ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

三浦しをん「ビロウな話で恐縮です日記」/柚木麻子「幹事のアッコちゃん」

イメージ 1

どうもどうも、こんばんは。
前回の薔薇ブログ発言に意外と反応があって嬉しかったです。
調子に乗って、相方が植え替えた現在の薔薇苗ちゃんたちの写真を載せておきます(笑)。
読書記事に何やってんだ、とのお叱りの声が聞こえてきそうな気もしますが・・・
すすす、すみません、すみません(><)。


https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/b/belarbre820/20010101/20010101021320.jpg
一番右の黒い大きな鉢の子が、古株のジャルダン・ドゥ・フランス。
中央の茶色い3つの鉢が新顔苗で、右がジュード・ジ・オブスキュア。
左がマリー・アントワネット。手前がグラハム・トーマス。
なんか、ごちゃごちゃしててわかりにくくてすみません^^;一応、奥のプランターたちにも、
いろいろ植わっているのですけれど(この状態だと何が何やらですね^^;)。
薔薇ちゃんたちは剪定したばかりなので、葉っぱもほとんどない状態です。
これからどんどん温かくなって、すくすく育って欲しいなぁ~と思っています。
また、進捗状況をお知らせしますね~(え、いらない?^^;)。


さて、本題、本題。
読了本は今回も二冊です。


三浦しをん「ビロウな話で恐縮です日記」(太田出版
読み逃していた、しをんさんのエッセイ。2009年発行だそうです。8年前か~。
っていうか、今回の作品は、ウェブ上で公開されたブログの文章を1冊にまとめたものなので、
エッセイというよりは日常のあれこれを綴った日記なんですね。ま、タイトル見ても
わかるとは思いますが。おそらく、現在はもうブログ活動はしてらっしゃらないとは思いますが・・・
(まだあったら、すみません^^;)。
当時、ブログで読まれていた方もいらっしゃるかもしれませんね。

直木賞を獲られたのが2006年だそうなので、すでに人気作家になっている筈ですが・・・
エッセイから窺い知れる普段の日常生活からは、全くそういう雰囲気を感じさせないところが
ある意味すごい(笑)。
もうなんか、普段の生活っぷりを見ていると、完全に単なるそこらの腐女子と一緒
ですよね(笑)。部屋にはテレビすらなく(観たいテレビがある時は実家に戻る)、
お風呂は平気で2~3日、下手すると一週間入らなくても気にならないという、
女子にあるまじき生活。いや、そこらの腐女子だって、お風呂くらいは毎日入ると思うよ!
作家さんって、締め切り前はみんなこんななの・・・?いやいや、絶対しをんさんだけだよ!(笑)
相変わらずのしをん節に、大いに笑わせてもらいました。部屋の中に蟻が出ても全く動揺しないしさ。
私も、アパートに蟻が大発生したことがあったんですが、めっちゃ恐怖にかられて、半狂乱状態で
退治したんですけどー・・・。
気に入ったBLを語る時の迸らんばかりのエネルギーも相変わらずだ(昔に出た作品だから、
相変わらずは変か。他作と変わらずってことです)。
今回、一番笑ったのは、自分をガラスの仮面の速水真澄さまになぞらえて、日記を
書いて行くところ。冒頭を書き出してみますと、
『私は仕事の鬼だ。仕事の鬼といえば大都芸能の速水真澄だ。ということは私は速水真澄なのか。
 私は速水真澄だ。
 速水真澄が最近たのしかったことといえば――』と、延々と続いて行くのです。
『私は速水真澄だ 』って!!何ですか、その意味不明の三段論法は。ひー。この速水真澄さまは、
おでんはご飯のおかずと思っていなかったけれども、お酒を嗜むようになってから、おでんの
美味しさを知ったそうです(笑)。水城くーん、お茶いれてくれ、と、たまにはチビちゃんに
会いたいものだな、に爆笑。『仕事の鬼』から、よくぞここまで、妄想を爆発させられるものです。
でもさー、こういうエッセイ読んでいると、しをんさんが仕事の鬼だって思える要素がほとんど
ないのよね(笑)。仕事にやる気がある時の方が少ないんだもの。何度、やる気だしてー!
と叫びたくなったことか(笑)。でも、ひとたび小説を書かせれば、素晴らしい名作が飛び出して
来るんだから、ほんと、すごい人だと思うよ・・・。
他にも、吹き出すこと数えきれず。いやー、やっぱりしをんさんのエッセイ(日記だけど←しつこい)は
最高です。面白かった~。
多分あと1~2冊読み残しがあるので、早めに読まなければ。


