ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

池井戸潤「銀翼のイカロス」/畠中恵「すえずえ」

どもども。今日も暑い一日でしたねぇ。
昨日は私事で恐縮なのですが、ワタクシめの第○回目の誕生日でして。
毎年憂鬱でしかないこの日ですが、夜は仕事の後、相方が予約してくれたレストラン(フレンチ)
でお祝いしてくれました。ここ三年程毎年同じレストランに行っているのですが、
小さいながらも落ち着いた雰囲気で、本当にお料理が美味しくて気に入っています。
デザートプレートには「HAPPY BIRTHDAY ○○」の文字を入れてくれて、お花を渡して
お祝いしてくれます(ちょっぴり周りの目が気になって気恥ずかしいですが^^;)。
夜のディナーはちょっとお高いので(年一回だけの贅沢^^;)、今度はランチに
行ってみたいな~。今年も本当に美味しかった~。
ちなみに、親からはティファールの圧力鍋をもらいました。これで美味しい煮込み料理を作るぞー!(使いこなせるのか^^;)圧力鍋を使ったオススメ料理をご存知
でしたら、是非ご一報くださいまし。ぺこぺこ。


と、余談はそれくらいにして、今回は二冊。
例のあのシリーズ最新作ですね。読み始めたら止まらず、あっという間に読み終えちゃいました。


池井戸潤銀翼のイカロス」(ダイヤモンド社
はい、というわけで、現在書店売上ぶっちぎりの1位ではないかと思われる(多分ね)、半沢シリーズ最新作。
今回も見事なまでの勧善懲悪というのでしょうか、最後はスカッと気持ちよく読み
終えられました。
今回半沢が担当させられたのは、経営危機に瀕する国内老舗の航空会社、帝国航空
の立て直し。
中野渡頭取直々の指名で担当に任命されます。半沢は独自の再建案を打ち立てますが、そこで新政権の国土交通大臣・白井亜希子からの横槍が入ります。白井は、「帝国
航空再生タスクフォース」を立ちあげ、自らが帝国航空の立て直しを行うことで、
国民に自分の力をアピールしようと目論んでいたのです。そして、その再建案は、
各銀行に、帝国航空に関する債権の放棄を求めるものでした。独自の再建案も認め
られず、ただ闇雲に債権放棄を打ち立てて来た白井たちの態度に納得がいかない半沢。最後に一矢報いて倍返しは成功するのか――?というのが大筋。
今回は政治も絡んで、よりスケールが大きくなりました。なにせ、相手が国内大手
の帝国航空。
どうしたって、J○Lのあの騒動を思い出す訳ですけれど。
大臣の白井たちの理不尽で身勝手な言い分に、ムカムカしっぱなし。自分たちのお手柄の為だけに倒産寸前の航空会社を利用するなんて、本当に汚い人たちだと腹がたち
ました。
あの金融庁の黒崎検査官が、今回もいい味出してくれてます。最初に登場した時は、
ほんとに半沢のことが嫌いなんだろうな、という印象だったのですが、終盤、
なんだかんだで半沢には一目置いてる所もあるんだろうな、と思わされました。
半沢ならやってくれる、みたいな思いがあったのでしょうねぇ。黒崎も、白井たち
進政党のやり方には納得いかないものがあったのでしょうから。まぁ、今回のことが
あったからといって、金融庁検査の際に手心を加えてくれるなんてことは一切ない
でしょうけど^^;しかし、黒崎って実は、これの連載始まった当初は登場させる
予定なかったらしいのですが、ドラマの収録現場に行った池井戸さんが、あまりにも
愛之助さんの黒崎がハマっているものだから、これは連載の方にも登場させなきゃ
いかん、みたいに思って登場させることにしたそうです。原作にも影響を与えちゃう
ほど、愛之助さんの黒崎の存在感は凄まじかったのでしょうねー。
心の病で心配だった近藤も、今は広報の方で元気にやっているみたいでほっとしました。同期に半沢みたいな人間がいるのは本当に羨ましい限りです。敵も多いですけど
ね^^;でも、曲がったことを曲がったまま放置しないで、きちんと道理を通す
半沢のやり方は、本当に読んでいて気持ちがいい。勤め人はこうあるべきだ、と
いうのを体現してくれているようで、身が引き締まる思いがします。半沢の部下も
羨ましいな。大抵、会社の上司なんてロクでもない人間が多かったりするのだもの
(偏見?^^;)。
上司自らが正しい行動を示してくれるのであれば、そりゃ部下も率先してついて
行きたくなりますよね。
残念だったのは、今回は全く半沢の家庭でのシーンが出て来なかったところ。普段
職場では見せないラフな半沢が見れるので、花さんとの会話シーンは結構好きなん
だけどなー。しかし、あんなにしょっ中仲間と飲みに行って、奥さんから怒られ
ないのかしらん。銀行員の妻は、それくらい我慢しなきゃ行けないんですかねぇ。
私だったら絶対キレてるね(苦笑)。
今回最大の驚きは、ラストのあの方の去就。途中からまさか・・・とは思っていたの
ですが、やっぱり、そういう結末になってしまった。とてもとても、残念です。
これからどうなってしまうのでしょう。勇退されるのかな。
今回も痛快に読み終えました。次回はどんな敵と戦うのかな~。そういえば、ちらっと
大和田常務の名前が出て来てニヤリとしちゃいました(笑)。今はどうされているのやら。


