ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

森絵都「クラスメイツ 前期」/岡崎琢磨「珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」

はいどうも、こんばんは。
今日は台風一過で暑い一日でしたね~。
最大級の大型台風襲来ということで戦々恐々としておりましたが、関東は
さほどの被害もなくさらっと通りすぎて行きました。
自然災害はほんとに誰にもどうにも出来ないから、恐ろしいですね・・・。


今回も二冊読了。ミステリと青春小説と。読んだ順番はミステリの方が先なのですが、
ネタバレ表記の関係でミステリの方の感想を後回しにさせて頂きたいと思います
(私以外の方にはどーでもいいですね^^;)。


では、一冊づつ感想を~。

森絵都「クラスメイツ 前期」(偕成社
少し前に後期を先に読んでしまったのですが、割合早く前期も回って来て
良かったです。中学1年生のひとクラスの生徒たちによる青春群像劇。
ひとクラス24人全員に一人づつスポットが当たる形なので、それぞれのキャラの
個性がわかっていいですね。大抵こういう学園ものだと、主人公とその周りの
数人だけがクローズアップされて、それ以外はその他大勢、みたいな扱いに
なってしまうものですが。
陸と田町さんの夏の一日の出来事や、アリスの恋愛顛末など、先に後期を読んで
しまっていたのが残念な作品もありました。もう一度後期も読み返したいなぁ
(ついこの間読んだばかりではあるのですが、前期を読んだ上で読むとまた
ちょっと違うと思うので・・・)。
ハセカンのジョン・レノンカットの話は面白かったですね。いくら何でも、
今の時代に中学生がジョン・レノンカットにしてほしいって美容院に行く訳
ないじゃないかー!!とツッコミたくなりました(苦笑)。美容院のおばちゃん、
あんまりだよー(苦笑)。でも、結果オーライだったのだから、何が幸いするか
わからないものですねぇ(笑)。
仲良しグループが三人になると、自分一人あぶれてしまうのではないかという恐怖に
怯えるしほりんの気持ちは共感出来たな。三人だと、どうしたって気の合う二人と
一人に分かれちゃったりするものだもの。自分一人疎外感を覚えて悲しい気持ちに
なったりするの、私も覚えがあるなぁ。二人組の方は、意識しなくても、どこかで
残りの一人に対する優越感を持っていたりしてね。女の子って、そういう意地悪な
面があったりするのよね。
後期同様、それぞれに中学生ならではの悩みや喜びがストレートに描かれていて、
爽やかでした。
それにしても、今の中学校って24人しかクラスメートがいないのか・・・。まぁ、
もちろんそれぞれの学校によって違うのだろうけど(地方なんかはもっと少なかったり
するのだろうし)、私の時は40人くらいいたんじゃないのかなぁ。
一緒のクラスになっても、最後まで話したことないクラスメートがいた覚えが・・・。



岡崎琢磨「珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」(宝島社文庫
一時期、非常に話題になっていた時から気になっていた作品ではあったのですが、予約が
多くて結局読み逃していました。ブロ友のゆきあやさんの高評価記事につられて慌てて
図書館検索してみたところ、すでに開架に並んでいることが判明。早速借りてみました
(とはいえ、二巻、三巻はまだまだ予約がたくさんでしたが^^;)。
気づいていなかったのですが、これってこのミス大賞系の作品だったのですね。大賞は逃した
けれど、良い作品なので全面改稿を条件に、文庫化されたのだとか。

舞台は京都、路地の傍らにひっそりと看板を構えた純喫茶タレーラン。その店の珈琲に惚れ込んだ
主人公のアオヤマは、度々この店に訪れるように。けれども、アオヤマが惚れ込んだのは、珈琲
だけでなく、その珈琲を淹れる女バリスタの美星にもだったのです。そして、タレーランには
度々不可思議な謎が持ち込まれ、その度に可愛らしいバリスタの美星が珈琲豆を挽きながら、
鮮やかにその謎を解き明かすのです。
ひとつひとつの話にはそれほど目を瞠る謎解きがある訳ではないのですが、終盤、全体通しての
ある大きな仕掛けが明らかにされます。そこは素直に騙されてました。ほほう、なるほどぉ、と。
ただ、そのミスリードのキモとなるある場面に関して、どうも納得が行きかねる部分があって、
手放しで褒める気にはならなかったというのが正直なところなのですが。疑問を覚えたその
箇所に関しては、後ほど詳述します。
美味しそうな珈琲とアップルパイに、ツンデレっぽいバリスタ、押しの弱い主人公のアオヤマ、
女好きでお茶目な初老のオーナー。個々の設定はなかなか好みなんですが、それぞれの
人物造形がちょっと中途半端なところがあって、若干はまりきれなかったかも・・・。
アオヤマの元カノの真美のキャラ造形には首を傾げるところも多かったですし。彼女、一体何が
したかったんだろ。
あと、美星のストーカーの男の言動も正直意味不明。いかにもストーカーの心理って感じ
だったけど、完全に逆恨みですよねぇ。こういうタイプが一番厄介なんだろうなぁ、と
思いました。怖い、怖い。
美星さんの暗い過去やらアオヤマと彼女のつかず離れずの関係やら、なんとなく、全体的に
『ビブリア古書堂~』の二番煎じ感は否めなかったのですが(ごご、ごめんなさい~~読んだ
順番がどうしてもあっちが先だったのでぇ・・・^^;;)、こちらはこちらで違った味わいで
楽しめました。
とりあえず、アオヤマと美星さんの関係がどうなっていくのかは非常に気になりますね。続きも
予約しておかなければ(予約数が多いんで、いつになるやらわかりませんが^^;)。
美星さんが、珈琲豆をコリコリと挽きながら謎解きを考えるところがなんだか可愛らしかった
ですね。あの、珈琲豆を挽く道具、以前から欲しいとずっと思ってたんです。っていうか、
あの動作をずっとやってみたくって。昔、好きだった漫画に出て来て憧れてたんですよね~。
珈琲は大好きなんですが、そんなに拘りがないので、普段はインスタントばっかり飲んでる
人間なんですがね^^;




※以下、ネタバレあります。未読の方はご注意を!!
























先述した、腑に落ちない点ですが。
気になったのは、病院で、語り手が花を持って看護師同士の話を立ち聞きするところ。
看護師が、怪我をした人物が怪我の理由を言いたがらないのは、性暴力をされて
脅されたからじゃないかと推察するのですが、それがどうにも私には納得が行きかねる
のです。ミスリードされたまま読んでた時は何の疑問も覚えなかったのですが、
そこがミスリードのキモとなる場面だったとその後知ってからもう一度読むと、
どうしても腑に落ちない。だって、男が怪我させられて理由を言わなかったからって、
性暴力されたって発想になります、普通?それが女性であるならすんなり受け入れ
られるのですが。ちょっと、その描写はやり過ぎというか、アンフェアなんじゃ
ないのかなーと思ってしまいました。
この仕掛自体は非常に良く出来ていると思うし、巧いとも思うんですけども。
そこに引っかかって、素直に感心するところまでは行かなかったんですよね・・・
ひねくれてて、すみません(><)。













なんか、書いてみたら思ったよりも辛口の感想になっているような・・・
ごめんよ、ゆきあやさん~(><)。
基本的に、このミス大賞系とは相性が悪いことが多いんですよね、私^^;;
でも、こういうカフェミステリーは好きなジャンルだし、それなりに楽しめたことも事実なので~。
続きも読みますよ!