ミステリ読書録

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似鳥鶏/「戦力外捜査官 姫デカ・海月千波」/河出書房新社刊

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似鳥鶏さんの「戦力外捜査官 姫デカ・海月千波」。

警視庁捜査一課配属たった2日で戦力外通告!? 連続放火、女子大生殺人、消えた大量の毒ガス
兵器……ドジっ娘メガネ美少女警部とお守役の若手エース・設楽は無事に事件を解決できるのか?
(紹介文抜粋)


職場で読んでいて、職場の人に『マンガ読んでるのかと思った』と言われてしまった似鳥さんの
新作・・・ではもうないですね^^;出てすぐ予約したんですけど、蔵書一冊の為かなり
待たされたんで^^;

この表紙じゃ、マンガと勘違いされても致し方ないかと思いますけれども(苦笑)。ただ、
内容的にも結構王道の少女マンガっぽいキャラやら設定で、マンガ好きの私としてはかなり
楽しめました。もちろん、ミステリとしての面白さも健在ではありましたが。キャラと
軽妙な会話でユーモア満載ではありますが、基本の事件はかなりシリアスな重大事件。二つの
事件が最後に繋がる似鳥さんらしい構成で、なかなかに読ませてくれる作品でした。

ヒロインは、新たに警視庁の捜査一課に配属されることになった美少女警部海月。キャリアで、
警部の肩書きを持つものの、外見上は小中学生くらいにしか見えないちっちゃい女の子。
いかにも世間知らずそうな、ぽわんとした雰囲気のお嬢さん警部のお守りをいい使ったのは、
捜査課の若き巡査・設楽。二人は、世間を賑わす連続放火事件を調べ始めるも、捜査二日目で
捜査に慣れない海月の失態によって、戦力外扱いされてしまいます。海月は、それを逆手に
取って、単独に行動する自由を得たと独自の捜査に乗り出すことを提案。お守り役を仰せ
つかった設楽は、彼女に従う他なく、彼女の独自捜査に付き合うことに。すると、意外な事実が
次々判明してきて・・・というのが大筋。

主人公の海月と設楽の関係が良かったですね。ドジっ子の海月に振り回されつつ、彼女に
いちいちツッコミを入れる設楽のキャラが好きでした。要所要所でかっこいい見せ場も
ありましたしね。特にチンピラの江藤君をひれ伏せさせた場面には痺れました~。江藤君が
手のひら返したように速攻で『兄貴!』と慕うようになったのには、現金すぎてちょっと
笑っちゃいましたけど(笑)。その後も活躍することになる江藤君のキャラも良かったですね。
越前刑事部長の、肩書きの割に軽いキャラ造形も好きでしたね。かつて、こんなに軽い
刑事部長のキャラがいたでしょうか・・・ってくらい、軽かった(笑)。

終盤はハラハラの展開が続いて、緊迫感がありました。ラジコンヘリを飛ばした犯人までは
理解の範疇だったんですが、その後で出て来た共犯者には目が点。まさかの伏兵が突如現れて
ビックリでした。ちょっと唐突過ぎの気もしたんで、もうちょっと伏線が張ってあったら
良かったかなーと思ったんですけども。動機になる事件って出て来てましたっけ・・・多分
出てたんだろうけど、全く覚えてなかったです(アホ^^;)。

まぁ、でも、ツッコミ満載の会話文だけでも十分楽しめました。キャラが良いので、多少
ミステリ部分が強引でも許せちゃえました(笑)。

ひとつ気になったのは、海月警部と越前刑事部長の関係。本当に親戚なんでしょうか。
海月警部の任務のこともまだまだ謎の部分が多いし、続編がありそうな感じですね。
海月警部と設楽との今後の関係も気になりますしね。

あとがきは相変わらず妄想たっぷりで面白かったです。雨滴を擬人化するとは・・・!(笑)
なんだか、雨滴ちゃんがやたらと可愛らしい存在に思えて、似鳥さんと会話している姿を
想像して微笑ましい気持ちになりました(笑)。ハリセンボン化した雨滴ちゃん・・・ぷぷぷ。
またあとがきに登場してほしいものです(笑)。