ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

近藤史恵「マカロンはマカロン」/秋川滝美「メシマズ狂想曲」

いやー、今日は寒いですねぇ。最強寒波到来だそうで。来るなよ^^;
大雪の地方の方、大丈夫でしょうか。
東京でも雪の可能性があるらしく。明日はおとなしくしてよう・・・。
センター入試の受験生が気の毒でなりません・・・。みなさんの努力が実りますように。


読了本は今回も二冊です。


近藤史恵「マカロンはマカロン」(東京創元社
大好きなビストロ・パ・マルシリーズ第三弾。ようやっと三舟シェフに再会出来て、
めちゃくちゃ嬉しかったです。近藤さんのシリーズものの中では、一番といっていいくらい
気に入っているシリーズなので。二冊出た後ぱったり出なくなってしまったから、
もう続編は書かれないのかと思っていました。良かった。
今回も、三舟さんのお料理と謎解きは極上の出来でした。薄いから勿体ないと思いつつ、
一気に読んでしまった。やるせないお話もありましたけど、やっぱり三舟さんの謎解きは
心が温まりますね。志村さんも高築君も(実は、語り手の割に高築君の印象はかなり薄く、
すでにうろ覚え状態だったのだけれど^^;)相変わらずで嬉しい限り。
軽く各作品の感想をば。

 

コウノトリが運ぶもの』
乳製品アレルギーの女性が来店した。フランス料理が初めてという彼女は、
『フランス料理と和解しにきた』と言うのだが。
彼女がフランス料理を食べて来なかった理由が切なかったです。でも、三舟さんの
おかげで、彼女のフランス料理に対する偏見がなくなってよかったです。

 

『青い果実のタルト』
<パ・マル>では出していない筈のブルーベリーのタルトを注文する客がなぜか
増え出した。一体なぜ?
仲良くフレンチを食べに来た夫婦にこんな秘密があったとは。奥さんのこういう
理由で、<パ・マル>を利用してほしくなかったな。携帯のカメラモードにこういう
弊害があるとは知らなかったです。

 

『共犯のピエ・ド・コション』
離婚してお店に顔を見せなくなっていた女性客がしばらくぶりに来店した。もうじき
再婚するらしい。再婚相手と中学生になる彼女の息子は、フライドチキンを食べて
仲良くなったというのだが。
再婚相手の男性と息子が仲良くなった理由が微笑ましかったです。それにしても、
フライドチキンをそういう目的で食べる人がいるとは・・・(苦笑)。家にあっても
気味悪いだけのような^^;

 

『追憶のブーダンノワール
豚の血のソーセージ、ブーダンノワールを毎回頼む常連客が、今度中国人女性と結婚
することになり、その女性にブーダンノワールを食べさせたいと言って来た。自分が
好きなものをどうしても彼女に食べさせたいというのだが。
豚の血のソーセージかぁ。私もちょっと偏見あるかも。でも、食わず嫌いは良くない
ですよね。三舟さんが作ったやつなら食べてみたいなぁ~。

 

ムッシュパピヨンに伝言を』
蝶ネクタイをつけた紳士が<パ・マル>にやって来た。彼は、店でシェフたちが
試食していたアーモンド入りのブリオッシュが気になるようで・・・。
プラリネ入りのブリオッシュめっちゃ美味しそう。紳士がイタリアで出会った
パン職人の女性と再会出来たのかが気になります。女性が出したお店の名前ににやり。

 

『マカロンはマカロン
三舟シェフとかつて同じ店で修行していた羽田野という女性がお客でやって来た。
女性実業家になった彼女は、彼女が経営する店で雇っているパティシエールの岸部
という女性を連れていた。しかし、その後で『マカロンはマカロン』という謎の
メッセージを残して岸部が姿を消してしまう。羽田野は、<パ・マル>での食事の際に、
彼女が岸部の身だしなみを注意したのが原因ではないかと心配するのだが。
岸部さんが姿を消した理由にはあっと言わされました。よくある手法ではありますが。
カロンはカラフルなイメージがあるけど、フランスでは地味なお菓子なんですねぇ。
関係ないけど、お正月に会った高校生の姪っ子が、セブン○レブンのマカロンアイス
に超ハマっていると興奮して話していて、つい私も翌日買っちゃいました(笑)。美味でした。

 

タルタルステーキの罠』
ある日、『来店した時、タルタルステーキをメニューに載せて欲しい』という奇妙な予約の
電話があった。予約の客は女性三人組で、一人は年配、二人は若い女性だった。うち一人は
妊婦だった。年配らしき女性と妊婦の女性は嫁姑関係らしい。すると、年配の女性は自分が注文
したタルタルステーキを妊婦の女性に食べさせてしまう。妊婦には生肉を食べさせない方が
良いのだが――。
予約の女性が、年配の女性にタルタルステーキを注文させようとした理由は、完全に悪意からの
ものだと思っていました。まさかの理由が隠されていました。策士だな~。いい友人関係だなぁと
思いました。赤ちゃんが何の問題もなく生まれて来ることを祈るのみです。
タルタルステーキを出すのに、こんなに大変な過程が必要だとは。三舟さんの安全な料理を
出すのだという徹底した拘りに頭が下がる思いがしました。ここまで意識してやっているお店が
どれだけあるのやら。

