ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

米澤穂信/「犬はどこだ」/東京創元社刊

青春小説の急成長株、米澤穂信さんの「犬はどこだ」。

新進気鋭の作家を次々と採用しているミステリフロンティアシリーズからの刊行。このミスにも
ランクインし、話題になった一作。

自らの体質ゆえに都会生活から脱落し故郷に帰った紺屋長一郎。新機軸を開こうと犬探し
専門の調査事務所を開くが、なぜか舞い込んで来た依頼は失踪人捜索と古文書解読だった。
押しかけ助手に立候補した高校の後輩、半田平吉に古文書解読を任せ、紺屋は失踪人捜しを
始めるが、二つの事件は複雑に絡み合って繋がって行く。

構成はなかなか面白い作品ではありますが、私自身は期待して読んだわりには普通だったかな、
という印象。ラストはもうひとひねりあっても良かったかな。二つの事件が交錯して、ラストに
繋がって行くくだりは面白かったのですが、主人公紺屋のキャラクターがとにかく達観しすぎて
いて25歳には思えない。文章に妙な違和感がずっとついて回って、純粋に楽しめなかったです。
主人公をこのキャラにするなら、設定年齢をもっと上げても良かったんじゃないのかなぁ、と。
さよなら妖精」でも文章がネックになって、いまひとつ面白く読めなかったので、私自身が
この人の文章が合わないせいかもしれません。物語自体はよくできていると思うので、あとは
好き嫌いの問題でしょうね。私としては、純粋な青春ミステリ「春期限定いちごタルト事件
や「クドリャフカの順番」なんかの方が単純に楽しめて好きですね。