柚木麻子「幹事のアッコちゃん」(双葉社
大好きなアッコちゃんシリーズ第三弾。そして、シリーズ初、収録された四作すべてが
アッコちゃん中心の作品!これよ、これを待ってたのよ~!!って感じでした(笑)。
記念すべき一話目のヒロイン、三智子も大活躍。このシリーズ通して、彼女は本当に
アッコちゃんのおかげでたくさんのことを教えてもらって、成長しましたね。最終話は、
これでシリーズが終わってしまうのかな?という展開で、彼女の著しい成長を感じるとともに、一抹の
寂しさを感じずにはいられなかったのですが・・・。 
まさか、ああいう展開になるとは思わなかったなぁ。でも、アッコちゃんらしいと言わざるを
得ないというか。
今回の四作は、アッコちゃんの人物像をより深く掘り下げる内容になっていると思います。
三智子やアンチ・アッコちゃんの赤井敦子を通して、アッコちゃんが意外ともろくて打たれ弱い性格
なのもわかったし。いつも元気ハツラツ、自信家で怖いものなんか何もない、という空気を醸しだして
いるアッコちゃんだけれど。本当は、そういう鎧を被って、誰よりも努力している人なんだな、と
わかって、ますますアッコちゃんというキャラクターが大好きになりました。風邪の時の弱々しい
アッコちゃんが新鮮で、何やら、やたらに可愛らしかったな。風邪でヘロヘロなのに、パソコンに
向かって全国の社員の前に立つ時はびしっとしているところはさすがではありましたが、上は
スーツなのに、画面に映らない下がピンクのもこもパジャマというギャップにウケました(笑)。
思った以上に、三智子のことを大切な友人だと思っていることもわかって、嬉しかったです。
年齢差はあるけれど、二人は本当にお互いに不可欠な存在なんでしょうね。最終話では、
三智子がアッコちゃんの仕事の敵に回ることになり、ハラハラさせられました。でも、敵である筈の
三智子の、アッコちゃんを何としてでも守りたい、という気持ちに胸を打たれました。当のアッコちゃんは、
飄々とした対応だったけれど。一話目では、何とも頼りない性格の三智子だったのに、いつの間にか
アッコちゃんと対等に渡り合えるところまで成長していることに、深い感慨を覚えました。それも、
すべてアッコちゃんの教えがあったからなんでしょうけど。仕事では、派遣から転職して正社員になって、
更に部下を持つまでになったし、古本屋の笹山と結婚もしたし。人間として、どんどんステップアップして
いるな、と嬉しく思いました。
アッコちゃんは、本当に人に何かを教えるのが上手いですよね。でも、アッコちゃんが、三智子のことを、
『他人から物を教わることが上手い』と評価したことに、目からウロコの思いがしました。
物を教わって吸収することにも、上手い下手があるんだなぁ、と。彼女の性格が素直だからこそ、
アドバイスも素直に聞いて自分の糧に出来るということですよね。怒られて、反発するような性格だと、
なかなかこうはいかない。今までの作品を思い返してみると、アッコちゃんが何かを教える人物は、
みんな、物を教わることに長けている人物だったのではないかと思えて来ました。最初は反発していた
人もいたけれど。アッコちゃんは、きっと、そういう人物を見つけるのが上手いのでしょうね。
本書一話目の主人公久瀬なんかは、最初嫌味なヤツ!としか思えなかったのだけど、アッコちゃんに
忘年会のノウハウを伝授されて行くうちに彼女のアドバイスを受け入れられるようになって行って、
終盤の印象は大分変わりました。アッコちゃん幹事の忘年会は、ほんとに楽しそうで参加してみたく
なりましたね。忘年会は、幹事が楽しむことが一番大事、というところは、なるほどーと思わされました。
確かに、いやいや企画したものよりは、幹事自らがノリノリな忘年会の方がずっと楽しそうだ。
今回も、お仕事をする上で、大事なことをたくさん教えてもらった気がします。アッコちゃんって、
やっぱりすごいし、素敵な人だ。こんな人と仕事が出来たら、幸せだろうな。
ラストを読むと、これで終わってもおかしくない終わり方ではあるんだけど・・・まだまだ、
アッコちゃんや三智子の活躍が読みたい!アッコちゃんを必要としている人間は、いくらでもいる
でしょうし。是非とも、続けて頂きたいものです。
読んでいて、とても元気になれました。仕事で嫌なこともたくさんあるけれど、前向きに頑張ろう、と
思えるような、ビタミン小説でした。今回も、期待に違わぬ面白さでした。