ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

角川書店編/「横溝正史に捧ぐ新世紀からの手紙」

今日は小説ではありませんが、とても印象に残っている本を紹介します。
横溝正史生誕100周年を記念して角川書店から刊行された、「横溝正史に捧ぐ新世紀から
の手紙」。
正史を愛してやまない様々なジャンルの文化人の方々が、氏への思い入れを寄稿しています。
主な寄稿者は、綾辻行人有栖川有栖岩井志麻子北村薫乙一恩田陸岩井俊二
CLAMP等。

これを読むと、横溝正史がいかにたくさんの人々に影響を与えているかがよくわかります。
最近の方には漫画の「金田一少年の事件簿」の方が馴染みがあるかもしれませんが、やはり全ての
探偵小説の原点はここにある、と言っても過言ではないのではないでしょうか。私自身のミステリ
好きの原点もやはり正史からと言えます。小学生の頃から、テレビなどで放映される金田一ものの
映画は、気味の悪さを感じつつも、その雰囲気が好きで夢中になって見ていました。正史の小説を
初めて読んだのは高校生の頃。大学でミステリにはまってからは一時期狂ったように読み漁った
ものです。この本を読んだ時、その時の自分を思い出して、また正史の作品が無性に読みたくなり
ました。様々な人たちの正史への愛が詰まった一冊。特にラストに入っている、実子・亮一さんの
正史の思い出は必読。戦時中でも、病気に侵されても探偵小説を書くことを思い描いていた正史の
姿にただただ感動できるのです。