ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

どうもみなさま、こんばんは。
1月ももう後半ですね。早いなぁ。お正月がずいぶん前のような気がする・・・。
前回の記事で図書館本に追われていると述べたのですが、依然必死で読んでおります。
しかし、2日で1冊はやはり厳しい・・・。なんとか今日1冊読み終わりまして、
残りはあと一週間で4冊となりました。あと何冊いけるかな。

というわけで、今回の読了本は三冊。
1冊づつ感想を。

似鳥鶏「ゼロの日に叫ぶ 戦力外捜査官3」(河出書房新社
ようやっと回って来たシリーズ第三弾。今回も軽いキャラ設定に反して、内容は
かなり重め。そして、またもスケールがでかい^^;それに、今回も設楽刑事は
満身創痍で痛々しい状態に・・・。
なんか、設楽刑事、海月さんと知り合って以来、災難ばっかりですね^^;
今回は、スマホを使った犯罪。今流行ってるモンハンみたいな携帯ゲームアプリに
ウィルスをばらまいて、各個人の携帯を使えなくすることで、日本中をパニックに
陥れるというもの。なんだか、異様にリアリティがありますよね。実際、こういう
犯罪近い将来いくらでも起こりそうだな、と怖くなりました。
犯人に関しては、途中完全にミスリードされてました^^;確かに、最初からその人物は
何か怪しいとは思っていたのだけど、それ以上に怪しい人物がいたから、そっちにばかり
気を取られてしまいました。うーん、してやられたり。
ヘタレサラリーマンの小出さん、最後にいい仕事しましたね~。小出さんのように、
いいことをしようと思っても、タイミングが合わなかったり気恥ずかしかったりして、
実際出来ずに終わることって結構あるんじゃないかな。電車で座席を譲るのだって、
結構言い出すタイミングとか難しかったりする時ありますよね。何の躊躇もせずに
できちゃう人もいるとは思うけど・・・(うちの相方はそっちタイプ。私は前者タイプ)。
でも、最後に彼はたった一言叫んだだけでヒーローになれたのだから、勇気を出して
良かったですね。ついつい、頭の中でファンモンの『ヒーロー』が流れてしまいましたよ(笑)。
海月さんの特命の仕事の方のお話もこれから徐々に明らかになっていくのでしょうね。
まだまだシリーズは続きそうですね。


東川篤哉「探偵少女アリサの事件簿」
東川さんの新シリーズ。南武線武蔵溝ノ口駅近辺を舞台にした連作短編ミステリー。
主人公は、武蔵溝ノ口・・・の隣の武蔵新城なんでも屋を営む31歳の橘良太。
依頼は、犯罪以外ならなんでも受ける。犬の散歩、店の手伝い、部屋のガラクタの片付け
から、浮気調査や野球部の欠員要員まで。
そんな良太は、ある日武蔵溝ノ口の豪邸に住む名探偵綾羅木孝三郎から依頼を受ける。
仕事でしばらく家を留守にするため、その間娘の有紗の面倒を見てほしいというのだ。
ちなみに、母親は世界的な名探偵綾羅木慶子で、現在エジプトに出張中なのだという。
依頼を受けた良太だったが、有紗は自らを「名探偵」と称するほどに小学4年生とは
思えない聡明な頭脳を持っており、良太の世話など全く必要のない子どもなのであった。
そんな良太は、武蔵溝ノ口の有名画家篠宮栄作の息子・龍也のヌードモデルを引き受けた
際に、栄作殺害の現場に居合わせてしまい、警察から容疑者扱いされていた。有紗
その事件に興味を惹かれ、独自でいろいろと調査をしていたところ、良太がなんでも屋
を営んでいることを突き止めたらしい。有紗は、事件の真相を突き止めるため、良太に
協力を求めるのだった――。
南武線は私もしょっ中使う電車なので、南武線沿線の駅名がいろいろ出て来て
嬉しかったです。モロに地元の駅も登場しましたしね。東川さんの作品って、かなり
地元付近の登場率が高いので、親近感が湧くんですよねー。やっぱり、知ってる土地が
小説の舞台に使われると嬉しいものですね。
ミステリ的には、いつもよりもちょっとキレがなかったような。一話目の富士山の絵の
トリックは面白かったけど。確かに、遠くから見ただけだったら、騙されるだろうなって
思うし(その手の美術館行ったことありますけど、ほんとにアレは騙されるもの)。
二話目の『溝ノ口にいる』の真相は、ちょっと苦しい。そもそも、電車以外の移動手段
のことを全く考慮に入れていないのはなぜなのでしょうか。車よりも電車の方が確実に
早いから??そうだとしても、それを検証するような会話のくだりは必要だったのでは・・・。
三話目の黒い服の女のトリックは、同じような話を以前読んだような。どっかのアンソロジー
とかで既読だったのかなぁ??どうも、似たような話を読んだような気がして仕方が
なかったです。
四話目のグラウンドのトリックはなかなかおもしろかった。痕跡残りそう・・・と思った
けど、ちゃんとそこのフォローもしてあったし。野球好きの東川さんらしいお話だと
思いました。
良太とアリサのコンビがなかいい味出してましたね。南武線の駅はまだまだたくさん
あるから、シリーズが続くと嬉しいな。


