ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

どうもこんばんは。寒くなって来ましたね~。
わが家は早々にこたつを出しまして。私は自宅にいる時はほぼ終日コタツムリ状態に
なっております(笑)。
こたつって、ほんとに人間をダメにしますよね・・・(しーん)。
日に日に、自分がダメ人間化していくのがわかる今日このごろのワタクシであります。


さてさて、読了本は三冊。相変わらず、いまひとつ読書の方は捗っておりませんが・・・。
読書の秋の筈なのに、おかしいなぁ・・・。
また、予約本ラッシュの波がやって来そうなので、もうちょっとペースを上げたい所です。
東川さん新刊も回って来ていますしね(まだ引き取りに行けていないのですが^^;)。
明日は東野さん新刊の発売日。夜勤明けの相方に予約をお願いしているので、早めに
回って来ると良いなぁ。文庫だから、入荷遅いかもしれませんけれどもね。


ではでは、今回の読了本感想をば。


柚木麻子「伊藤くんA to E」
顔はいいが、性格は最悪の伊藤くんを巡る5人の女性たちの物語。
いやー、柚木さん、よくぞこれほどイタイ男を描いてくれましたねぇ。もう、いっそここまで
痛い人間を貫いてくれると、清々しいくらいです(嘘)。いやもう、ほんと、イライラさせられ
たなぁ。しかしね、ほんとに理解できないんですが、なんでこんなクソ男(汚い言葉で
すみません^^;)にこんなに惚れる女がいるんですかね。顔がいいって得ですね・・・。
でも、最初顔から入ったとしたって、付き合って行けばその性格はわかってくると思うん
ですけどね・・・。でも、世の中には、ダメな男にこそ魅力を感じる女性がいるらしいです
からね・・・ダメンズなんて言葉も流行りましたしね。ある意味、非常~に、時代に即した
リアルな物語なのかもしれません。
いやもちろん、5人全部が伊藤を好きな訳ではなくて、伊藤の本質を見抜いて嫌悪している
女性もいるのですけれどね。
それに、出て来る女性たちも、それぞれにイタい所を持っていたりもして。ただ、それぞれに
共感できる部分もありましたし、さほど彼女たちの方に嫌悪は覚えなかったのですが。ただ、伊藤を
好きになる部分に関してだけは、全くもって理解不能以外の何者でもなかったです。目を覚ませ!
って何度も思ってました(笑)。
彼女たちが伊藤から離れて幸せになることを願うのみです・・・。そして、ここまで
自己中で自意識過剰で他人に厳しく自分に大甘な伊藤くんが、これからどんな人生を送るのか、
非常に気になることは間違いありません。伊藤というトンデモナイ人物像を描き出した時点で、
この作品は成功してるんじゃないですかね。
柚木さんらしい毒があちこちに散らばっていて、イライラしつつも読まされてしまいました。


貫井徳郎「北天の馬たち」
横浜の馬車道で喫茶店のマスターをしている毅志と、その喫茶店の二階で探偵事務所を
営む皆藤と山南。毅志は二人の人柄に惹かれて探偵事務所の手伝いをするようになり、彼らの
ところに持ち込まれる様々な案件に関わることになります。けれども、二人の探偵には
毅志の知らない秘密があるらしく、毅志は次第に彼らの行動に疑問を覚えるように・・・というのが
あらすじ。
著者デビュー20周年記念作品だそうで、読む側にも俄然期待は高まったのですが・・・。
ん、んーと、あ、あれ?貫井さん・・・ど、どうしました?^^;;なんか、こう、全体的に
キャラも物語も薄っぺらいような・・・。前作に続き、作品に深みがない気がして。なんだか、
読んでいて常に違和感を覚えていたような気がします。最後にどかーんと、仕掛けがあるのかなーと
一縷の望みをかけて読んでいたのだけれど、それもやっぱり肩透かし。
ラスト、皆藤と山南の伊丹に対する行動も、もうちょっとちゃんとした計画があるのだと思って
いたので、あの行動にはガッカリさせられました。探偵なのだし、もっとほかにいくらでも
やりようがあったんじゃないのかな・・・。皆藤と山南のどちらがやるのか決める方法も
安易すぎるし。
なんだか、最近の貫井作品はどうも設定の甘さが目につくような・・・。好きな作家なだけに、
期待が大きいせいでそう感じてしまうのだろうか・・・。二時間ドラマの脚本ならいいかも
しれないけど、ミステリーとしては、正直評価できる作品ではなかったです。これが、症候群
シリーズや、『空白の叫び』を書いた作家だとは思えないのだけれど・・・。
うーん、うーん。それでも、次回作こそは!って思いながら読むのでしょうね(苦笑)。
貫井さんなら絶対もっと傑作を書ける筈っ。次回こそは、もっと重厚なガツンとしたミステリーを
お願いしますっっ(←エラそうですみません・・・ファンだからこその、苦言としてお許し
下され)。


相沢沙呼「マツリカ・マハリタ」
シリーズ第二弾。廃墟ビルに棲む謎の美少女と、彼女の下僕と(勝手に)認定され、学校の怪談
調べさせられる羽目に陥る男子高校生による青春ミステリー。マツリカさんのドSっぷりと、柴犬
こと柴山くんのドMっぷりが更にエスカレートしていて楽しめました(笑)。前作の内容結構忘れ
ちゃってるんですが、マツリカさんって、こんなにいちいち行動がエ○かったでしたっけ?^^;;
マツリカさんのキャラは完全にエ○系ラノベのヒロインですよね・・・。彼女の言動にいちいち
翻弄させられ、その度に健全な男子高校生らしい反応を見せる柴山君が、ちょいちょい可哀想に
なりました(苦笑)。
キャラ先行のお話かと思いきや、作品によっては盲点をつかれるトリックもありましたし、
最後の話には多いに騙された部分もあるので、意外とミステリとしても楽しめました。
最後の話は、一旦は最悪のオチなのかとガッカリさせられそうになりましたが、最後の最後で
ガツンとやられましたね~。大笑いするマツリカさんが可愛らしかったな。今回の作品で少し
マツリカさんのことがわかって来た気もするけれど、相変わらず彼女がなぜ廃墟ビルにいるのかの
謎は明かされないまま。まだまだ、彼女の存在自体がミステリーのようです。柴山との
距離も少しづつ縮まっている感じがするし、更なる続編が描かれることを期待したいですね。
人によっては、柴山の自虐が酷すぎてイラっとするみたいですが、私も学生時代はどちらかというと
柴山よりの人間だったので、個人的には彼の内面心理はかなり共感出来るところが多いです。だから、
彼には頑張って欲しいし、応援してあげたくなるんですよね。学校に居場所がないとか、他人は
自分のことなんて何とも思ってないし、自分は何の価値もない人間だとか、そういう気持ち。学校
ヒエラルキーで底辺の方にいる(いた)人間なら、誰だって経験ある気持ちじゃないのかな。
でも、今回写真部の部員たちと触れ合ううちに、少しづつ柴山の世界が明るい方に進んでいるのが
嬉しかったです。マツリカさん的には、飼い犬が自分から離れて行くようで、少し面白くない
のかもしれないですけれどね(苦笑)。泣きながらマツリカさんに自分の想いをぶつけようと
する柴山の頑張りに、胸がきゅんきゅんしちゃいました(笑)。頑張れ、柴犬。



来月はもう12月ですね。一言メッセージでも書きましたが、各種年末ランキングがどうなるかも
気になるところ。今年は読了数がさらに減っただけに、個人的な年末ランキングを
発表するかも悩みますが・・・。まぁ、時間があったら考えたいと思いますです。はい。