ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

三浦しをん/「本屋さんで待ちあわせ」/大和書房刊

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三浦しをんさんの「本屋さんで待ちあわせ」。

口を開けば、本と漫画の話ばかり。2012年度本屋大賞に輝く著者が本と本を愛するすべての
ひとに捧げる、三浦しをんの書評とそのほか。愛がほとばしる書評集です(紹介文抜粋)。


しをんさんの最新エッセイ。これの前に出た『お友だちからお願いします』の方は予約に乗り
遅れてまだまだ回って来そうにないのですが、こちらの方は出てすぐに予約したので一番手で
回ってきました。
相変わらずのしをん節炸裂で、しかも今回は書評集ってこともあって、面白くってあっという間に
読み終わっちゃいました。

まー、とにかく、ほんとにいろんなジャンルを読まれていて、ただただすごいなーって感じ。
たくさんの本が紹介されていますが、私が読んでいた本はたったの四冊しかなかったです^^;
ちなみに、私の既読本は、三田完『俳風三麗花』、柴田よしき『小袖日記』、有栖川有栖
『女王国の城』、皆川博子『倒立する塔の殺人』の四冊。どれもそれぞれに面白く読んだ
作品だったので、紹介されていて嬉しかったです。

おそらく、私だったら絶対に手に取らないであろう類の本がたくさん出て来たのですが、
どの文章からも、しをんさんのその本への強い思いとか愛情がひしひしと伝わって来て、
読んでみたくなるものばかりでした。

四章の東海道四谷怪談についてのエッセイも興味深かったですね。私の四谷怪談
イメージといえば、京極さんの嗤う伊右衛門で固められてしまっているので、改めて元ネタ
のストーリーとはかなり隔たりがあるんだなーと気付かされました。私の中では、伊右衛門
って、すごく渋くてかっこいい人物像なんですが、実際はこの上もない極悪人の悪役なんですね^^;
ストーリー自体も、京極さんのは切ない純愛ってイメージだけど、本来は伊右衛門がお岩を
裏切って若い女に走る怨恨もの、みたいな感じで救いもなにもないお話みたいだし。まぁ、
確かに、お化け屋敷のお岩さんって怨念の権化みたいな存在なんで、私のイメージの方が変
なのはわかってるんですけどね^^;

細かい感想は端折るとして、今回一番笑わせてもらったのは、一番最後の『おわりに』の部分。
最近読んだ本とマンガが紹介されているのだけれど、この部分が一番本来のしをんさんらしい
ぶっちゃけ口調で書かれていて、本音満載で面白かった。
なんといっても、BL小説までしっかり紹介してくれちゃうところがさすがだ。特に、BLのエッ○
シーンに関して熱く語りまくる部分が最高。臆面もなく、そこまで大々的にエッ○シーンへの
熱き要望を吐き出してもらえると、いっそ爽快です(笑)。
『俺の鼻息を荒くするようなエッ○シーンを頼むぜ!』・・・けだし、名言だ(笑)。


類まれなる読書家のしをんさんの書評集ですから、面白くない訳がありません。しをんファン
ならもちろん、そうではないけど本好きの方なら楽しく読める一冊ではないでしょうか。