ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

みなさまお暑うございます。猛暑を超えて酷暑の中、いかがお過ごしでしょうか。
ワタクシは引越しを明後日に控え、毎日準備に追われております。
いやー、暑い中の引越しってほんと辛いですね。エアコンつけない状態で
荷物を詰めたり運んだりしていると、あっという間に汗が吹き出してきます^^;
身体壊してもしょうがないので、ほどほどにのんびりやっております。引越し先が
近いから、ちょっとづつ車で荷物を運んでいる状態。大分進みましたよぅ。
しかし、そんな過酷な状況なのに、なぜかちっとも痩せないワタクシ(相方は3キロ程
痩せているのだが・・・)。なぜだろう・・・むぅ。


さて、忙しいのでちっとも読書がはかどりませぬ。久しぶりの更新ですが、前回から三冊
しか読めておりません。しかも、うち二冊はかなり前に返却済み。なんとなくうろ覚えの
感想しか書けそうにありませんが、ささっとご紹介しておきましょう。


乙一「Arknoah 1 僕のつくった怪物」(集英社
乙一名義ではほんとーーーーに、久しぶりの新刊になりますね。待ちに待った新作だったので、
かなり期待して読んだのですが・・・う、ううーーーん。び、微妙・・・。児童書体裁で、
本当にストレートなファンタジーを書いて来たな、という感じ。面白くない訳では決して
ないのだけれど、私が乙一さんに期待しているのはこういうのじゃないんだよなぁ・・・
というのが正直な感想。例えば主人公の兄弟が学校でいじめにあっていて、孤立している
所なんかはいかにも『らしい』設定ですし、所々でグロい表現が挟まっていたりして、乙一
らしさがないとは言わないのですが、なんだか全体的に盛り上がりが足りないというか、
いつも感じる物語センスの良さがあまり感じられなかったというか・・・なんだかピンと
来なかったんですよね。まだ続きがあるみたいなので、続刊からはもっと物語が動くのかも
しれないですし、もちろん読むつもりはあるのですが。あと、致命的なのは、弟の性格。
ほんとに可愛げがない。生い立ちや現在置かれている状況から性格がひねくれてしまうのも
仕方がないとは思うし、敢えて自分から他人に嫌われるように振舞っているところがあるので
可哀想に感じるところがなくもないんだけど、それにしても周りの人に対する態度は酷すぎ。
もうちょっと心を開いてもいいんじゃないの?って思いました。
うーん、兄弟が迷い込んだ不思議な世界アークノア自体の設定は面白いと思ったのだけど・・・
(いろんな『部屋』があって、それぞれに不思議な特質を備えているところとか)。
多分、直球のファンタジー過ぎて、物足りなかったのかなぁ、と。同じ児童書体裁でも、
『銃とチョコレート』は本当に傑作だと思ったんですけどね~。ミステリ要素がなかったのが
敗因かも・・・。久しぶりの新刊だったから、期待しすぎたのもいけなかったのかも。


「エール! 1 」(実業之日本社文庫)
六人の作家によるお仕事小説アンソロジー
漫画家 ウェイク・アップ(大崎梢
通信講座講師 六畳ひと間のLA(平山瑞穂
プラネタリウム解説員 金環日食を見よう(青井夏海
ディスプレイデザイナー イッツ・ア・スモール・ワールド(小路幸也
スポーツ・ライター わずか四分間の輝き(碧野圭)
ツアー・コンダクター 終わった恋とジェット・ラグ(近藤史恵

読んだの結構前なので、一作ごとの細かい感想は省きますが、お仕事小説は基本的に
大好きなので、どの作品もなかなか楽しめました。
個人的に印象に残ったのは、平山瑞穂さんの通信講座講師のやつ。最初、キモい話だなーと
思ってたんですが、ラストでじーん。主人公と同じ立場になったら絶対怖いとは思うの
だけど、このラストは反則だー。切なすぎる。ぐすん。平山さんって、以前から何度も
読んでみたいと思いながらも読めずにいた作家さんなんですよ。図書館で何度も手に取って
るんですけど、なんとなくその度に毎回棚に戻しちゃってたんですよね^^;これを機に、長編も
読んでみたくなりました。
あとは、大崎さんの漫画家と、近藤さんのツアコンものはやっぱり面白かったですね。
仕事してると、いいことも悪いこともあるけど、みんなそれぞれに体張って頑張ってるんだな、
私も頑張ろうって思えるアンソロジーだと思います。主人公が全員女性なので、特に共感持てる
部分が多かったですね。2も予約中なので楽しみです。



有栖川有栖論理爆弾」(講談社
理論社のミステリーYA!シリーズから始まった少女探偵ソラシリーズ(出版社HPにそう書いて
あった)第三弾。版元を変えて再出発です。そういえばミステリーYA!シリーズってどうなったの
でしょうかね。一時期あんなにどぱどぱ出ていたのに・・・売れなかったのかしら^^;;
でも、YA向けレーベルで書いていた時よりも今回の作品の方が読みやすかったです。北がどうのって
設定があんまり出て来なかったせいかな。
前回はソラが探偵になる決意をして、大事な友人たちと別れるところで終わりましたので、今回が
ソラの探偵としての第一歩の事件ってことになりますね。今回の舞台は、宮崎県の山奥、深影村。
失踪前に母親が訪れたというこの地にやって来たソラは、土砂で遮断された村の中で、不可解な
連続殺人事件に遭遇することに。果たして、ソラの探偵第一事件の結末は?
いやー、面白かったんですけどね、連続殺人事件の犯行動機には唖然。それって、本格ミステリ
の禁じ手ってやつじゃないんですか、有栖川さん!!って詰めよりたくなりましたよ・・・。
しかも、ソラ自身は今回全く推理とかしてないし、事件解決に貢献した訳でもない。事件が
解決したのは単に彼女の運が良かったからって^^;;まぁ、探偵になるのはそんなに甘くない
って思い知らせる為の事件だったのかもしれないですが。探偵志望の女の子には酷く苦い結末
になってしまいました。でも、こういう経験をして、きっと少しづつ成長して行くのでしょう。
ガンジスと景以子が歌う歌を効いている時だけ、本来の高校生らしい表情になるところが
良かったです。早く、三人が再会できるといいなぁ・・・。まぁ、再会したらしたで、三角
関係で泥沼になりそうな気がしなくもないけれど^^;;今回初登場した友淵家の長女・美華
さんは、今後もソラのいい理解者になりそうな予感がしますね。最初登場した時は何か裏が
ありそうな雰囲気醸し出してるんで、得体の知れない女性だなーって思ったんですけども。
ソラが深影村で滞在していた宿の一人息子、順平君とのやり取りも良かったですね。綺麗な
お姉さんにドキドキする順平君が可愛かったです。
次回作では、もう少しソラの探偵としての活躍が読めると良いなぁ。




と、今回はこんな三冊でございました。現在は鋭意、伊坂さんの新作に取り掛かっております。
まだまだ読み終えるのに時間がかかりそうですが・・・(なかなか進まない^^;)。
引越しが終わって一段落つくまでは、当分はバタバタした日々が続きそうです。
しばらくまた更新が途絶えるかもしれませんが、なるべく早く戻って来たいと思っておりますので、
どうかお見捨てなきよう、お願いいたします(ぺこぺこ)。