ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

どうも、みなさまこんばんは。
いよいよ押し迫って来ましたねー。ワタクシめも昨日が仕事納めで、やっと
今日から休日に入りました。8日も仕事しないでいいなんて、ほんと天国。
今日は午前中掃除して、午後は図書館に行った以外はのんびり。
年賀状もやんなきゃなぁ(←まだやってないんか)。

そろそろ年間ベストも考えなきゃ・・・とは思うものの、記事に出来ると
しても年明けになりそうだなぁ。
もしかしたら、これが今年最後の記事になる・・・かな?


読了本は三冊。一冊は返却期限の関係でもう返しちゃったんで、細かい感想が
書けないかもしれませんがご勘弁を^^;


北國浩二「名言探偵」(PHP研究所
久しぶりの北國さん。タイトルが面白そうだったので借りてみました。
主人公は、谷中銀座商店街の片隅で弁護士事務所を営む堂下法男。
名前は古めかしいですが、28歳の若き弁護士。但し、法律事務所の就職試験に落ちまくり、
どこにも行き場がなかった為、仕方なく何のスキルもないのに叔父叔母の情けで開業した
即独弁護士――略してソクベン。
そんな理由で、当然依頼人はなかなか来ません。来るのは、報酬にならない近所の人々や
知り合いやらの相談事のみという、弁護士というよりは便利屋まがいの仕事ばかり。
嫁姑問題、落書き、騒音問題・・・それらを解決に導くのは、人間嫌いで名言オタクの弟の助言!?
すべてが平凡な法男と、イケメンで名言オタクの弟・律による日常の謎系連作短編集。
うん、なかなか面白かったです。平々凡々な法男と、クールで名言好きの弟のキャラと
会話が良かったです。叔父叔母や法男(と律)の幼馴染で、法男のことが好きな美人看護師の咲
など、脇役キャラも好感持てました。あからさまな咲のアプローチにも全く気付いていない
法男の鈍さには呆れました。なぜあそこまでされて気付かないのか・・・(呆)。
律が、事件解決のヒントを名言で法男に与える、というのが、面白い設定だなーと
思いました。直接律が謎解きをすれば簡単なのだろうけど、そこはちゃんと弁護士である
兄に手柄を立てさせるというところが、兄想いですよね。まぁ、人間嫌いだし極度のシャイ
だから、そういう面倒な矢面に立ちたくないだけかもしれませんが^^;身内以外の人間には
容赦なく厳しい言葉を投げつける律が、兄には甘えたことを言うところもギャップがあって
可愛らしかったです。兄ちゃん大好きっ子なのね。法男が初対面の人に自己紹介する度に、
必ず横から「堂下、おい、どうした」と付け足すところが笑えました(なぜかダジャレ好き)。
いろんな人物の名言が出て来て、感心したのもたくさんあったのだけど、手元に本がないから
引用出来ないのが残念。
ミステリとしても、なかなか面白かったです。三話の遺書の隠し場所にはなるほど、と思いましたし、
遺書を隠したレノンさんの真意にもぐっと来ました。あんな兄夫婦にそんなに義理立てすること
ないのになーとちょっともどかしい気持ちにはなりましたけど。
四話の注射器120本の真相には、さすがに無謀すぎるだろ、とツッコミたくなりましたけど。
でも、その理由にはやっぱり胸が締め付けられるものがあったなぁ。
五話の騒音問題の真相が、個人的には一番驚いたかな。奥歯の詰め物が、こういう現象を
引き起こすって、ほんとうにあることなんでしょうか。歯科に長年従事してますけど、聞いたこと
なかったなぁ。鉱石ラジオって言葉は、どっかで聞いたことがあるのだけれどね。
なかなか面白かったので、是非シリーズ化して欲しいな。また法男と律の法律コンビに会いたいです。


辻村深月「家族シアター」(講談社
辻村さん最新作。タイトル通り、家族をテーマにした物語集。既読のものが二作ありました。
私にも姉がいるので、姉妹の話は共感出来る部分が多かったなぁ。同じ血を分けた姉妹でも、
性格や考え方って全然違ってたりするんですよね。もちろん、似ている部分もあるのでしょうけど。
でも、どんなに性格や意見が合わなくても、やっぱり家族は家族。自分が家族の悪口を言うのは
良くても、人に言われると腹が立つものなんですよね。
どのお話も心に響きました。

一作づつ、簡単に感想を。

「「妹」という祝福」
妹の立場から、姉のことが語られているので、共感出来る部分が非常に多かったです。
うちの姉も、高校ではマンガ研究会みたいな部活にいましたしね。私がマンガ好きになったのは
姉の影響が非常に大きかったんですよね。ミステリにハマるきっかけも姉でしたし。
ただ、このお話では、妹はその手のものに全く興味がなく、見た目を綺麗にする方が好き、
という性格なので、うちとは全然違いましたけど。でも、性格が全く合わない、という意味では、
うちも同じなんで・・・仲はいいのだけど、姉とは絶対的に相容れないものがあるんですよね・・・。
お互い嫌い合っていると思っていた姉妹ですが、ラストのメッセージを読んで、胸が熱くなりました。
もう少し早く、誤解が解けたら良かったのにね。

