ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

東川篤哉「ライオンの歌が聞こえる~平塚おんな探偵の事件簿2~」/畠中恵「まったなし」

どうもみなさま、お久しぶりでございます。
ワタクシ、今日まで夏休みでして、先日北陸旅行から戻って参りました。
まぁ、せいぜい三泊四日の短い旅行ではあったのですが。
非情に無謀な旅行日程を組んでしまった為、いろいろと大変な思いも
したのですが・・・旅行自体はとても楽しかったです。
時間があればまた旅行記などを書いてみたいとも思っているのですが・・・。

しかし、今日は暑かったですね。日中の気温が37度って何なんですか。
体温より高いじゃないのよ(なぜ逆ギレ)。部屋の温度は35度超え。死ぬわ・・・。
さすがにエアコンつけましたねー。みなさまも体調管理、気をつけて下さいね。


旅行が入ったため、久しぶりの記事更新ですが、読了本は二冊。
旅行にも本は持って行ったのですが、結局1ページも読めずに持って
帰って来たという・・・。


では、一冊づつ感想を。


東川篤哉「ライオンの歌が聞こえる~平塚おんな探偵の事件簿2~」(祥伝社
平塚を舞台に女二人の探偵コンビが活躍するシリーズ第二弾。
なんか、前作は設定がどうも古臭いというか、いまいちノリきれなかった印象が
あるんですが、今回はミステリの面白さもあったし、キャラに慣れたところもある
せいか、それなりにどのお話も楽しめました。相変わらずのトンデモトリックに
目が点になった話もありましたが・・・。
備忘録のため、一作づつ簡単にあらすじと感想を記しておきます。
第一話 『亀とライオン』
いなくなったカミツキガメのミツキちゃんを捜して欲しいという銀行員の男の
依頼を受けたエルザと美伽。しかし、一週間後、依頼人の男が殺されて死体となって
発見された。河川敷で発見された遺体は裸足だった・・・。
遺体が裸足だったところから、真相を見抜いたエルザの慧眼に感心しました。
見た目はライオン娘だけど、探偵としては意外とちゃんとしてるのね(笑)。
しかし、極端に太った人はアレが出来ないっていうのは実際どうなんでしょうか。
確かにしんどそうな気はするけども・・・なんか、抗議されそうな^^;

第二話『轢き逃げは珈琲の香り』
平塚競輪場で出会ったおばあちゃんと意気投合した探偵事務所の二人は、
三人で飲みに行くことに。楽しく一夜を過ごし解散した直後、おばあちゃんが
轢き逃げに遭ってしまう。倒れている彼女は、なぜか珈琲にまみれて濡れていた・・・。
おばあちゃんが珈琲を被っていた理由には、なるほど~と思わされました。
エルザの説明を聞いて、状況を思い浮かべて見ると、確かにそういうケースは
ありそうだな、と思いました。
三星貿易の三人の社員の顔と名前の一致にはウケました。マンゴー顔が南郷、
バナナが花田、西洋梨顔がラ・フランスならぬ梨岡・・・そんな偶然あるかい(笑)。
おばあちゃんの正体にはびっくり。なかなかいいキャラだなーと思いました。

第三話『首吊り死体と南京錠の謎』
湘南文化大学の女子大生から、湘南平テレビ塔の金網につけた南京錠を外して欲しい
との依頼を受けたエルザたち。その南京錠は、事故で亡くなった彼女の恋人との想い出
の品だと言うのだが・・・。
大学生が起こした事件とは思えないくらい、腹黒い動機が隠されていてぞぞー。
特殊な形の南京錠がトリックのキモになっているところは面白かったです。
単純だけど、ありそうでなかった方法だなぁ、と思いました。

第四話『消えたフィアットを捜して』
会社員の飯田は、上司の小言に対するストレス解消の為、買ったばかりの四輪駆動で
夜のドライブを楽しんでいた。しかし、丘の上の砂地にさしかかった時、向かいから突然
SUV車が迫って来たため急ハンドルで避けた所、その後ろからやって来ていた茶色い
フィアットに気付かず、激しい衝撃を受けてエアバックが作動し、気を失ってしまう。
しかし、飯田の目が覚めた時、フィアットは消えていて、事故の痕跡すら何も残って
いなかった。不審に思った飯田は、高校時代のテニス部の先輩である美伽に相談することに。
いやー、このトリックにはほんとに目が点になりました。いくら何でも、無理がある
だろう・・・。いくら夜で一瞬の出来事だからって、それを見間違えるとは思えない
のだけれど・・・。そもそも、作れたことに一番疑問を感じますが^^;まぁ、東川
さんだから許されるトリック、って感じはしましたね(苦笑)。面白かったけどね。

なんだかんだできちんと本格トリック使ってるところがさすがですね。相変わらず
ツッコミ所満載ではあるんだけど(苦笑)。
しかし、このタイトルのセンスのなさだけはどうにかならんものか・・・。キャラ萌え
優先的な表紙も含めて、いろいろ損してるシリーズなんじゃないのかなーと思う
今日この頃なのでした。


畠中恵「まったなし」(新潮社)
シリーズ第五弾。現在ちょうどテレビでドラマやってるんですよね。観たことないけど^^;
今回は、まるまる一冊色男・清十郎の嫁探し騒動のお話。数々の浮名を流して来た男も
年貢の収め時となりました。最初は第一話で登場したおときさんとうまく行くのかなーと
思ったのですが、あっさりフラれて拍子抜け。その後、清十郎の嫁候補は、おときさんの
妹お香さんか、見目はさほど良くないけれど聡明なお安さんの二人に絞られることに。
最初はお香さんがお似合いかな、と思ったのですが、お安さんの頭脳明晰な言動の数々を
知るにつけ、しっかりしてるお安さんの方がフラフラしてる清十郎には合いそうだなーと
思うようになりました。
一冊通して清十郎の嫁探しで引っ張っていたので、結局最後まで嫁をもらわないっていう
結末だったら嫌だなぁと思ったのだけど、それはなかったのでほっとしました。
清十郎にとって、本当に大事な人が見つかって良かったです。
お由有の過去にも触れています。幸太の父親が誰かもわかりましたが、まさか
そんな事情があったとは・・・。そんな辛い過去があったんですね・・・。酷い。
多分これが今の時代だったら、普通に麻之助と再婚出来たのでしょうけど・・・。
残念ながら、お由有さんには新しい縁談が決まってしまいました。彼女と幸太の
為には、こうなるのが一番幸せなんでしょうね・・・。
お互いに独身同士なのに、やっぱりお由有さんと麻之助の縁は繋がらないんですねぇ。
今回のことで、麻之助のお由有さんへのほんの少し残っているように見えた未練も、
さすがに断ち切れるのかな、と思いました。やっぱり、お寿ずさんのことはまだ
まだ癒えてないみたいですが・・・。
もう少し時が経って気持ちが落ち着いたら、麻之助にも再婚話が持ち込まれそう
ですよねぇ・・・。
今回は清十郎の話が中心だったせいか、悪友三人組のもう一人、同心吉五郎の出番が
少なかったのがちょっと残念だったかな。次作ではもうちょっと活躍の場があると
良いのですが。
そうそう、今回初登場の質屋の丸三さんとその妾のお虎さんのキャラはとても気に入り
ました。特にお虎さんは粋でいい女ですねぇ。お安さんの為に人肌脱ぐところも良かったな。
お安さんが、お虎さんの采配で変貌を遂げるところは、現代のシンデレラストーリー
みたいでしたね。清十郎の前で照れくさそうにする姿が可愛らしかったです。
お虎さんには今後も活躍して欲しいですね。