ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

近藤史恵/「はぶらし」/幻冬舎刊

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近藤史恵さんの「はぶらし」。

10年ぶりに会った友達を、どこまで助けたらいい?揺れる心が生み出した傑作ミステリー!脚本家の
鈴音は高校時代の友達・水絵に突然呼び出された。子連れの水絵は離婚して、リストラに遭ったこと
を打ち明け、1週間だけ泊めて欲しいと泣きつく。鈴音は戸惑いながらも受け入れた。だが、一緒に
暮らし始めると、生活習慣の違いもあり、鈴音と水絵の関係が段々とギクシャクしてくる。
マンションの鍵が壊されたり、原因不明の体調不良が急に鈴音に起きたり、不審な出来事も次々と
起こる。しかし、水絵の就職先はなかなか決まらない。約束の1週間を迎えようとしたとき、水絵
の子供が高熱を出した。水絵は鈴音に居候を続けさせて欲しいと訴えるのだが…。人は人に
どれほど優しくなれるのか。救いの手を差し伸べるのは善意からか、それとも偽善か。揺れる
心が生む傑作ミステリー!(紹介文抜粋)


近藤さん最新作。いつもの如くに読みやすい。ただ、文章はほんとにさらっと読みやすい
けれども、その内容ときたら。もーーーーぅ、読んでる間中イライラムカムカしっぱなし。
これは今流行りのイヤミス・・・いや、イヤミスっていうよりは、イラミスですよ。読んだ
人だったら絶対私の気持ちわかってもらえると思う。

ストーリーは単純。脚本家としてそこそこ成功している独身アラフォーの鈴音の元に、高校時代の
同級生水絵が子連れで転がり込んで来る。最初は一週間の約束だったのに、その後もなんだかんだと
理由をつけて居座り続ける。その同居生活の紆余曲折が描かれる訳なのですが。

この水絵の態度がね、ほんとにいちいちイラっとさせられるんですよ。常識がなくって。でも、
こういうひとっているよなぁと思えるところがリアルで、余計にイヤだった。もし、自分が鈴音
の立場だったら、絶対にこういう人間とは付き合いたくないです。あと、こんな母親に育てられる
のも絶対イヤだ。自分が不幸だからって、うまく行ってる人を妬んで、ちょっと何か言うと逆ギレ
して手がつけられなくなる。もう、ほんとに面倒くさい。子供の為に、もっと自分で頑張れよ!
って怒鳴りたくなりましたよ。
鈴音の、なんだかんだでお人よしなところにもイラっとしました。もっとはっきり、ダメなものは
ダメ!って切り捨てればいいのに!って何度思ったことか。高校時代の友人っていったって、何年も
音信不通になっていたくせに、自分が困った時だけ頼って来て、面倒みて当たり前の態度って。
そんなの友達じゃなーーーいっ。ぜえはあ。って、何で私がこんなに怒らなくちゃいけないんだ^^;
今の世の中、バツイチのアラフォーが一人で子供を育てて行くのが大変だってことはわかります
けどもね。でも、本人がもっとしっかりすれば、もうちょっと違う人生歩めたんじゃないのかなぁと
思わずにはいられなかったです。






以下、ラストについて言及しています。未読の方はご注意下さい。














ラストはもう少し前向きな終わり方するのかな?と思っていたのに、最後まで救いがなくて、
何だかなーって感じでした。耕太はあのまま水絵のそばにいるよりは良かったのかなぁ・・・。
でも、どっちにしても、あの父親の元にいたのでは、普通に幸せな生活が送れたとも思えない
けれど・・・。
わざわざ鈴音の元に挨拶に来るくらいだから、それほど歪んだ性格に育ってはいなさそう
ですけどね。
それにしても、あれほど耕太がいなくなった時のことを考えて怯えていた水絵のその後の
生活がどうなったのかがとても気になります。一人きりでずっと生きていたとは考えにくい
ような・・・なんか、一人に耐えられなくて、割りとすぐにお金持ちの男と再婚してたりして。
その辺の事情は、耕太からも告げられなかったですけどね。ああいう風に手癖が悪い人間だから、
その土地その土地でトラブル起こして追われる人生って可能性もあるかな。
再会した二人(耕太と水絵)がどんな会話をするのかも気になりますね。












やー、先が気になって読めたって意味ではとても面白かったんですけど、イライラしまくりで
精神的に疲れる読書でした^^;
鈴音の断れない性格にもイライラさせられたけど、実際自分が同じ立場だったら、やっぱり
最後は言いくるめられて相手の言いなりにさせられちゃいそうな気も・・・(基本的に小心者^^;)。
まぁ、とにかく、古い友人からの突然の連絡には気をつけろってことですかね(どんなシメだよ^^;)。