ミステリ読書録

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法月綸太郎/「犯罪ホロスコープⅡ三人の女神の問題」/カッパ・ノベルス刊

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法月綸太郎さんの「犯罪ホロスコープⅡ 三人の女神の問題」。

10年前に解散した女性3人組アイドル・トライスター。
彼女たちが所属していた事務所の元社長・折野が他殺死体で見つかった。
犯人と目されたのは、元ファンクラブ会長の安田。
安田は自身のブログに折野殺害をほのめかす声明文をアップした直後、服毒自殺していた。
しかし捜査を進めるうち、安田の共犯者がトライスターのメンバー内に
いたことがわかる。モッチ、メグ、アズミン、三人の女神のうち、いったい誰が犯人なのか――。
(表題作)
名探偵・法月綸太郎が六つの難事件に挑む本格ミステリ後編!(紹介文抜粋)


久しぶりののりりん。前作から随分間が空きましたねぇ。前作の内容なんかもう、すっかり
忘れちゃいましたよ^^;
今回も星座とギリシャ神話を絡めた短篇が六作。この括りがあるせいで、若干こじつけ的な
印象を受けざるを得ないものもあったりなかったり・・・。まぁ、でも、こういうまとまりの
ある短篇集は個人的には好きなので、今回もなかなか楽しめました。
このシリーズはリアルタイムで時間が進んでいるようでして、今回もかなりタイムリーな現代
要素が盛り込まれております。綸太郎が東日本大震災を経験して携帯を持つようになっていたり。
いったい全体、彼はいくつになっているのでしょう。デビューから考えると、かなりの年に
なっていると思うのですが・・・この年まで結婚する気配もなく、女性の影も全く見えない。
あの、司書の女性といい感じになるのかしらん、と期待していたのに、全くその片鱗すら見えて
来ないし。このまま独身街道まっしぐら、なんでしょうかね。綸太郎がリアルタイムで年を
とっているということは、もちろんその分法月警視も年を取っている訳で。そろそろご引退の
年になっていてもおかしくないような気もするんですが・・・。なんか、別にリアルタイムで
年を取らせなくても良かったんじゃなぁ。なんか、どうもシリーズの雰囲気と現代背景がマッチ
してない印象を受けてしまうんですよね。表題作なんかモロにそんな感じがしました(三人組
アイドルの人物造形なんかが特に・・・10年前の元アイドルっていう設定なのはわかるんですが、
もっと前のような感じがしたんで^^;)。無理に時代を進ませる必要性をあまり感じないので、
法月さんがなぜシリーズをリアルタイムの時代設定にしているのか謎です。
前半の作品は集中力がない時に読んでいたせいか、なかなかトリックが頭に入って来なくて
苦戦したんですが、後半の作品は概ね楽しめました。各作品の冒頭のギリシャ神話エピロードが結構
ためになって面白かったです。絵画とか観るの好きで、もともとギリシャ神話には興味がある方
なんで。


では、以下、各作品の感想。

「[天秤座]宿命の交わる城で」
タロットに二種類あるなんて知らなかったです。遥かむかーしに、一時期だけタロットに
凝った時期があったんですけど・・・某マンガ雑誌の付録についてきたタロットで適当に
占ってただけですが(苦笑)。うちにあったのはどっちバージョンのだったのかなー。
三重の○○殺人のからくりはちょっと複雑でわかりづらかったかなぁ。

「[蠍座]三人の女神の問題」
これも職場でななめ読みっぽい感じで読んでたせいか、トリックと人物関係が頭に入って
来なくて困りました^^;多分一番目玉の作品なんだろうけど^^;;

「[射手座]オーキュロエの死」
オーキュロエを○○○○って、かなりこじつけですよね^^;犯人はこいつかな?と思った人物
でした。結構わかりやすいんじゃないかな?伏線あからさまだし。伏兵といえば伏兵ですけど。

「[山羊座]錯乱のシランクス」
ドビュッシーの曲が結構出て来るんで嬉しかったです。好きなんで。山羊座のマークのダイイング
メッセージの意味は、ちょっと苦しいかなーと思いました^^;こんなの、わかる人いるかい!
とツッコミたくなりました(苦笑)。

「[水瓶座]ガニュメデスの骸」
ロザムンド山崎は前作の『六人の女王の問題』に出て来たキャラみたいなんですが・・・
全く覚えてなかった^^;なんか、ビジュアルはマツコ・デラックスを思い出してしまった
んですが・・・^^;
奇妙なカメ誘拐の真相は意外な事実が隠されていました。『息子は無事だ』の息子の意味が
そういうことだとは・・・。自分の家にそういうモノが置いてあると考えただけでぞぞーっと
しますね・・・。

「[魚座」引き裂かれた双魚」
飯田才蔵は前作だけでなく、『生首に聞いてみろ』にも出て来たキャラらしいです・・・覚えて
ない^^;前作の記事読み返してみたんですが、同じこと書いてあった(笑)。
死んだ息子の生まれ代わりを探す母親の話。荒唐無稽な設定ですが、真相を知って溜飲が下がり
ました。毎回登場人物の名前がいちいちギリシャ神話に出て来る人物の語呂合わせになっているのが
何とも・・・。意図してつけた場合はともかく、意図してない場合は偶然が過ぎる気がするし、
ちょっとやりすぎかなぁと思いました。




ま、出来にばらつきはある気がしますが、このシリーズ好きなんで、悩める青年(中年?w)探偵・
のりりんに会えただけでも満足(笑)。
次は長編が読みたいかな~。