ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

柳広司「ナイト&シャドウ」/原案・金城一紀小説・古川春秋「BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」

どうもみなさま、こんばんは。
残暑が厳しいですが、みなさまご体調などいかがでしょうか。
それにしても、一週間経つのが早いですねぇ。8月ももう後半ですか。
暑い暑いってひーひー言ってるのももう後僅かですかね。
そういえば、今年はバーゲンとか結局行かずに終わってしまったなぁ・・・。
今頃デパートはもう秋物ばっかりですよね。もともとあまり物欲はない方ですが、
最近更にお洒落とは縁遠くなっているような・・・これって、女性として、どうなんでしょう
・・・しーん。


さて、今回は二冊読了。池井戸さんももうじき読み終わりそうですが(多分あと一時間程あれば)、
そちらは次回に。


では、一冊づつ感想をば。


柳広司「ナイト&シャドウ」(講談社
柳さん最新作。タイトルの付け方が似てるので、『キング&クイーン』の続編なのかと思いきや、
全く別のお話でした(苦笑)。今回の主人公は警視庁警備部警備課・・・って書くとわかりにくい
ですが、いわゆる『SP』です。V6の岡田君が演じてたあのSPね(私はドラマまともに観たことない
けど^^;)。主人公の首藤は、もともと内閣総理大臣担当をしていたSPの中でもエリート中の
エリート。すべての能力に秀でていて、凄腕のSPとして名を轟かせていた存在。けれども、優秀
過ぎたが故に、ある出来事がきっかけで、部内では煙たがられるようになってしまいます。そこに、
日本のSPがお手本としているアメリカ合衆国シークレットサービスから、突然日本のSPから優秀な
人材を一人、研修生として受け入れる旨が通知されて来ます。上層部は、そこで体よく厄介払いが出来る
と言わんばかりに、首藤に白羽の矢を立てます。首藤は単身、合衆国のシークレットサービス
乗り込むことに。首藤は、現地で出会った美人フォトグラファーの美和子と、首藤の教育係である
バーン捜査官と共に、大統領を狙うテロ事件に巻き込まれるて行く・・・というのが大筋。
主人公の首藤がとにかくカッコイイ!!まるで、アニメか漫画の世界の主人公のようです。クールで
タフで優秀でおそろしく強い・・・そりゃー、こんな人に出会ったら、女性はメロメロになっちゃう
よなー(笑)。これだけ優秀なら、D機関にいても違和感なさそう。時代が違うけど(苦笑)。
ストーリーも緊迫感があって、ドラマティックで、ぐいぐい読まされてしまいました。面白かった。
終盤、事件のからくりがわかる部分も、しっかり伏線が効いていて、なるほどー!と思わされました。
美和子との最後の部分だけは、どっかで読んだことあるような展開だなーとちょっとガッカリ
しちゃいましたけど。まぁ、首藤らしいといえば、首藤らしいのかな(苦笑)。彼なりの優しさ
なんでしょう。SPと恋愛するなんて、後々いろいろ弊害がありそうだしね。常に危険と背中合わせ
なのは間違いないところでしょうし。
時代設定は、あの9.11のテロ事件が起きる直前のアメリカ。あの事件の前と後でも、シークレット
サービスのあり方が大分変わったのでしょうね。一つの大きなテロ事件が起きる度に、要人警護の
ノウハウも変わって来ているのでしょう。アメリカの銃規制に関しても、いろいろと考えさせられ
ました。日本とは根本的な考え方が全く違うというのがよくわかりました。アメリカのように、民間人が
自由に銃を手に入れられる国には暮らしたくないなぁ・・・。怖すぎ(><)。
柳さんらしいスタイリッシュなSP小説だったと思います。『キング&クイーン』は終盤ちょっと
肩透かしな感じがあったけど、こっちは設定とキャラとストーリーが見事にはまっていてよかった。
首藤のキャラはかなりお気に入りになりました。シリーズ化してくれないかなー。


小説・古川春秋 原案・金城一紀「BORDER 警視庁操作一課殺人犯捜査第4係」(角川文庫)
金城さんが脚本と聞いて、ドラマも俄然観ようと意気込んでいたのですが、日々の家事に追われて
結局一度もまともに観れず仕舞いで終了(涙)。せめて小説を!と借りてみました。ネットでの
情報によると、小説のストーリーはドラマでやっておらず、完全なオリジナルなのだとか。
設定もちょっと違っているのかな?ドラマちゃんと観れなかったので、私には違いが全然わからない
のですが^^;
主人公は警視庁捜査一課の刑事、石川安吾。ある事件の際に、頭に弾丸を受け、五日間の生死を
さまよった後奇跡的に一命を取りとめ、職場に復帰。その時を境に、死者と対話が出来る特殊能力
を身につけました。つまり、石川は、殺人事件の被害者と対話が出来る、ということです。
石川は、被害者の霊と出会う度、『あなたを殺したのは誰ですか?』と尋ねます。そこで死者が
覚えていれば即行で事件解決、となるのでしょうが、ことはそう単純には行きません。犯人が
顔を隠していたり、後ろから狙われていたり、不意打ちで殺されていたりと、犯人の顔を見ていない
場合もあるのです。それに、犯人を教えてもらっても、証拠がなくては逮捕出来ませんから、
石川は単独で証拠探しに奔走する羽目になるのです。亡くなった被害者と話が出来るなんて、刑事もの
としてはアンフェアな設定じゃないか、と思いきや、意外と上手く設定が生かされているな、と感心
させられました。
石川のキャラは、もともと小栗旬のキャスティングが決まっていて、彼をイメージして作られたの
だとか。小説も、石川だけは小栗旬のイメージで読んでましたね。っていうか、単純に他のキャラの
キャスティングがわからなかっただけとも云えるんですが^^;
特別検視官の比嘉さんは、苗字からなんとなく比嘉愛未さんをイメージして読んでたんですが、
ネットで見てみたら波留さんがやっていたそうです。そう言われてみれば、出ていたような気が・・・。
石川を勝手にライバル視している立花刑事との絡みは、もう少しあっても良かったかなー。
せっかくそういう設定を作ったのに、あまり二人が一緒に捜査するシーンなんかがなかったので。
ドラマの方ではあったのかもしれないですけども。
あともうひとつ不満に思ったのは、犯人は鬼、という部分の種明かしがちょっと肩透かしだったところ。
鬼に見えたのは、何か理由があるのかと思ってたんで・・・まさかそのままだとは^^;っていうか、
あの突起って一体何だったんでしょうか。生まれつきのコブ??謎。
三津田(信三)さんあたりなら、そこに何らかのからくりが用意されてるところだろうなー・・・とか
つい思っちゃうんで(ミステリ読みはこれだから・・・)。
しかし、一番残念なのは、小説版を執筆したのが金城さんご本人じゃないことですね。なんで、
原案だけなんだー(T_T)。脚本もやったなら、ノベライズまで面倒見てよー^^;
古川さんって、他にどんな本を書かれているのでしょうか。始めて名前見たなぁ。
ドラマは最終話が衝撃的なラストだったらしいですね。ドラマもちゃんと観てみたかったー(ToT)。
まぁ、小説は小説で、なかなか楽しめる内容でした。