辻村深月さんの「朝が来る」。
出産を巡る女性の実状を描く社会派ミステリー
親子3人で平和に暮らす栗原家に突然かかってきた一本の電話。電話口の女の声は、
「子どもを返してほしい」と告げた――(紹介文抜粋)。
親子3人で平和に暮らす栗原家に突然かかってきた一本の電話。電話口の女の声は、
「子どもを返してほしい」と告げた――(紹介文抜粋)。
辻村さん最新作。
一人の子供を巡る、育ての親と産みの親の苦悩と現実を描く社会派ミステリー
です。といっても、ミステリー要素はさほど入っていないのですが^^;
特別養子縁組や不妊治療のことなど、相当取材なさったのでしょうか、
とてもリアルに描かれています。
第一章、第二章は育ての親である沙都子の視点、第三章、第四章は
産みの親であるひかりの視点で語られます。
個人的には、沙都子側の方には共感出来る部分が多かったのですが、
ひかり側にはあまり感情移入出来ませんでした。もちろん、彼女の身に
起きた悲劇の数々には同情する点もたくさんあるのですが、もともとは
身から出た錆というか、自業自得の部分が多かったので。
ただ、さすがに彼女(ひかり)の物語を読んだ後では、第一章の時の悪印象は
払拭されていましたけれど。彼女は彼女で、必死の思いであの電話をかけた
ことがわかったので。
沙都子の不妊治療に関する記述は、同じ女性なら誰もが痛々しい思いで
読むのではないでしょうか。私も結婚が遅かったクチなので、いろんな意味で
共感出来たし、それだけに読むのがしんどい部分もありました。
沙都子と清和夫妻は、最終的には特別養子縁組という手段を選びます。
他人が産んだ血の繋がらない子供を、あんな風に出会った瞬間に愛せる
ものなのか、そこの部分は、正直私にはよくわかりませんでした。
自分がその立場になってみたら、ああいう気持ちになれるのかもしれない
けれど・・・どうなのかな・・・。
沙都子のように、望んでも望んでも妊娠出来ない人が多いなか、ひかりの
ように、全く望むべくもなく、軽はずみな行動の末にあっけなく妊娠して
しまう場合もある。世の中には、そんな理不尽がいくらでもあるのだろうけれど。
神様は不公平だな、と思わずにはいられませんでした。望まない妊娠をして、
挙句虐待をしてしまう母親のニュースが後を立たないこともありますし。
いろいろと考えさせられてしまいました。
ひかりの、妊娠出産の後の転落人生は、先にも述べたように根本の部分は
自業自得なのだろうけれど、さすがに他人の借金を知らない間に背負わされて
いたくだりには、憤りを感じずにはいられませんでした。せっかく真面目に頑張ろうと
必死になっていたところに、あんなのはあんまりです。つくづく、他人の保証人に
だけはなるものじゃない、と痛感させられました(といっても、ひかりの場合
知らない間にさせられていただけで、彼女自身は何一つ悪くないのですが・・・)。
だからといって、その後に彼女がしたことが許される筈もないのですけれど・・・。
一人の子供を巡る、育ての親と産みの親の苦悩と現実を描く社会派ミステリー
です。といっても、ミステリー要素はさほど入っていないのですが^^;
特別養子縁組や不妊治療のことなど、相当取材なさったのでしょうか、
とてもリアルに描かれています。
第一章、第二章は育ての親である沙都子の視点、第三章、第四章は
産みの親であるひかりの視点で語られます。
個人的には、沙都子側の方には共感出来る部分が多かったのですが、
ひかり側にはあまり感情移入出来ませんでした。もちろん、彼女の身に
起きた悲劇の数々には同情する点もたくさんあるのですが、もともとは
身から出た錆というか、自業自得の部分が多かったので。
ただ、さすがに彼女(ひかり)の物語を読んだ後では、第一章の時の悪印象は
払拭されていましたけれど。彼女は彼女で、必死の思いであの電話をかけた
ことがわかったので。
沙都子の不妊治療に関する記述は、同じ女性なら誰もが痛々しい思いで
読むのではないでしょうか。私も結婚が遅かったクチなので、いろんな意味で
共感出来たし、それだけに読むのがしんどい部分もありました。
沙都子と清和夫妻は、最終的には特別養子縁組という手段を選びます。
他人が産んだ血の繋がらない子供を、あんな風に出会った瞬間に愛せる
ものなのか、そこの部分は、正直私にはよくわかりませんでした。
自分がその立場になってみたら、ああいう気持ちになれるのかもしれない
けれど・・・どうなのかな・・・。
沙都子のように、望んでも望んでも妊娠出来ない人が多いなか、ひかりの
ように、全く望むべくもなく、軽はずみな行動の末にあっけなく妊娠して
しまう場合もある。世の中には、そんな理不尽がいくらでもあるのだろうけれど。
