」。

イリエワニ一頭を頂戴しました。怪盗ソロモン」凶暴なクロコダイルをどうやって? 続いて
今度はミニブタが盗まれた。楓ヶ丘動物園の飼育員である僕(桃本)は解決に乗り出す。獣医の
鴇先生や動物園のアイドル七森さん、ミステリ好きの変人・服部君など、動物よりもさらに個性
豊かなメンバーが活躍する愉快な動物園ミステリ(紹介文抜粋)。


似鳥さん初のノンシリーズ、になるのかな。葉山君シリーズ以外で本出すのは初めてですよね?
あっちのシリーズも一冊積んでるんですけど^^;
基本的な作風はあんまり変わってないですが、葉山君シリーズよりは社会人が主人公な分、少し
落ち着いた感じかな。ただ、舞台が動物園なので、違う意味で賑やかな部分もありますが(苦笑)。
そう、今回の主人公の職業は動物園の飼育員。そして、事件の発端は、主人公桃本君が働く
動物園から、1頭のワニが盗まれることから始まります。凶暴なワニをなぜ?どうやって?
困惑する動物園側の人々をよそに、犯人が次に狙ったのはミニブタ。一体、犯人の目的は何なのか?
というのが大筋。
なかなか面白かったです。動物園ミステリって、あんまり例がないですよね。盗むものが動物
なので、いまいち緊迫感はないのですが、事件の裏に隠された真相は結構重かったです。犯人の
状況も辛いものだったかもしれないけど、だからって罪のない動物を巻き込んで犯罪に使用する
所が許せなかったです。ワニをああいう方法に使うなんて・・・実際あることなんでしょうか。
かえってバレやすそうな気もしますけど。

桃本君と七森さんは良い雰囲気になって行くのかな?と思ったのですが、後半鴇先生の魅力が
押し出されて来てちょっと驚きました。歳の差あるけど、桃本君とはなかなか良いカップルに
なりそうな気配がするんですが・・・どうなんでしょう。やたらに言葉が丁寧で折り紙で変な
ものを次々折っちゃう七森さんのキャラも捨てがたいですけど(笑)。でも、桃本君に似合ってる
のは鴇先生の方だと思うなー。なんか、鴇先生って、葉村君シリーズの柳瀬さんの大人版って
感じがしますね。キャラ被ってるような。似鳥さんご自身が、こういうキャラの女性がお好み
なのかしらね。

あ、あと、今回もあとがき面白かったです(笑)。
動物園で働くメンバーたちはなかなか個性的でキャラも立っているので、シリーズ化を想定
しているのかな。桃本君と鴇先生の距離が近づくのかどうなのかが一番気になります(笑)。

それにしても、似鳥さんって文庫でしか新刊が出ないのね。何か理由でもあるんですかねぇ。
確かに内容的には文庫でちょうど良い感じですけどね(苦笑)。