ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

どうもこんばんは。いやー、寒いですねぇ。今日は朝から天気予報で雪が降る降ると
言っていましたが、今のところまだ雨のままみたいです。
明日朝起きたら雪に変わっていたりするのかなぁ。
私は本当に寒いのが大の苦手なので、部屋にいる時はずーっとほぼこたつに
潜って過ごします。ちびまる子ちゃんか(笑)。
年も迫って来て、そろそろ年賀状作りのことも考えなければ。

さて、今回の読了本は三冊。職場が忙しいので、なかなか読むスピードが
上がらないですね。暇だと、空いた時間にちょこちょこ読んだり出来るんですけど。
予約本がどんどん回って来ていて、ひーひー言っております(現在7冊程・・・^^;)。
でも、年末年始のお休みが挟まるので、貸出期間がかなり長くなるのが救い。
今から回って来る本は引き取り期限も年明けになりますしね。


では一冊づつ感想を。


大倉崇裕「問題物件」(光文社)
不動産会社に勤める恵美子は、ヘルパーの資格を見込まれ、前会社社長の遺児で病弱な雅弘の
世話係に任命される。更に、派閥争いの煽りを受け、雅弘と共に、会社が扱う問題物件に対する
クレーム対応係の部署に回されてしまう。現社長の指示の元、次々と無理難題のクレーム処理
を押し付けられる恵美子の前に、「探偵」を名乗る不思議な男・犬頭が現れ、問題を鮮やかに
解決に導いて行く。

手元に本がないので、Amazonのレビューを元にあらすじを書いておきました。かなり風変わり
なファンタジックミステリー。主人公の恵美子と共に問題を解決する犬頭(いぬあたまならぬ、
いぬがしらです)の飄々としたキャラクターがいいですね。恵美子とのとぼけたかけあい
漫才みたいな会話も面白かったです。犬頭の正体は当然作中に出て来るアレなんでしょうけど、
それが本当かどうかは明言されないまま。気になる点がいくつも残されたまま終わっているので
(雅弘の病気のこととか、現社長との確執の部分とか)、続編を想定されているのでしょうか。
ただ、一話ごとの話の流れが毎回同じような感じなので、後半はちょっとマンネリ気味に感じ
たかも。犬頭が登場した時の、恵美子の「いぬあたまさん!」犬頭の「いぬがしらだ!」
やりとりも毎回判を押したように同じだし。その辺り、多少のアレンジを加えても良かったのでは
ないかなぁ。あと、雅弘も病弱なだけじゃなくて、もうちょっと何かしらの活躍をさせて
あげて欲しかったな。二人があれほど愛情を注いで守ろうとしている人物なのですから。
一風変わった探偵ものなのは間違いないですが、本来のミステリ部分でもう少し読ませて
欲しかったですね。


福田栄一「探偵の流儀」(光文社)
探偵事務所の所長嶋岡が、階段から落下し意識不明の状態になってしまう。残された所員たちは、
東京から叔父の為に上京した姪の美菜子を代理所長に据え、事務所の存続と嶋岡の転落事件を
調べる為に奔走する。

福田さんの探偵ものと知って楽しみにしていたのですが、ちょっと微妙な出来だったかなぁ。
それぞれのキャラ造形が中途半端なせいか、どうも、どの人物にも感情移入出来ずに終わって
しまった感じでした。それぞれの身体的特徴等の情報が少ないので、なかなか頭に人物像が
描けなかったです。美菜子のキャラクターも、美人なのかそうでないのか、いまいちよく
わからなかったし。ストーリー展開も、いまひとつ盛り上がりに欠けるので、途中ちょっと
中だるみに感じました。松代は福田さんらしいお人好しキャラだと思うので、もっと松代
中心に話を進めて行けば「らしさ」が出たように思うのですが。
最後はちょっと上手く行きすぎな感じが否めなかったですが、いい方向に進んで読後感は
悪くなかったです。ただ、今後嶋岡が目を覚まして現場復帰出来た時、美菜子はどうなるの
かなーと、そこがちょっと気になりました。まぁ、そのまま所員として残ることも出来る
でしょうし、有名商社の第一線で働いていたスキルがあれば再就職もさほど難しくはない
でしょうけどね(羨ましい・・・)。ちなみに、事務所の一番下っ端・飯田だけは、
「リーガルハイ」に出て来る古美門先生の内偵役のジャニーズ君を思い浮かべて読んでました(笑)。


柚木麻子「私にふさわしいホテル」(扶桑社)
小説家として華々しくデビューする筈が、アイドル作家と同時受賞の賞を受賞したばかりに
散々な扱いを受けた加代子。しかし、並々ならぬ野心と発想力を併せ持つ彼女は、自らの
力で有名作家へとのし上がって行くべく邁進して行く。

第一話では、主人公の加代子を、なんと痛い女なんだー!と辟易させられましたが、一作
読み進めて行くごとに、彼女のバイタリティーに呆れるを通り越して感心させられてしまい
ました。いやー、ほんと、柚木さんの描くキャラって、いい意味で常軌を逸してていいですね
(褒めてます)。振り回される方には絶対なりたくないですけど^^;実際、加代子みたいな
野心家じゃないと、出版業界みたいな厳しい世界では生き残って行けないのでしょうね。
まぁ、ここまで強烈なキャラのひとは珍しいでしょうけど・・・^^;出版界の内情を赤裸々に
ぶちまけてくれて、若干大丈夫かなーと心配にならないでもなかったけれど、読んでる方は
非常に面白かったです。
実在の作家がちょこちょこ出て来るところもちょっと嬉しい。本人に許可は取っているので
しょうけれど。朝井リョウ氏とは雑誌で親しげに対談しているのを読んだこともありますし、
プライベートでも親しくされているのでしょうね。
加代子が本屋大賞ならぬ書店員大賞1位になるきっかけになった、万引き犯逮捕の際に、
犯人に放り投げた本が京極さんの『ルー・ガルー2』だったのにウケました(笑)。何冊もある
万引き本の中から、とっさに分厚い京極さんの本を凶器にする辺り、さすが加代子だと思い
ましたね(苦笑)。
最終話の復讐劇も、ここまでやる!?と思いつつ、なんだか最後には痛快な気持ちになりました。
執念深いといえばそれまでなんですが・・・^^;なんか、この話、どうも水嶋○ロの例の
小説を揶揄っているようにしか思えなかったのですが・・・^^;;
宿敵東十条とタッグを組んで、遠藤をやり込めようとした話も面白かったです。なんだかんだで、
加代子と東十条先生ってベストパートナーなのでは?(笑)ラストシーンで踊る二人の姿を
思い浮かべて、しみじみそう思ったのでした。
やー、面白かったです。加代子の性格は、じめじめした所も多くって自虐的だしあり得ない
言動ばかりでしたが、なんだか憎めないキャラクターでした。柚木さんの作品、まだいくつか
読み逃しがあるので、他のも全部読みたくなってきた。俄然今後も注目したい作家さんですね。





今日職場の人に頼まれた本を買いに久々に本屋に行ったら、宮部さんの杉村シリーズの新作が
出ていました。
時間がなくて図書館予約出来なかったけど、明日は絶対予約しなくては!!相当遅れを
取りそうですが・・・(涙)。ドラマ化もされたので、予約数もすごくなりそうですね。
読むのが楽しみです。