ミステリ読書録

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乾くるみ/「カラット探偵事務所の事件簿2」/PHP文芸文庫刊

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乾くるみさんの「カラット探偵事務所の事件簿2」。

<年上の女性からの誘惑>に悩まされる高校三年の従弟が持ち込んだ「小麦色の誘惑」、密室状態の
事務所から盗まれたあるものを見つけ出す「昇降機の密室」、偶然井上が遭遇した駐車場の追突事件
の真相を暴く「車は急に……」、リンク切れになったネットのクイズ記事の解答を知りたいという
「幻の深海生物」、三十六年前に義絶した弟の死の通知と共に届けられた絵画をめぐる「山師の風景画」、事故で急死した父親が残した秘伝のたれのレシピを探す「一子相伝の味」、古谷の<運命の人>
西田カレンから依頼されたストーカー疑惑を解決する「つきまとう男」の七つのファイルを収録
(紹介文抜粋)。


1が出た時、タイトルに1って書いてあったものの、正直2が出るとは思わなかったです。ラスト
がラストだったもので・・・。1ってつけたのは、乾さんなりの洒落っ気からだろうくらいに
思っていたので、ほんとに2が出てちょっとビックリしました^^;
あのラストを受けて、2ってどういう風に繋げるのかなーと思ってたんですが、2のラストが
なかったかのような書き方されているので、2から読んだ人は同じように驚けるんじゃないかな。
1を知ってる人は、所々でニヤニヤ出来るでしょうし。私個人でいえば、今回のラストでは、違う
意味で驚かされました。もちろん、これってああいう意味ですよねぇ・・・って、知ってる人しか
わからない書き方だな^^;何書いてもネタバレになっちゃいそうで、感想が書きにくいぞ^^;
そこに至った三年間の出来事を書いて欲しいよ!主人公井上の気持ちはわかりやすすぎる位だけど、
相手の気持ちはさっぱり出て来なかったですからねぇ。ま、探偵事務所に誘った時点で答えは
明らかだと言えなくもないですけども。
ラストの『つきまとう男』の冒頭で井上が告白した『嘘』の内容がわかる瞬間は爽快でした。
嘘を吐くのは悪いことだけど、この場合はね、仕方ないよね。井上の気持ちは痛いほど
わかりますし。○心ってやつだよね。最終的には真実になった訳だしね。多分、その嘘が
なくても、そうなっていたでしょうし、ね。

ミステリとしては、さほど瞠目する作品ってのはなかったですけどね。最後の『騙し』がこの
作品の一番のキモだと思うんで、それが読めただけで満足。ま、先に述べたように、その間の
三年間のことが一番知りたいですけどね。古谷がどうやって○○○ー○したのかとかさ。真顔で
したのかなーとか。いろいろ想像してニヤケたりして(笑)。

作中で古谷が井上に買って来てとお願いした本が、京極さんの京極堂シリーズの最新刊だったのが
嬉しかった。その後もちょこちょこ出てきたし。乾さんご自身がお好きなのかしらね。ミステリ
好きには嬉しい有名ミステリ小説やキャラクターの名前もたくさん出てきましたし。細かい部分
で結構楽しめました。

さてさて、この二巻のラストを受けて更なる続編は書かれるのでしょうか。さすがに、ここまで
書いちゃったらもうこの後はないでしょうねぇ。この二人のコンビもですけど、『謎解き専門の
探偵事務所』って設定が面白かったので、これで終わりだと寂しいですけどね。
古谷の子供は賢い子に育ちそうだなー。ちょっと可愛げがなさそうだけどね(苦笑)。