ミステリ読書録

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大森望・豊﨑由美/「文学賞メッタ斬り!ファイナル」/パルコエンタテイメント事業部刊

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大森望・豊﨑由美さんの「文学賞メッタ斬り!ファイナル」。

長年(一方的に)ライバル関係にあった石原選考委員の辞任を受けての特集。直木賞作家・道尾秀介
芥川賞作家・円城塔との受賞直後の鼎談などなど(紹介文抜粋)。


文学賞をいーたい放題ぶった切るこのメッタ斬りシリーズも、ついに今回で最後なのだそうです。
うう。寂しい。寂しすぎる。大森さんとトヨサキ社長の歯に衣着せぬ物言いに、毎度すかっと
させられて、大いに笑わせてもらって来ただけに、終わってしまうと祭の後のような寂しさが
込みあげて来ます。まだまだ文学賞は続くんだから、このシリーズだって続けていればいいのにー。
とはいえ、お二人が事あるごとにやり玉にあげてきた、あの元都知事芥川賞選考委員辞退が
大きく響いているのは間違いないところでしょうね。確かに、シンちゃんいじりがこのシリーズの
一番の醍醐味と言っても過言ではなく・・・それがなくなると、目玉商品がなくなったみたいな
感じになっちゃうでしょうからね^^;
そのシンちゃん勇退(?)を言祝ぐ為、今回は大々的にシンちゃん特集ページが。いやー、もー、
お二人のシンちゃんいじりが可笑しくて可笑しくて。何度も吹き出しながら読んでました。
シンちゃんの選評って、ほんと意味不明だったんですねぇ・・・。あの、『もらっといてやる』
発言の田中慎弥氏が、思わずシンちゃんへの恨み節をこぼしたのも、むべなるかな。シンちゃん
の毒舌選評の餌食になってきた歴代の芥川賞候補者たちは、きっと内心彼の発言に快哉
叫んだのでは・・・(苦笑)。
トヨサキさんのシンちゃん評『負けず嫌いのガキじじい』に大ウケ。シンちゃんがこの本を
読んだ時の反応が知りたい・・・けど、怖い^^;

数年分の芥川・直木賞候補作の選評も、一作ごとに語られているので、当時は全く興味が
なかった作品も、読んでみたいと思えるものがたくさんありました。特に、今回のお二人の
評価がやたらに高かった朝吹真理子さんの『きことわ』赤染晶子さんの乙女の密告
読んでみたいと思いました。あと、最後の文学賞メッタ斬り!大賞』コーナーで高い評価
だった今村夏子さんの『こちらあみ子』も、ちょこちょこと他の方のブログで見かけて
気になっていた作品だったのでチェックしておこうと思ったし。ただ、目出度く大賞を受賞
した佐藤亜紀さんのミノタウロスは、冒頭の数十ページで挫折した苦い思い出があり、
さすがに再挑戦しようとは思いませんでしたけれども^^;

冒頭には我らがミッチー(道尾秀介)とお二人の対談が載せられています。ミッチーったら、
何だかおとなしめな印象だったんですけど^^;直木賞獲った途端に銀行の支店長が訪ねて
くるって、銀行ってほんとに現金なんですねぇ・・・。市長の表敬訪問にもびっくりでしたけど^^;
直木賞の威力恐るべし。

やっぱり、なんだかんだで今の文学賞を一番引っ張ってるのって、芥川・直木賞なんですよねぇ。
本が売れない時代に、こういう賞レースがきっかけで出版界が活気づくならいいと思うんです
けどね。

今回もとーーっても楽しく読ませて頂きました。ほんと、終わっちゃうなんて残念だなぁ。
またいつか、復活してくれることを願います。