ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊+近況報告

みなさまどうも、ごきげんよう
7月も終わりに近づきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

ワタクシめは、引越し準備も順調に進んでおります。今は新居の為の家具やらエアコンやらを
揃えているところ。
お金が飛ぶようになくなって行きます・・・。まぁ、いちから部屋を作って行くのは
楽しいですけどね。
夏休みはほとんど引越しの為に動きまわっていたのですが、最終日の昨日はちょっぴり
息抜きして、友人と映画を観て来ました。観たのは真夏の方程式。公開してひと月くらい
経っているのでそれほど混んでないだろう、と高をくくって行ったら、観たかった回はすでに
満席。意外にまだ混んでいるのですねぇ。都心で観たせいもあるとは思いますが(地元の
映画館だったらガラ空きだったと思われ・・・)。
原作読んだの昔なのであまり覚えてなかったのですが、割と原作に忠実だったのでは
ないかなーと思いました(原作にいない吉高由里子が出て来たくだりはともかく)。
少年とガリレオ湯川先生のひと夏のふれあいの部分が良かったですね。特にペットボトル
ロケット作るくだりのとこが好きだったな。玻璃ケ浦の海が本当に綺麗でした。去年行った
タヒチの海を思い出しちゃいました。どこでロケしたのかなぁ。沖縄とか石垣島とかかな
(エンドロールに出てきてたんだろうけど、見落とした^^;)。


さて、本の方は薄い冊子も含めて三冊読了。順番にさくっとご紹介して行きましょう。


加納朋子『はるひのの、はる』(幻冬舎
加納さん待望の新刊。本屋で見かけた時の感動といったら。きっと戻って来てくれるとは
信じていたけれど。順調に回復されていると思って良いのですよね。
しかも、新刊は『ささらさや』の佐々良シリーズの最新作にして最終作。さやさんの息子、
ユースケ君が主人公。一作ごとに成長していくユースケ少年の姿に嬉しくなりました。
さやさんに育てられるのだから当たり前なんだろうけど、良い子に育って良かったなぁ。
数年ごとにユースケの前に現れる謎の少女はるひのキャラが実にミステリアス。彼女はユースケ
の前に現れると、決まって何か不可解な頼み事をする。その度ユースケはその頼み事を引き受け
るけれども、その行為に何の意味があるのかはわからない。はるひとは一体何者なのか。最後に
その謎が解けた時、すべての行為の意味がわかりました。最終話の前辺りでなんとなく当たりは
つけられたけれど、彼女の本当の目的まではわかりませんでした。彼女のしたことは、明らかに
タイムパラドックス問題に反していると思う。けれども、ある人物を守る為にしたことだし、
それによって不幸になるひともいない(むしろ逆の方が多い)のだから、私は彼女をエゴイスト
だとは思えなかったな。私が彼女と同じ立場でも、そうしていると思うから。
最後の最後、はるひからユースケに宛てた手紙の内容が嬉しかった。彼女はちゃんとユースケ
のことも考えてくれていたのですね。
作品読んでいて、ご自身の身におきたことが引き金になってこの話を考えられたのかな、と
思ったのだけど、あとがき読んで誤解だったとわかりました。多くの人が同じように考えると
思うけれど、その出来事の前にこの作品の構想があったというのだから、何か運命的なものを
感じますね。はるひと加納さんの姿が重なるような気がしました。でも、加納さんとはるひ
の運命は重ならなかった。そこだけは本当に良かったと思います。
前二作に登場したキャラはほとんど出て来ないけれど、ほんのちょっぴりてるちゃんの名前が
出て来たのは嬉しかった。彼女はどんなひとと結ばれたのかな。相手役っぽい子って出て来て
いたっけ?(全然覚えてナイ^^;)お墓参りっていうのは、あのひとのですよね、たぶん。
切なくも温かい、加納さんらしい一作でした。やっぱり、加納さんの世界が大好きだなぁ。
戻って来てくれて、ほんとに良かった。もっともっと作品を書いて欲しいと願います。