 

『ヴィンテージワインと友情』
ワインを持ち込みたいという6名での予約が入った。<パ・マル>の持ち込み料は一人
千円である。予約の当日、ランチタイム後に若い女性が持ち込みのワインを持って来た。
すべて超高級ワインばかりだった。ディナータイムになり、ワインを持ち込んだ女性は
一人遅れて来た。彼女が来る前に他の5名は揃っており、遅れている彼女の悪口を
言い合っていた。持ち込んだワインはすべて彼女の家にあったものらしいのだが――。
こういう酷いことを大人になってもやれる神経を疑いました。いい大人が、若い
女性にたかるような行為をするなんて。集合時間も彼女一人遅い時間を言って。
彼女自身にも確かに嫌味な部分はあったのかもしれません。でも、それにしたって、
やり方が汚すぎる、と腹が立ちました。でも、一人でも彼女の味方がいてくれて
良かったです。彼女のことを嫌っていると思っていた人物が、実は一番彼女のことを
想ってくれていた。彼女もそれに気付くことが出来て成長出来たのではないでしょうか。


今回も、料理も謎解きも大いに堪能出来ました。大満足。出て来るお料理、全部食べて
みたくなりました。
次に三舟さんに再会出来るのはいつかなぁ。近藤さん、次はもっと早くにお願いしますっ!!
読んでてほんとにお腹空きました。あー、私も<パ・マル>に行きたいよ~(><)。



秋川滝美「メシマズ狂想曲」(小学館
居酒屋ぼったくりシリーズの作者の新刊。今回も食べ物関係のお話ではありますが、
ぼったくりシリーズと大きく違うのは、主人公がまれに見る料理オンチというところ。
いくら料理初心者と言っても、こんな失敗しないだろう!とツッコミたくなること必至。
いや、私も、お料理では数々失敗して来てはいますけどもね。それにしても、主人公
和紗の料理下手は凄まじい。
主人公の滝田和紗は、大学卒業後に就職した株式会社カジワラで仕事一筋に勤めて来て、
34歳にして係長に昇進したキャリアウーマン。恋愛したい気持ちはあるものの、
職場で出会いはなく、女の幸せを掴み損ねて今に至っている。しかも、仕事の面でも、
同期入社の村越にだけはいつも勝てていない。村越とは入社当時から切磋琢磨して来て、
和紗の一番のライバルだ。そんな和紗だが、ある日会社で受けた健康診断でメタボ寸前
だと診断されてしまう。外食やコンビニ弁当で済ませて来たつけが回って来たらしい。
そこで、彼女は一念発起して自炊生活を送る決意をする。しかし、初っ端から大失敗。
決定的に料理の才能がない彼女は、同じく料理下手な村越と利害が一致し、二人で
料理の練習に打ち込むことに。二人はメシマズを返上出来るのか――?
ぼったくりの美音さんとは正反対の超料理下手の主人公、和紗。今回出て来るお料理は、
あんまり食べたくないものばかりだった^^;でも、和紗が失敗したアサリバターは、
読んだ直後にたまたま作る機会があって、美味しく頂きましたが(笑)。
ただ、料理の腕は美音さんと正反対だけど、恋愛に関するニブさは美音さんと全く
一緒。村越のあれだけのアピールに、なぜ気が付かないのか。和紗の絶望的なまでの
ニブさに唖然。まぁ、自分の気持ちにすら気付かない人ですからね・・・。しかし、
和紗が村越に対する気持ちに気づくシーン、ちょっと唐突過ぎ。もうちょっと、
それに至る伏線的なシーンがあっても良かったのでは。
最近の私の料理の失敗といえば、肉まんの皮を作っていて、電子レンジの発酵モードの
設定を間違えて、皮だけで焼いてしまい、最初から作り直しになったというのが
ありました。何度も作っているのに、なぜー、と愕然。時間ないときに限って、
そういうありえない失敗するんだよね。料理は余裕ないとダメね。
まぁ、塩がキツ過ぎとか、味が薄いとか、その程度の味付けの失敗はしょっ中ですけどね。
でも、和紗が村越と一緒に料理しているのは、二人とも下手でもとっても楽しそう
でした。誰かと料理するのって楽しいですよね。共同作業って感じで。相方とも
時間が合えば良く料理を作るけれど、やっぱり楽しいです。二人いるといろいろと
作業も楽になるしね。
最後の展開は、王道とはいえ、きゅんきゅんしました。これからいっぱい
二人でお料理作るのでしょうね。しかし、このまま二人とも料理下手だと、
結婚した後大変そうだ^^;ま、料理は慣れだし、好きな人の為に作るって
なれば、上達も早いでしょう。
内容的には何ということもないけど(酷)、軽く読めて楽しめました。