ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本6冊

どうもどうも。お久しぶりの更新になっちゃいました。
今年に入って本を読む時間は結構取れるようになったのですが(職場が暇な時期なので)、
いかんせん記事を書く暇がない^^;
という訳で、現在読了本記事が六冊ほど溜まってしまいました。
一作づつ書いている時間は到底ないので(しかも二冊はすでに返却済み)、
一気にご紹介。今後は一冊づつ記事を書くのが難しくなって来るかもしれないなぁ・・・。
できれば、一冊づつ一記事で丁寧に書きたいのにな(なんせ、読んだらすぐに
内容を忘れてしまう金魚頭人間なので・・・^^;;)。

それぞれ簡単ですが、感想を書き留めておきます。


西澤保彦『モラトリアム・シアターproduced by腕貫探偵』
あの腕貫探偵が文庫になって帰って来ました。なんで突然文庫で?と思わなくも
なかったのですが^^;
でも、肝心の腕貫さんの活躍場面は非常に少ないです。途中、腕貫シリーズだって
ことをほぼ忘れかけていた程。最後はニクイ登場の仕方をするのですけれどもね。
主人公は前作で出て来た腕貫さんをダーリンと慕うユリエ嬢の実の兄。しっかり者の
妹に比べ、かなりなヘタレ青年でした^^;手元に本がもうないんで細かいミステリの
感想とか忘れちゃったんだけど(おい)、ラストは予想外のハッピーエンドで、これって
ほんとに西澤作品!?と疑いたくなりました(苦笑)。面白かったんですけど、全体的に
ちょっと薄味というか、文庫ってのが頷ける内容だったかも^^;


恒川光太郎『私はフーイ― 沖縄怪談短篇集』
恒川さんの最新作。タイトル通り、沖縄を舞台にしたホラー短篇集。ものすごく怖いお話が
入ってる訳じゃないんだけれども、どの作品にも、ほのかに背筋がぞわりとさせられる
冷ややかさがあって、ああ、恒川ワールドだなぁと思わされました。どの作品でもひとの死が
扱われています。死と生の間に生きる沖縄のひとびとのお話と云えるかな。恒川ファンなら
間違いなく満足出来る作品だと思います。とても良かったです。


歌野晶午『コモリと子守』
なぜか突如出版形態が変わりましたが、舞田ひとみちゃんシリーズ第三弾。ひとみちゃんも
17歳になりました。新書版での『舞田ひとみ○○歳~云々』のタイトル好きだったのになぁ。
今回も、『舞田ひとみ17歳~なんちゃら』のタイトルで良かった気がするけどな。タイトル
の意味、実は終盤まであんまりわかってなかったんですよね。子守はわかるけれども、コモリ
って何のこと?って。良く考えたら、『ヒキコモリ』のコモリのことですよね、多分。ひとみ
ちゃんは子守、由宇はコモリってことね。
二つの幼児誘拐を軸に、二人の『こもり』が活躍するお話。途中ちょっと中だるみする感じが
あるのだけれど、二つの誘拐事件のからくりはとても良く出来ていると思いました。まぁ、
半分くらいは予想通りではあったけれども。ひとみちゃんの身の上が随分変わっていることに
驚きました。性格はそのまんまだけど、複雑な家庭事情が原因でか、少し以前の屈託の無さが
なくなってしまったような。もちろん、それが大人になったということなんでしょうけれど。
それに、もちろん、ひとみちゃんが良い子だってことに変わりはないですからね。