有川浩旅猫リポート副読本』(リフトオフ)
舞台版旅猫リポートの脚本+書きおろし短篇が収録された副読本。KORさんのブログで
その存在を知り、お願いしてお借りしました。うーっすい本なのに(全96ページ)、裏に
貼られていた値段をみたら1500円!!同人誌のような体裁で、発行部数も少ないから
そういう値段になっちゃうんでしょうね・・・^^;
でも、内容は大満足。ナナとサトルの、本編では語られなかった旅のエピソードが読めて
とても嬉しかった。ナナは、スギとチカコの所に行った後、札幌に引っ越す前にもう一人
お見合いをした人物がいたのです。サトルが誰かと仲違いするっていうのが意外だったの
ですが、その理由を知って納得しました。最後にわだかまりが溶けて良かったです。
あと、サトルがお見合いをした友人たちに遺した手紙の内容が読めたのも嬉しかった。
どの手紙の締めくくりも『ありがとう』が入っているところが、サトルらしいですね。
何ひとつ悲観的なことを書かず、相手への感謝のみを伝える。サトルの人柄が偲ばれる
内容で、だからこそ切なかったです。
劇場版の脚本は大分いろんな部分を端折っているけれど、要点は絞ってあるから、原作と
同じようにやっぱり最後はうるうるしちゃいました。舞台で観たらもっと感動するだろうなぁ。
生で観てみたくなりました。っていうか、ナナは着ぐるみを来てやっていたのかなぁ。
その姿を想像すると、ちょっぴり笑ってしまうのだけど(笑)。
改めて読んでも、やっぱり良いお話ですね。もともとこのお話は舞台の為に書いた作品
なのだそう。確かに、舞台にしやすそうな内容ですものね。次々と場面が変わって。どんな風に
演出されたのかも気になるな。

読めて本当に良かった。とても貴重な本を貸してくださったKORさん、本当にどうも
ありがとうございました!大分前にお借りしていたのに、なかなか読めなくてすみません(><)。
でも、読み始めたらあっという間に読み終わってました^^;もっと早く読めば良かった^^;
なるべく速やかに返却するように致しますので、待っていて下さいね~^^;;


千早茜『あとかた』(新潮社)
千早さん最新刊。一作ごとに主人公は違うものの、少しづつ各作品がリンクしている連作形式。
こういう形の短篇集はとても好き。どの主人公も重いものを抱えて、傷つきながら生きている。
この方は、人の痛みを描くのが上手いですね。不倫したり浮気をしたりする人物が多いから、
嫌悪感を覚えたりもするのだけど。痛くて弱いのも、どろどろしたもの抱えて、誰かと愛しあって、
傷つけあって生きて行くのも人間だから。そういう、歪んだ人物関係や、人間の感情の微妙な
機微を描くのがとても上手い。
個人的には、『やげど』→『うろこ』→『ねいろ』の三作の流れがすき。サキのだらしない
人間関係にはうんざりしたけど、その裏で松本に一生懸命SOSを送っているのがわかるから、
どこか憎めなかった。素直じゃないサキが最後に素直になるところも、素直じゃない松本が
最後に素直になるところも、どちらも素敵だった。千影さんは、女性として憧れるな。でも、
彼氏に言いたいことも言えないところは、イライラしました。っていうか、こんな男とは
さっさと別れて、もっといい人探した方がいいと思うけど。それが出来ないところが恋愛
なんだろうな。水草くんとの関係が良かったです。二人に恋愛感情は芽生えないだろうけど、
いい友情関係は結べるんじゃないかなって思いました。
一作目で出て来た男の死の真相がとても気になりました。本当に孤独が理由で自殺したのだろうか
・・・。最後まで、彼のことが一番謎だったかも。






以上、三冊でした。今回の三作はどれも当たりで嬉しかったです。
新居には、是非とも読書部屋を作りたいと思っているのだけど、良く考えたらヘビーな
図書館ユーザーな私は、それほどたくさん本を持っている訳ではないのでした・・・
(マンガは山ほどあるけどね!)。
壁一面が本棚で埋まっている部屋っていうのが、個人的には夢なんですよね。
ちょっとづつ、本棚増やして行こうかな(笑)。