ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

どうもこんばんは。今年の流行語大賞候補も発表されて、いよいよ押し迫って来た感が
ありますね~。私の予想としては、やっぱりPPAPが大賞かなぁという気がします。
とはいえ、正直、個人的にはあの映像の面白さがイマイチわからないのですが・・・
インド人がマネした画像には大笑いしたけど・・・本家より面白いって^^;
みなさまの予想は何でしょうか。


今回も必死に読んで三冊読了。ここのところ、おんなじ記事タイトル続きで
申し訳ないです・・・まだまだ読書マラソン継続中であります^^;

 

では、1冊づつ感想をば。


東野圭吾「恋のゴンドラ」(実業之日本社
『白銀ジャック』『疾風ロンド』シリーズのスピンオフ・・・なのかな?一部あの
キャラがゲスト出演してるってくらいのリンクしかないですけど^^;
奇跡の予約一番になれた為、予想外に早く読めました。毎回、発売日予約してても
20番30番目になっちゃうのが東野作品なのに、今回はまた一体どういう訳だったの
だろう・・・フライングで予約した人がいなかったのかなぁ。謎すぎ。
内容ですが、タイトルから想像した通り、ゲレンデで起きる恋愛模様を描いた軽めの
連作短編集。ちょっと、どーしちゃったの、東野さん!?ってくらいに、ノリが軽い。
しかし、ゲレンデでの恋愛模様って、どうもテーマが時代遅れのような・・・なんで、
このスキー不審の今、これを書いたんでしょうかねぇ。逆に、ウィンタースポーツが
下火の今だからこそ、こういう作品でまた盛り上げたいって気持ちなのかもしれませんが。
一作目と二作目で全く登場人物が変わるので、単に同じスキー場が出て来るだけの
普通の短編集なのかな?と思って読んでいたのだけど、読み進めて行くうちに、
だんだんそれぞれの繋がりが見えて来て、ちゃんと連作になっていることがわかって
行きました。
一作目の主人公広太が、あまりにも下衆な性格なので、読んでて腹が立って仕方が
なかったです。前作の主人公も最悪だったけど、広太はそれに輪をかけて酷い。
もうすぐ結婚するっていうのに、最後の自由とばかりに好みの女を連れてスキー場で
不倫旅行。女性側からすると、一番いけないタイミングでやっちゃいけないことを
平気でしてしまう倫理観のなさに、呆れ果てました。でも、こういう男が世の中
多いんですかね・・・もちろん、女にもいるのかもしれないけど。私はほんと、
不倫って絶対許せない人間なんで。お硬い人間と罵られようとも、そこは生理的に
受け付けないんで・・・。ただ、広太が最悪なのは、最終話のラストシーンでの
言動ですよ。こいつは本当にダメなヤツだと痛感させられました。桃実の怒りは
ごもっとも。そもそも、彼女は不倫だなんて知らなかった訳で、彼女こそが一番の
被害者だと思う。しかし、桃実が行動に移した後、広太は一体どうなったのだろう・・・因果応報になっていることを願う。
それによって、桃実の新しく芽生えかけていた恋が終わってしまったとしたら、
可哀想でならないですけどね。日田はどんな反応だったのかなぁ。やっぱりドン引き
だったのかしら。
日田って、そういうキャラじゃない感じがするから、受け入れてもらえそうな気も
するけどな。
しかし、前作でも思ったけど、やっぱり主人公に好感持てないと、どうしても作品に
乗り切れない部分は出て来てしまうなぁ。すいすい読めていつも通り面白かったけど、
イマイチ好感持てる人物も出て来ないし(広太以外では、水城が生理的に受け付け
なかった。比較的好感持てたのは日田くらいかなぁ)、ノリが軽すぎて若干引いちゃったところもあるしで、なんだかなーって感じの読後感だった。本編シリーズがシリアス
だから、スピンオフは軽めにしたかったのかも。今月末に出るらしい、シリーズ新刊
(タイトルから、おそらくそうなのではないかと)に期待しよう。


長岡弘樹「白衣の嘘」(角川書店
『教場』で一躍人気作家に躍り出た長岡さんの最新作。新作は、医療現場を舞台にした
短編集。こちらは、病院が舞台というのは一緒だけど、それぞれに独立したお話で、
各短編にリンクは一切なし。どれもラストであっと言わせるタイプのミステリで、
完成度は高いと思います。
軽く一作づつ感想を。

 

『最後の良薬』
末期癌患者の担当を任された医者の副島。言うことを全く聞かない彼女に手を焼いて
いたが、実は彼女は過去に詐欺で逮捕歴があり、しかも同僚の医者である児島の元妻だった――。
ラスト、警察が逮捕状を突きつけた人物には驚かされました。え?え?みたいな。逮捕理由にもビックリ。

 

『涙の成分比』
バレーボールの日本代表であるわたしは、医者の姉と車で実家に向かう途中で、
トンネル事故に遭う。目が覚めると、わたしは片足の大腿部から先を失っていた。
事故の直後、外に助けを呼びに向かう姉にわたしはある頼み事をした。しかし、
その願いは聞き入れてもらえなかった――なぜだったのか?
涙の成分のくだりは、初めて知りました。ほんとなのかしら?姉の妹を思う気持ちが切なかったです。

