ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

友井羊「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 今日を迎えるためのポタージュ」/賽助「はるなつふゆと七福神」

こんばんは。毎日じめじめ憂鬱ですね。
これがあとひと月近くも続くのかと思うと・・・はぁ。
本格的に雨続きになったら、お庭の薔薇さんたちの場所移動も考えねば。
雨にあまり当たると病気になったり生育不良になったりといろいろと弊害が
あるらしいので。お花が終わったこれからのケアが大事らしいので、頑張らねば。


読了本は今回も二冊です。


友井羊「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 今日を迎えるためのポタージュ」(宝島社文庫
先日読んだ一巻目がなかなか面白かったので、二作目も借りてみました。
相変わらず店主の麻野さんの作るスープがどれも美味しそうだったなぁ。
夜のディナーでは、スープ以外の料理もどれも美味しそうだったし。
麻野さんが、ジビエの熟成庫を置く場所のことで露ちゃんともめているところが、
何か微笑ましかったです(笑)。そういう時に大人の権限で、勝手に自宅に
置いてしまわないところが、いいお父さんだなぁと思っちゃいました。
今回、最終話では麻野さんの亡くなった奥さんである静句さんの死の真相が
明らかになります。
麻野さんにとっては、知らない方が良い事実だったのかもしれません。でも、
麻野さんのためにその真実を隠して生きてきた露ちゃんにとっては、辛い過去を
麻野さんと分かち合えるようになったのだから、良かったのではないかな。
珍しく露ちゃんが、他人に対して敵意をむき出しにしていたから、きっと何か
あるのだろうとは思っていましたが。幼いながらに、重いものを抱えていたんですね・・・。
それにしても、静句さんは本当に出来た女性だったのだなぁ。非行少年たちに
スープをご馳走していたなんて。そんな警察官が現実にいるとは思えないけど^^;
おせっかいだろうけど、心がささくれている非行少年たちの中には、嬉しかった
子も多かったのではないのかな。不幸な事故で亡くなってしまったことが本当に残念です。
生きていれば、もっと良い警察官になったでしょうに・・・。
前作で、理恵との恋が少し発展しそうかな、と思ったのだけど、今回あまりそちらの
進展はなかったですね。
一話目の理恵の先輩社員の身体のことは、すぐにピンと来てしまったので、ちょっと
拍子抜け。独身とはいえ、同じ女性なのだから、理恵たちもすぐに気づいてしかるべき
だと思うのですが・・・。
二話目は理恵の初恋のお話。こういう病気のことは初めて知りました。世に知られて
いない難病というのはたくさんあるものですねぇ。
シチューが固まった理由にはびっくり。この食材にこういう性質があるとは知りません
でした。私はてっきり片栗粉かなんかだと・・・^^;まぁ、奇跡的な条件が重なった
故らしいけども。
三話目は理恵の同僚、伊予の友人瑠衣が狩猟にはまるお話。瑠衣みたいな子が、
あんな風に狩猟にのめり込んで行くというのがすごく意外だったのですが、
こういう食に対する気づきがあったことで、彼女はとても人間的に成長したのでは
ないかと思いました。ジビエ料理が美味しそうだった。そういえば、人生で初めて
兎を食べたときは衝撃だったなぁ。美味しかったけども。
麻野さんが、瑠衣から猪肉をもらって浮かれているところにちょっと笑ってしまい
ました。麻野さんって、本当にお料理が好きなんでしょうね。普通なら、取り扱い
慣れていないお肉とかもらったら戸惑うだけだと思うけどね(苦笑)。
今回、理恵と麻野さんの進展がなかったので、次回はもう少しそっち方面で
新たな展開を期待したいですね。


賽助「はるなつふゆと七福神」(ディスカヴァー・トゥエンティワン
新聞に広告だか書評が出ていて、面白そうだったので予約してみました。七福神といえば、
お正月の七福神巡りはここ15年以上続く友人との恒例行事になっていて、身近な
題材ですしね。
帯折り返しの紹介を見ますと、このお話は『本のサナギ賞』という、新しい賞の第一回
優秀賞を受賞された作品なのだそう。一体どんな基準で選ばれるのかさっぱりわからない
賞の名前ですが・・・^^;
しかも、著者プロフィールを見ると、この方、もともとはコントユニットを結成していた
のだとか。最近、ほんとにお笑い出身の作家さんが増えましたねぇ。しかも、現在は
作家活動の傍ら、和太鼓パフォーマンスグループの一員として活動中なんだとか。
何というか、いろんな才能を持っている方なんですねぇ。
肝心の本の内容の方ですが。若干軽すぎるきらいはあるものの、個人的には楽しく
読めました。
派遣の仕事をクビになり、だらだらと日々を過ごす都冬の前に、ある日突然七福神
お馴染みの福禄寿と寿老人が現れ、知名度の低い二柱の神のPR活動をしてほしいと頼まれる。
PR活動を引き受ける代わりに、都冬はある条件を願い出るのだが。
ひょんなことから福禄寿や寿老人と共同生活をすることになった都冬の日常をつづった
ドタバタコメディ。都冬が、二柱の神をアピールするのに、ブログやツイッター
使うところが、今時の子だなぁと思いました。まぁ、確かに手っ取り早いとは思い
ますけど・・・^^;
福禄・寿老コンビに加え、恵比寿や大黒・弁天様といった他の神様のキャラも
なかなか個性的で良かったですね。猩々なんかの妖怪キャラもなぜか登場して、
終盤は何でもアリな感じで収拾つかない状態になっちゃってましたけど^^;
個人的には、ミニチュアサイズの鹿と鶴のひよどりとおつうの愛らしさに癒されました~。
うちにも来てほしい(笑)。
終盤の七福神戦争のくだりは、ちょっとバタバタしすぎてテンポが悪かったように
感じました。もうちょっと、地味な二柱の神様のPRネタを引っ張っても良かったのでは
ないかなぁ。確かに、七福神巡りをしていても、その二柱の神様のところの時は、
ちょっとテンションが下がるような。見た目も地味な感じだし・・・(怒られそう^^;)。
あと、二谷君の正体もちょっと唐突だったな。もう少し、伏線ぽいのを張って
おいても良かったような。
でも、ラスト1ページで都冬の願いが叶ったみたいでほっとしました。絵オチ
っていうのが、蘇部健一さんっぽくて笑っちゃいましたけど(笑)。
二谷君とも、この出来事をきっかけに、もう少し近づけるといいですね。
来年の七福神巡りの時は、福禄寿と寿老人のところでニヤニヤしちゃうかも(笑)。
それと、お参りの時は、住所と名前をしっかり心の中で付け加えようと思います(笑)。
ちなみに、タイトルのはるなつふゆは、主人公の名前。榛名都冬で、はるなつふゆ。
春夏冬かと思ってたんで、途中でその事実を知って目からウロコの思いがしました。
しかし、子供のころにいじめられそうな名前ですよねぇ。何事にも飽きないようにという
意味でつけられたらしいですが・・・。どこでも、一度で名前を憶えてもらえるという特権は
ありそうですけど(笑)。