神様は不公平だな、と思わずにはいられませんでした。望まない妊娠をして、
挙句虐待をしてしまう母親のニュースが後を立たないこともありますし。
いろいろと考えさせられてしまいました。
ひかりの、妊娠出産の後の転落人生は、先にも述べたように根本の部分は
自業自得なのだろうけれど、さすがに他人の借金を知らない間に背負わされて
いたくだりには、憤りを感じずにはいられませんでした。せっかく真面目に頑張ろうと
必死になっていたところに、あんなのはあんまりです。つくづく、他人の保証人に
だけはなるものじゃない、と痛感させられました(といっても、ひかりの場合
知らない間にさせられていただけで、彼女自身は何一つ悪くないのですが・・・)。
だからといって、その後に彼女がしたことが許される筈もないのですけれど・・・。
相変わらずのリーダビリティで、終始ぐいぐい読まされて、あっという間に
読了してしまいました。
ただ、ラストの収拾の付け方には、少々不満が残りました。ひかりの側の
問題が、何ひとつ解決していないからです。家族との確執も、彼女の借金も、
彼女の犯罪も。すべて有耶無耶にしたまま、ああいうラストでは、感動の
しようがなかったです。号泣必死のラスト、みたいな謳い文句がついて
いるけれど・・・。確かに、ひかりの心情を思えば、心を打たれるシーン
なのは間違いないのですが。でも、じゃ、その先は?って思ってしまった。
彼女がこれからどうやって生きて行くのか、そこに光が全く見えなかったから。
なんだか、もやもやしたまま終わってしまった感じでした。そこが、残念。
読了してしまいました。
ただ、ラストの収拾の付け方には、少々不満が残りました。ひかりの側の
問題が、何ひとつ解決していないからです。家族との確執も、彼女の借金も、
彼女の犯罪も。すべて有耶無耶にしたまま、ああいうラストでは、感動の
しようがなかったです。号泣必死のラスト、みたいな謳い文句がついて
いるけれど・・・。確かに、ひかりの心情を思えば、心を打たれるシーン
なのは間違いないのですが。でも、じゃ、その先は?って思ってしまった。
彼女がこれからどうやって生きて行くのか、そこに光が全く見えなかったから。
なんだか、もやもやしたまま終わってしまった感じでした。そこが、残念。
第二章のラストが意味深すぎて、いろいろ深読みしてしまったけれど、
朝斗の思った通りでほっとしました。ミステリ的には、肩透かしだったけど^^;
朝斗君は、本当にまっすぐで良い子に育っていると思います。沙都子と清和の
子育てがしっかりしているからとも言えるでしょうね。血が繋がらなくても、
本当の親子よりもしっかりした絆を築いているように感じました。
朝斗の思った通りでほっとしました。ミステリ的には、肩透かしだったけど^^;
朝斗君は、本当にまっすぐで良い子に育っていると思います。沙都子と清和の
子育てがしっかりしているからとも言えるでしょうね。血が繋がらなくても、
本当の親子よりもしっかりした絆を築いているように感じました。
そういえば、第一章読んだ時点では、ママ友トラブルの話なのかと思ったん
ですよね。そこはあっさり解決して良かったですけど。ああいうママ友同士の
あれこれは、辻村さんご自身の経験によるものなのかなぁ。
辻村さん、結婚、出産されてから、家族問題のお話が増えた気がしますね。
やっぱり、一番身近でリアリティのある題材だからなのかな~。
ですよね。そこはあっさり解決して良かったですけど。ああいうママ友同士の
あれこれは、辻村さんご自身の経験によるものなのかなぁ。
辻村さん、結婚、出産されてから、家族問題のお話が増えた気がしますね。
やっぱり、一番身近でリアリティのある題材だからなのかな~。
タイトルの意味を知った時、ああそうか、とすとんと腑に落ちるものがありました。
長く辛い不妊治療の末、一度は諦めた我が子を手にしたら、そんな風に
感じるのだろう、と。止まない雨がないのと同じで、明けない夜もない、と。
いいタイトルだな、と素直に感心しました。
長く辛い不妊治療の末、一度は諦めた我が子を手にしたら、そんな風に
感じるのだろう、と。止まない雨がないのと同じで、明けない夜もない、と。
いいタイトルだな、と素直に感心しました。
いろいろと考えさせられるお話ではありましたね。面白かったですが、もう一歩
踏み込んで書いて欲しかった部分もありました。
男性は、こういうお話をどう捉えるのか気になりますね。女性とは、多分
感じ方も捉え方も違うんじゃないのかな。
踏み込んで書いて欲しかった部分もありました。
男性は、こういうお話をどう捉えるのか気になりますね。女性とは、多分
感じ方も捉え方も違うんじゃないのかな。