 

『小医は病を医し』
町役場に勤める角谷は突然心筋梗塞で倒れ、病院に運ばれる。治療の甲斐あり命は
助かったが、しばらくの入院は余儀なくされた。二人部屋に入り、同室の患者は
肝硬変で運ばれた喬木という男だった。喬木は現職の警察官で、盗犯係の刑事
だという。実は角谷は、以前に窃盗を犯し、警察から逃げ回っている身なのだった――。
事務長の失踪と、角谷と喬木が相部屋になったことがああいう風に繋がるとは
思いませんでした。
医師の岸辺がまともな人間でほっとしました。

 

『ステップ・バイ・ステップ』
医師の上郷が指導していた研修医の内山亜沙子がうつ状態になり、出勤出来なく
なった。彼女はなぜうつになってしまったのか――?
これは割りとオーソドックスなオチですね。こんな病院には行きたくないなぁ・・・。

 

『彼岸の坂道』
救命救急センターの友瀬と生原は、時期センター長候補筆頭と言われていた。
そんな中、救急車で入れ墨の男が運ばれて来た。男は、息を引き取る間際に謎の
言葉をつぶやいていた。
その言葉には意外な事実が隠されていた。すると、現センター長の津嘉山が救急に
運ばれて来た。
津嘉山は、何者かに背後から背中を押され、坂道の崖から転落したらしい。
津嘉山は、瀕死の状態で、自分の処置は生原に頼みたいと告げた――。
犯人がしたことは許せないけど、最後の良心は残していてくれて良かったです。

 

『小さな約束』
刑事の姉が、腎不全で病院に運ばれた。姉は、倒れるまでひき逃げ事件の捜査を
担当していた。姉はどうやら、担当の貞森医師に恋をしているらしい。姉の治療を
通して貞森と懇意になった浅丘は、二人でN海岸に釣りに行くことになった。
しかし、そこで貞森は崖から足を滑らせ海岸に落下してしまう。浅丘は夢中で
貞森を助けに海に飛び込むのだが――。
なんともやるせない結末でした。浅丘の姉のことは良かったけど・・・でも・・・。


医師がつく嘘には、いいものも悪いものもありますね。どれも薄いながらも読み応えの
ある作品でした。


森見登美彦「ぐるぐる問答<森見登美彦氏対談集>」(小学館
モリミー新刊は二冊同時に回って来たのですが、まずはさくっと読めそうな対談集
の方から。いろんな人との対談が収められています。モリミーらしい朴訥な感じの
受け答えにくすり。
本城さんを前にした時の動揺っぷりが可笑しかった。最初の対談よりは大分ましに
なったらしいですが。モリミーにこんなに愛されるなんて、本城さんが羨ましいわ~。
個人的に一番対談が読めて嬉しかったのは、飴村行さん。次いで綾辻さんかな。
万城目さんはもともと親しいのは知っているので、意外性はなかったです。他の人の
時とは違って、気安い感じが良かったですけどね。
モリミーが飴村作品を読んでいたのも意外でしたが、飴村さんがモリミー作品を読んで
いたのにはビックリ。寿行さん寿行さん言ってた人がモリミー・・・。ぷぷぷ。
対談読んでいて、粘膜シリーズ、もしかして一作読み逃してるかも、と気づいて
慌てて図書館検索したら、ここに載っている作品は読んでいたのだけど、今年2月に
出た新刊をすっかりスルーしていたことが判明し、愕然。即予約しました。図書館
入荷していたのに、なんでスルーしちゃってたんだろう・・・私としたことが~
(><)。
綾辻さんは、モリミーのお気に入り作品が『きつねのはなし』とおっしゃっていて、
これには納得。いかにも綾辻さんがお好きそうな作品ですもんね。
劇団ひとりとの対談は、お互いに、ほとんど自作の話しかしていなくて、ちょっと
相手の作品のことも触れたらいいのにな~と思いました。劇団ひとりは多分、
モリミーの作品読んでなさそうだから、仕方ないのかもしれないけども。
あとは、萩尾望都氏との対談に『おお~!』となりました。萩尾さんのような大御所に
読んでもらえるだなんて、モリミーってばすごいわ。しかも対談までしちゃってるし。
モリミーが萩尾作品で生きていたとは意外でした。少女漫画も読むんですねぇ。ま、
萩尾さんの作品は少女漫画の範疇を超えているような気もしますが(といっても、
私自身は萩尾作品ってちゃんと読んだことがないのですけれど・・・^^;)。
あと、四畳半神話大系のアニメ脚本家・上田氏との対談を読んで、是非とも
アニメが観たくなりました。めっちゃ凝って作ってそうで面白そう。DVD借りよう
かなぁ。
もうちょっと、タイトルくらいモリミーがぐるぐるしてたら良かった気もします。
意外とどの方とも普通に対談していたんで(笑)。面白かったですけどね。