ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

滝田務雄「ポンコツ探偵の名推理」/七月隆文「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」

どうもこんばんは。
1月も早二週間が過ぎましたよ。早いですねぇ。
寒さもいよいよ本番になってきましたね。今日の朝、ベランダの柵のところに残っていた
昨日の雨水が、ばっちり凍ってました。今年初でした。ひー。


読了本は二冊。今年からもうちょっと読了ペースが上がるかと思ってたんですが、
時間に余裕がある割に読書は進まず・・・。おかしいなぁ・・・。

と、とりあえず1冊づつ感想をば。


滝田務雄「ポンコツ探偵の名推理」(幻冬舎
滝田さんの新シリーズ(?)。相変わらずのゆるーい空気漂う連作ミステリ集です。
タイトルからしポンコツですからね(笑)。
主人公は、大物政治家の脱税事件がきをっかけで警察を辞めさせられ、そのことが
原因で妻子にも逃げられ、職も家庭も失い無一文になった元刑事の八房文次郎。
やさぐれて公園で一人気合の雄叫びを上げた所、不審者扱いで通報され、留置場へ。
そこで身元引受人として彼を引き取りに来たのは、脱税事件の際、共に警察を辞めさせ
られた元同僚の鍋島眞子だった。彼女は現在、名探偵として、ある探偵の派遣組織で活躍
していた。彼女は八房に、自分が登録している派遣組織の仕事を手伝って欲しいと言って
来た。自分の仕事ではなく、同じ組織内に彼女の付き合っている男がいて、その男に回って
来た仕事の手伝いをして欲しいというのだが・・・。

5作の短編+エピローグで構成されています。5話目だけはちょっと作風が変わって、
ポンコツ探偵がある人物に語りかける形で全編が成り立っています。ただ、これは
ちょっと他の作品と雰囲気が違い過ぎて、浮いてる感じがしたなぁ。おのろけ豆への
こだわりがしつこすぎて、ちょっと引いてしまったし。全編前半みたいな形でも
良かったんじゃないのかなーと思ってしまった。
全体的には十分面白かったんですけどね。二話目の『~食べる』の、おズボンのくだり
には笑ったなー。八房、アホ過ぎる(笑)。
キャラ的には、田舎の刑事シリーズの黒川に近いものがありますね。黒川の分身
じゃないの?ってくらい(笑)。基本的な捜査能力はとても優秀なのに、それ以外の
部分ではダメダメ中年。自虐ネタ満載で、ついつい何度も吹き出しちゃいました。  
コンビを組むアホの弾正のキャラも良かったですね。しかし、眞子さんはなぜ
こんなのと付き合っているんですかねぇ。それが一番謎でした・・・。
ミステリ的に面白かったのは『~捜す』かな。地図に隠された文字の暗号のところ
とか、違和感を覚えつつも気づかなかったので唸らされました。
ポンコツ探偵の借金は嵩む一方で、まだまだ返済出来そうにもないから、シリーズも
まだまだ続いていくのかな。楽しみです。


七月隆文ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(宝島社文庫
巷で号泣必死と言われ話題になったSFラブストーリー。一体どんな話なんだろう、と
思っていたのですが、なるほど。読めば、タイトルの意味もしっくりきますね。
ラノベみたいな文章なので、あっという間に読み終わりました。
しかし・・・巷の絶賛に乗っかれる程の感動は全然なかったなぁ。
切ないラブストーリーなのは間違いないけれど、SF部分の設定が甘すぎて、 
説得力が全くないので、なんだか薄い本って印象しか残らなかったな。
主役二人のラブラブっぷりには、こっちがこっ恥ずかしい気持ちになりました^^;
いやまぁ、それがあるからこそ、ラストが切ないのですが・・・。
やっぱり、SF部分をもうちょっとしっかり説明して欲しかった。いまいち消化
しきれないまま物語が進んで行った感じだったんで・・・。愛美のあの説明だけで
すべてを理解した高寿がすごいと思ってしまった(笑)。
まぁ、こういうSFの設定は初めて読んだので、目新しさというのはあったかも。
私はSFに疎いので、詳しい人なら似たような作品を知っている人もいるのかも
しれませんが。 
あと、読み終えた後最初から読み直したくなる、というのは本当でした。
私も思わず最初のシーンに戻りましたもん(笑)。最後まで読むと、また
全然違う感慨が浮かぶシーンだと思います。特に、愛美の心中を思うとね・・・。
彼女は、あの出会いのシーンで、どれだけの想いを抱えていたのか・・・。

まぁ、あんまりSF云々にツッコまずに、素直に物語を楽しむべき作品
なんだろうな、と思いますね。
ちなみに、個人的には、切ないラブストーリーだとは思いましたが、
泣けはしなかったです・・・(乾いた女)。