ミステリ読書録

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舞城王太郎/「短篇五芒星」/講談社刊

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舞城王太郎さんの「短篇五芒星」。

「美しい馬の地」「アユの嫁」「四点リレー怪談」「バーベル・ザ・バーバリアン」
「あうだうだう」。綺羅星の如く輝く、五つの物語。デビュー当時の“文圧”はそのままに、
透明感を増す、舞城ワールドの新ステージ!(紹介文抜粋)


舞城さんの最新作。帯には『五編全部芥川賞候補作!』と書いてありました。確かに、この本
今回の芥川賞候補になってましたよね。五編全部って書き方ってことは、以前に候補に挙がった
時の作品も入ってるってことなのかしら。まぁ、何にしろ、舞城さんが芥川賞候補の常連さん
なのは間違いないですものね。でも、いつも思うんですけど、万が一受賞した時、授賞式の時
どうするのかなぁ。まぁ、普通に考えたら代理の人が出て来るんでしょうけども。今回の芥川賞
候補の写真も、舞城さんのだけ NOT PRINTINGみたいな感じになってましたものね。あくまでも
覆面作家の体裁は守るんでしょうねぇ。ほんとに、一体ご自身はどんな方なんでしょうか。
実は女性とかって噂もあるけれど、文章読むと女性が書いてる感じはしないんですよねぇ。うーむ。
謎だ。

って、前置き長くてすみません^^;内容はといえば、今回もなんとも感想が書きにくいような
短篇が五編収録されております。感想が書きにくいからって、面白くなかった訳じゃないんですよ。
十分、面白かったです。スピード感溢れる舞城節は健在ですし、一編も短いせいであっという間に
読めちゃいましたしね(トータル二時間かかってないかと)。
まぁ、ぶっ飛んだお話ばっかでしたね。でも、なんとなく、その中でも考えさせられるものが
あるというか。浅いのか深いのか、よくわからないのだけれども、何か読まされちゃう感じ。
だから何だ?って言いたくもなるのだけれど、舞城さんだからまぁ、いいかっていうね。
いつも思うのだけど、舞城さんの作品ってほんと、わけのわからない魅力があるんですよねぇ。
普段の私だったら、絶対受け付けないような文章だし、オチもないのに、何で好きなんだろうなぁ。
いつか芥川賞、ほんとに獲っちゃうのかなぁ。


以下、各短篇の感想。

『美しい馬の地』
27歳の時に、なぜだかわからないけど、いきなり『流産』のことが許せなくて仕方なくなる
男の話。流産が許せないって気持ちはわからなくもないんだけど、いきなり付き合ってる人や
友達がこんなこと言い出したら、正直鬱陶しいなぁ、と感じるだろうな、と思います。流産した後
子供を授かった真野さんに対する言葉には、私もかなりムカムカしました。私が真野さんの立場
でも、やっぱり同じような反応する気がするな。妊娠出来ない男に言われたら余計傷つくような
気がする。タイトルの意味はある外国の土地のこと。こういう意味があったんですねー。

『アユの嫁』
これは一番ぶっ飛んだ設定のお話でした^^;タイトル通り、主人公の姉がアユの嫁になって
しまうお話。・・・って書くと『は?』って思いますよね^^;でも、ほんと文字通りなんですよ。
アユってあのお魚の鮎のこと。で、主人公の実の姉が、人間化した鮎の嫁として嫁いで行って
しまうのです。一応、鮎の神様だから人間化出来る、みたいな設定なんですけどね。なんで
突然鮎?みたいなね^^;こういう直球のファンタジー(?)って、舞城さんには珍しいような。
鮎と人間の子供がどんな風に生まれて来たのかが、非常に気になりました(苦笑)。

『四点リレー怪談』
こういう怪談話は前にもどっかで読んだことがありますね。それの応用編って感じかな。でも、
四点リレーのからくりの説明はいまいちピンと来なかったです・・・ご丁寧に図も載っけてくれて
るのにね(バカ)。本郷タケシタケシは他にも出てきたキャラですね。しかし、四点リレーの
件は解決したけど、本郷が解決した事件の方の真相はわからず仕舞いなので、ちょっと消化不良。

『バーベル・ザ・バーバリアン』
ぶっ飛んでるといえば、このお話もなかなかすごかった。登場人物のあだ名が鍋うどんにバーベル
って^^;夫が仕事から帰って来たら別人に成り代わっていたってのもね。普通に考えたら絶対
無理がありますよねぇ。黒髪の美形が苦手だからって海外に渡るって発想にも面くらいました^^;
展開が早くて何が何やらって感じのお話でした^^;

『あうだうだう』
これは一番好きかも。ちょっとしたホラーというか、妖怪話っぽいですけど。いろいろツッコミたい
ところがいっぱいあるんですけど(なんで中村榛枝が悪い箱退治をしてるのかとか)、最後は
女子二人の友情が芽生えて、なんだか青春してて爽やかな読後感なのが良かったです。『あうだうだう』
が主人公の前に現れるシーンはぞぞぞーっとしました。コワッ。



芥川賞候補に挙がった作品の割に、普通に『新刊コーナー』に置いてあって予約もしないで
借りられたので、かなりビックリしました。蔵書が多かったせいもあると思いますけどね。
予約しようと思っていた矢先のことだったので、ラッキーでした♪
舞城さんらしい短篇集だったのではないかな。全体的に少し大人しめな感じもしましたけれどね。