サイリウム
これは、どこかのアンソロジーで既読。こちらもある意味、オタクの話ですね。こちらは
アイドルオタクとビジュアル系バンドオタクの姉弟の話。これまた、全く相容れない姉弟で。
ただ、相手と自分の趣味が違うからって、相手の趣味を批判するのはどうかと思う。趣味嗜好は
その人の自由なんだから、上から目線で批判する権利なんかないと思うのだけどね。こういう
態度に出られたら、やっぱりムカッとすると思うし、反発心が芽生えて当然でしょうね。

「私のディアマンテ」
これは、分かり合えない母親と娘のお話。娘のことを本当に理解している親なんて、そんなに
いるのかなって思う。友だちには言えることも、親には言えないことっていっぱいあるし。
主人公(母親の方)の義兄嫁の態度にはムカムカしましたね。わだかまりのあった母と娘が、
最後は少し歩み寄れたところが嬉しかったです。

「タイムカプセルの八年」
これもアンソロジーで既読。息子の夢の為に立ち上がる父親の頑張りに胸が熱くなりました。
最初は父親の言動にムカムカイライラしましたけどね。これが自分の父親だったら、絶対
反発心覚えただろうなーと思うな。最後、親父会のメンバーの親交がその後も続いていることが
わかって嬉しくなりました。

「1992年の秋空」
これも姉妹のお話。こちらは小学生姉妹ですが。小学生の頃からの夢が宇宙飛行士なんて
すごいなー。最初は険悪なムードの姉妹ですが、妹の鉄棒事故をきっかけに、姉が妹の夢を
必死で応援しようと頑張る姿が健気で、ぐっときました。二人の将来はどうなったのかな。
姉はなんとなく、妹の言葉がきっかけで、作家を目指すのじゃないかな、と思ったのだけど。
私からみれば、はるかとうみか、どちらもいい名前だと思いました。

「孫と誕生会」
これは、タイトル通り、祖父と孫のお話。長男と次男の孫がいたら、やっぱり頻繁に会う孫の
方が可愛いのは当然のことなのかもしれませんね。それでも、孫は孫。祖父からみれば、
他人の子供なんかより、ずっとずっと可愛い存在。祖父が最後に、実音をいじめた子たちに
ついて言い放った言葉にすかっとしました。私だって、甥や姪が実音のような立場に立たされ
たら、同じ言葉を吐くと思いますからね。

「タムシイム・マシンの永遠」
辻村さんのドラえもん好き全開のお話。かと思ったら、雑誌だかの藤子・F・不二雄先生の特集
為に書いた作品なのですね。
タムシイム・マシンのお話、私は知らなかったです。こうやって、人間は次の世代、また次の世代
へと愛を伝えて行くのだなぁと思ったら胸がいっぱいになりました。私も誰かに、そうできたら
良いのだけれど。


家族の愛がたくさん詰まった作品集でした。やっぱり、家族っていいな。


近藤史恵「私の命はあなたの命より軽い」
奇しくも、こちらも家族の物語。妊娠した主人公が、夫の半年間のドバイ転勤を機に、里帰り出産で
実家に帰ることに。久しぶりに里帰りで東京から大阪の実家に帰った主人公遼子でしたが、母と父、
妹の間の空気がおかしい。しかも、新築してまだ一年しか経っていない家を、父親は売りに出すと
言うのです。どこかよそよそしい空気が漂う家族。次第に、その真相がわかっていく・・・というのが
大筋。
重かったですねぇ。何かあるぞ、あるぞ、と思っていたので、家族がばらばらになった理由には
あまり驚きませんでした。まぁ、その辺りの理由だろうな、と。久しぶりに帰った実家が、
こんな風になっていたらイヤだなぁ。しかも、家族に大変なことが起きていたのに、全く
知らされずにいるなんてことも。たとえ遠く離れたとしても、家族に何かあったら私ならちゃんと
伝えて欲しいと思うな。心配かけたくないから言わなかったとしても、やっぱり、後からこういう
形で知らされたら悲しいし、疎外感を覚えると思う。
妹が主人公の夫を嫌う理由がよくわからなかったのですが、ラスト1ページを読んで、最初に二人
(夫と妹)が会った時に、何か夫からそういう目で見られたとかがあったのかな、とちょっと邪推して
しまいました。
父親の、妹への態度に腹が立ちましたね。そういう出来事があったからこそ、家族は彼女を全力で
庇ってあげるべきだと思うのですけど・・・。彼女が○○した時、その相手への報復行為にも
ドン引きでした。これは、周りから白い目で見られても仕方ないな、と思いました。
ぐいぐい読ませる筆力でほぼ一気読みでした。ラストのドス黒さが近藤さんらしい。でも、
これって、完全に逆恨み以外のなにものでもないような・・・。なんだか、やりきれない虚しさが
残る読後感でした。




おそらく、これが今年最後の更新になるかと思いますので、一応ご挨拶をば。
今年一年、この不定期ブログにお付き合い下さいまして、ありがとうございました。
みなさまどうか、良いお年をお迎え下さいませ。
来年もどうぞ、よろしくお願い致します。