畠中恵「すえずえ」(新潮社)
しゃばけシリーズ最新作。シリーズ第13弾になるそうです。東京バンドワゴンシリーズ同様、年一度のお楽しみ、みたいになってますね(毎年一冊出る)。
若旦那と妖怪たちの関係も、一作ごとに少しづつ変化しているように感じます。
ここ数作で、妖怪たちとの別れの気配がそこはかとなく漂い始めていて、そろそろ
終わってしまうのかな、と毎回寂しく感じるのですが、今回、まさに一太郎はその
問題に直面します。その発端となるのは、冒頭の栄吉のお話でしょうか。栄吉にも
ついに春が!!なんと、栄吉に見合い話が持ち込まれます。
途中、一太郎と珍しく衝突するので、らしくないな、と思ってましたが、その理由は
実に栄吉らしい純情さから来るものでした。栄吉と結婚したら、すごく幸せになれ
そうですよねぇ。一途に思ってくれそう。亭主関白とは一番縁遠い性格でしょうね
一太郎もでしょうけど(笑))。
しかし、栄吉がまさか!と思っていたら、ついに一太郎にも見合い話が!展開が
早いなーとビックリしました。ま、時代と彼らの年齢を考えれば当然のことなんで
しょうけども。
妖怪たちと離れることになってしまうのかと心配しましたが、一番私が望んでいた
展開になったので嬉しかったです。一太郎のお嫁さんになる人は、絶対妖怪が見える
人がいいと思っていましたから。兄やたちが出した結論も嬉しかったですね。
あんなに若旦那のことを大事にしている彼らと若旦那を離れさせるなんて、絶対
無理だと思いましたもん。
於りんちゃんは、まだ幼いけど、あと数年もしたら、絶対しっかりした素敵な女性に
成長するでしょうね。お似合いになるんじゃないのかな。結構年は離れているけど
^^;
おたえさんの話も良かったです。おたえさん(一太郎の母親)の、窮地に立たされて
いるのに、全くそんな風に思えないのほほんとした佇まいが何とも可愛らしい。
こういう母親から育てられたから、一太郎はあんなに優しい子に育ったのだろうなぁ、と納得でした。
そして、鳴家たちには本作でも大いに癒されました。きゅんわー、きゅいきゅい。
甘いものに群がる様子に萌え~でした(笑)。
何はともあれ、一太郎と妖怪たちがもう少し一緒にいられるようになってほっと
しました。
彼らにはすえずえまで、仲良く一緒にいて欲しいものです。