ミステリ読書録

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三浦しをん/「お友だちからお願いします」/大和書房刊

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三浦しをんさんの「お友だちからお願いします」。

どこを切ってもミウラシヲン(よそゆき仕様・自社比)が迸る。2012年度本屋大賞舟を編む
に続く、待望の最新エッセイ集。
1章 ひととして恥ずかしくないぐらいには(餌を与えないでください;短くなった父 ほか);
2章 そこにはたぶん愛がある(老婆は行脚する;愛の地下鉄劇場 ほか);3章 心はいつも
旅をしている(キリストの墓とピラミッド;田園風景のカーチェイス ほか);4章 だれかと
つながりあえそうな(包んで贈る十二月;ヒノキのテーブル ほか)(紹介文抜粋)。


この間読んだ『本屋さんで待ち合わせ』の方は書評エッセイ集でしたが、こちらは純粋に
自分のことや日常を綴った私的エッセイ集。テーマが旅とか、そういうくくりの章もありました
けれど。
書評系のももちろん面白かったのですが、やっぱりしをんさんはご自身のことやご家族のことを
綴った日常エッセイが一番面白いですね。今回も、ここまで書いて大丈夫!?てなぶっちゃけ話
を赤裸々に綴って下さってます。いやもう、ほんと、この人のエッセイは神だな(笑)。

最初、タイトルを聞いた時は、以前に読んだお仕事エッセイの時のように、初対面の人との
対談集かなんかなのかなーとか思ったんですよね。お話伺って、お友だちになりましょう、的な
感じなのかな、とかね。
全然違ってました(笑)。前書き読むと、タイトルにあんまり意味はないらしいことが判明(笑)。
『お友だちからお願いします』・・・私も言ったこともなければ、言われたこともないです(笑)。
まぁ、大抵の人は経験ないんじゃない?いや、告白したりされたりしたことがある人は、
もしかしたらそんな言葉を口に出した(出された)経験もあったりするのか?告白されて、
受けようか迷った場合、そう言われたら、なんとなく、友達ならいっか、とか思ってとりあえず
付き合ってみる、てなりやすいかもしれない。なんか、そう考えると便利な言葉だな。
この年になると、新たに友達ができることもないから、ちょっと言われてみたい気はするなぁ。
でも、お友だち『から』ってことは、もちろんその先があるってことなのかしら。同性の場合は
どうするんだ・・・って、一体何の話をしているんだ、自分。

エッセイの内容に関しては、今回も大いに爆笑させてもらいました。でも、何度か出て来た
おばあさんが亡くなった章には、私まですごく寂しい気持ちになりました。ご高齢で、眠るように
逝かれたとのことですが、しをんさんがすごくおばあさんを大事にされているのが伝わって来て
いたから。さぞかし気落ちなさったでしょうね・・・。90歳を超えても一人で暮らしておられた
時期があるというのだから驚きました。その後で二年程しをんさんと二人暮らしをされていた
そうですが。

気になるのは、一番古い時期に書かれたエッセイではアパート暮らしで、アンテナがなくて
テレビが映らず、近くの飲食店でテレビを観ていると書かれているけれども、今現在はどうなのか、
というところ。さすがに、今ほどの人気作家になって、アパート暮らしってことはないとは
思うのですけれど・・・。でも、一番古いエッセイでも2006年ですからねぇ。地デジに
なって、テレビは買い換えてらっしゃるでしょうけど・・・そして、今でも町田在住なんでしょうか。
どうも、しをんさんが高級マンションで悠々自適なセレブ生活をしている図が頭に思い描け
ないんですけど。もちろん、作家的身分を考えると、十分そうしてておかしくないのですけどもね。

今回は家族ネタが結構入ってたのも嬉しかったです。弟さんが面白いのは重々承知ですが、負けず
劣らずお父さんも面白いです(笑)。お父さんとしをんさんが飛べない雀を見守るエピソードが
微笑ましくて好きでした。ラストの『お父さんはこう見えて、アスパラガスが大好きだぞ』
セリフに爆笑。お父さんのねだり方、可愛い~!(笑)こう言われたら、アスパラガスを
差し出してあげるしかないよね(笑)。
しかし、お母さんの理不尽な性格はちょっと意外でした。娘のことを褒めたことがないって。
しをんさんの靴を勝手に履いて形を変えちゃうエピソードにもちょっと引きました・・・ひ、酷い^^;
外見のことはともかく、仕事については大いに褒められてしかるべきだと思うけれども、その辺りは
どうなんでしょうね。案外、今はすごい娘を持ったとご近所中に自慢して回っているのかも(笑)。


私はしをんさんのエッセイを読む度に、「この人と友だちになったら楽しいだろうなぁ~」
思わされます。しをんさんって友だちがたくさんいる印象があったから、しをんさんの携帯が
全く鳴らないっていうのはちょっと意外でした。ま、しをんさん以上に、私の携帯(スマホ
は使用頻度が少ないと思いますけどね(と、自虐で〆て終了)。