畠中恵「えどさがし」(新潮文庫
しゃばけシリーズ初の外伝。文庫での新刊ってのも初めてじゃないかな?
外伝ってことで、一太郎は名前しか登場しません。脇役キャラが主役を張って、
それぞれに活躍します。時空を超えたものもあったりして、ほんとに『外伝』って
感じでしたね。どれも面白かったです。
簡単に各作品の感想を。

「五百年の判じ絵
佐助がなぜ長崎屋で奉公することになったのか、その理由が明かされます。仁吉と
佐助の出会いも。こういう理由があったのかーとびっくり。500年もかけて果たされる
約束。さすが、妖しのものたちはスケールが違いますね(苦笑)。
「太郎君、東へ」
河童の親分、禰々子さんのお話。利根川に坂東太郎さんなんて名前がついているところが
おもしろかった。大河の割に、性格が子どもっぽくて笑えました。禰々子さんがいちいち
カッコ良かったです。
「たちまちづき」
上野の広徳寺の僧侶寛朝の弟子秋英のお話。寛朝のもとに、口入屋大滝屋の主が、
夜道で突然何者かに襲われ、怪我をして養生に来ることに。残された店は若妻が
取り仕切ることになったが、そこで一悶着起きる。気の弱い主が最後に主らしい
気概を見せられて良かったです。身内に裏切られるのは一番きついでしょうけどね・・・。
「親分のおかみさん」
日切りの親分のおかみさんって、前に出て来ましたっけ?全然覚えてなかったです。
最後に出てくる『清吉』も、大人になった後で他の作品に出て来たキャラなのかな?
何かの話と繋がっているのかなーと思ったのですが。全く関係なかったりして^^;
「えどさがし」
時代は、若旦那もいない明治の世。妖したちは相変わらず存在し続け、輪廻してくる
筈の若旦那を待って、いつか再会できると信じて捜し続ける日々を送っています。
やっぱり、いつかはこうなるんだろうな、とは思っていたものの、実際こうしてお話に
なると切ないものですね。限りある生を全うした人間の若旦那と、存在し続ける妖したちと。
でも、生まれ変わってまた会える、と思えれば、寂しいばかりでもないんだな、と
ちょっと嬉しくなりました。人間と妖したちでも、ずっと一緒に過ごせる方法が
あるんだな、と。もしかしたら、今の平成の時代でも、妖したちと若旦那は
再会して一緒に時を過ごしているのかもしれないなと思ったら、心が温かくなりました。