初野晴カマラとアマラの丘』
廃園となった遊園地でペットの墓守をする謎の青年と、彼の元を訪れる依頼人たちの物語。
寂れた廃園が舞台で、しかもある理由からほとんどが夜のシーンなので、全体的に暗いトーン
の作品。でも、殺伐としているようでいて、人間と動物の心の機微を描いた感動作でもあります。
臓器移植やら植物人間やらといった医療用語がたくさん出て来るところも初野さんらしい。
残酷でやるせないお話ばかりだけど、とても心に響く作品でした。冒頭の表題作からし
やられてしまった。完全にミスリードされてました。ラスト一作の仕掛けにも。心憎い
ミステリトリックをさりげなく挟むところはさすがです。ペット墓守の森野のキャラはとても
気に入ったので、また続編が読みたいです。彼自身のことももっと知りたいし。最後の作品の
語り手と同じで、彼が背負っているものの正体が知りたいです。
私にはペットはいないけど、もし大事なペットが死んでしまったら、森野のようなひとに
埋葬してもらって、ずっと見守っていてもらえたら幸せだろうな、と思いました。


薬丸岳『逃走』
薬丸さんの最新作。結構待たされたんで、もう新作って言わないか^^;読みやすいので、
ぐいぐい読まされちゃうところはいつもと同じ。タイトル通り、ある男が、殺人の容疑を
かけられてずっと逃走する話。
彼が逃げている理由は、途中でほとんどわかってしまいました(だいたい、その通りだった^^;)。
もうちょっといろんな部分で意外性が欲しかったかなぁ。あと、最初の方に出て来たひかり荘
の女の子(奈緒)が泣いていた理由は何だったのか気になりました。何かの伏線かと思った
のになぁ。意味深な感じで出て来るから変に勘ぐってしまったよ^^;
途中から舞台が和歌山に移ったので、一昨年和歌山旅行に行った時のことを思い出しながら
読めて嬉しかったです。円月島や三段壁といった馴染みの場所も出て来ましたしね。結局、
祐輔は美恵子のことをどう思っていたのかなぁ。単なる兄妹を超えた何かの感情を感じたの
ですけど・・・穿ちすぎかな。


窪美澄ふがいない僕は空を見た
文庫版を読みました。職場の人に、バレンタインのお返しに甘いものでも本でも何でも買って
いいって言われて、文庫二冊を選んだうちの一冊。お返し早くない?と思ったけど、来月に
なると忘れちゃうから、だそうな。まぁ、買ってもらえるなら何でもいっか。むふ。
読まれた方みなさん絶賛する作家さんなので、ずっと読んでみたかったのですよね。
R-18文学賞大賞作だそうで、確かにあからさまな性描写なんかも入っているのだけど、
エ○小説読んでるって感じはほとんどない。それよりは、解説の重松さんもおっしゃってる
ように、性を描くことで生を描いている、って言うのに賛成。一作ごとに主人公が変わる
連作形式ですが、それぞれに主人公たちは病んでいる。生い立ちが荒んだ人間ばかりが
出て来るし、みんなどっかまともじゃない。でも、まともじゃない人間なんて世の中に
いるのかな、と思えてくる。どんな人間にも、いいところもあれば悪いところもあるって
ところが、すごくよく書けているな、と思いました。痛い人間いっぱい出て来て嫌な気持ちに
なったりもしたけど、不思議と読後感は悪くない。前向きな人間なんて出て来ないけど、
それほど後ろ向きな人間も出て来ないからかも。爽やかな話じゃないけど、すごく引きこまれ
ました。他に読んでる本があったんだけど、こっち読み始めたらこっちの続きが気になっちゃって、
結局最後までほぼ一気読みで読んじゃいました。自分と重ね合わせて読んじゃう部分なんかも
あって、胸にぐさぐさ突き刺さるものがありました。
斎藤君の今後も気になるし、良太の今後も心配だし、里美の不妊治療の結果も知りたいなぁ。
他の作品も評価が高いので、読んでみようと思いました。





はー。一気に六冊分書くってのは結構たいへんだー。最初の二冊なんか、手元に本が
ないから、細かい感想書けないし^^;漠然とした感想ですみません・・・。
次の本はきちんと一冊の記事として紹介したいです・・・。
これから、読了本がたまる時はこういう形でのご紹介になるかも。もうちょっと
ブログの時間が取れるようになりたいなぁ。