ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

どうもこんばんはー。立春も過ぎ、寒いのもあと少しですね。
これからは花粉で悩まされる人も多いのではないでしょうか。
かくいう私自身は全く花粉症とは無縁の体質なのですが、相方が花粉症でして。
花粉が飛び始める季節になったら、洗濯物と布団は外に干せません。
日差しがあったかくなる季節なのになぁ(涙)。

 

読了本は今回は三冊。さくっと行きますよー。

 

京極夏彦「虚実妖怪百物語 破」(角川書店
三部作の二作目。うーん、出だしは全然話が進まなくて、登場人物たちの会話も
禅問答みたいで頭に入って来ないし、ちょっとつまづきかけました。京極さんの本で
これだけ苦戦するのも珍しい。一作目はそうでもなかったんだけどなぁ。
どすこいとか南極(人)とかも、まぁ、苦戦は苦戦したけどもさ。
でも、読み進めて行くうちに次第に世界観にハマって行って、入って行けるように
なりました。実名で有名作家さんたちが登場するのにもテンション上がったし。
やっぱり、綾辻さんと貫井さんが出て来たのは嬉しかったなー。意外だったのは、
石田衣良さんが出て来たこと。繋がりあるのかなー。道尾さんの名前が出て来た
のにもニヤリ。平山(夢明)さんが、作風から思った通りの人柄なのが笑えました(笑)。
しかし、どこまで行ってもレオ(若葉)がアホバカキャラなのがなんとも。周りからの
扱いが酷すぎて、ちょっと気の毒になりました^^;
そして、どこまで行っても水木御大はこの物語の中心で神なのだなぁ、と。レオとの
扱いの差がすごい(笑)。それに準ずるのが荒俣宏御大。荒俣さんは、テレビとかの
印象が強くって、そんなにすごい人って感じがしないのだけど、実はトンデモない人
なんでしょうね。
京極さんご本人が今回はかなり登場してます。ほぼ主役のような。妖怪が出現しまくって、
不思議なことが起こりまくりの中においても、徹底して、『この世には不思議なことなど
何もない』説を唱えていて、綾辻さんじゃないけど、ほんとにブレない人だなぁと
感心しきりでした。
京極堂シリーズの係累かと思われるキャラも総出演。ついに、関口も出て来たし。
木場と榎木津は前回から出て来てるかな?
中禅寺だけが出て来ないのがちと悲しいけども。ま、どっちみち末裔たち(かどうかは
いまいち不明だが)は正規キャラたちとはかけ離れた違ったキャラクターなので、名前だけで
ニヤニヤするくらいしか楽しみないですけどね。
荒俣御大が、學天則に乗って街に繰り出すシーン、頭に思い浮かべると可笑しくて
可笑しくて。当然ながら、ご本人には許可取ってるんでしょうけどもね。
ま、京極さんがノリノリで書いてることだけは伝わって来ます。なんだかすごい
展開になって来たけど、ラスト一巻で収拾つくのかしらん。

 

宮下奈都「静かな雨」(文藝春秋
宮下さんの新刊・・・なのだけど、調べたら、単行本になっていなかった幻の
デビュー作なのだそうです。本屋大賞取って、一躍有名になって、目出度く日の目を
見ることになったのでしょうね。
とても短いお話で、一時間程度で読めてしまいました。
生まれつき足に障害のある主人公・行助と、絶品のたいやきを焼くこよみさん、
二人の静かなラブストーリー。こよみさんは、行助と出会った後で事故によって
脳に障害を負ってしまい、記憶が一日しか続かなくなってしまう。前日に起きた
ことを覚えていられないこよみさんに、生まれつき足が悪い行助。障害を持つ二人
の、不器用で静かな恋愛に、心が洗われるようでした。激しい恋愛描写は一切なく、
本当に静謐の中で淡々と語られる物語。宮下さんらしい恋愛小説だな、と思いました。
短いだけに、ちょっと物足りなさもありましたが、これ以上書かれる必要もないのかな、
とも思いました。二人の世界がこのままずっと重なって行けるといいな、と願います。
こよみさんのたいやきが食べてみたいなぁ。記憶が一日しか保たなくても、美味しい
たいやきは焼けるんだなー。
読書メーターの感想見てると、小川洋子さんの博士の愛した数式と比較している
方が多かったですね。私は読んでないので、ドラマの掟上今日子の備忘録』
思い出しました(笑)。

 

東野圭吾「雪煙チェイス」(実業之日本社文庫)
『白銀ジャック』『疾風ロンド』に続く、ゲレンデシリーズ(?)第三弾。今回も、
トロール隊の根津や元スノーボーダーの千晶が脇役で登場。私は全然忘れていたのだけど、
終盤で活躍する高校生二人組も、前作『疾風~』で登場していた学生たちなのだそう。
続けて読まないと、登場人物をさっぱり忘れてしまうアホなワタクシ・・・(すみません)。
今回の主人公は、無実なのに殺人の容疑をかけられた大学生の脇坂竜実。彼のアリバイを
証明してくれるのは、スキー場で出会った謎の美人スノーボーダーだけ。彼女を探す為、
竜実は友人の浪川と共に、里沢温泉村のスキー場に向かう。しかし、警察の手はすぐ
そこまで迫っていて――というのが大筋。
相変わらずテンポ良く物語が進むので、ほぼ一気読みでした。スキーとかスノボーとか
ウィンタースポーツ系はあんまり興味ないんだけど、このシリーズは楽しく読めますね。
謎の美女スノーボーダーの正体は、三人の中の誰かだとは思っていたけど、あの人だった
のかー。最後まで翻弄されてしまいました。
それより、相変わらず殺人事件の真犯人が唐突過ぎて^^;こんなの、誰も推理出来ない
よー^^;いや、意外な人物だったのは間違いないのだけどね。でも、伏線一切ナシで
いきなり登場する人物が犯人って、東野さーん・・・。こちらも読書メーターの感想
見てたら、ある人物を犯人だと思ってた人が多かったそうで。私は全くそういう予想は
していなかったので、言われてみれば怪しい人物だったかも、と目からウロコの思いが
しました(笑)。まぁ、全然違う人物が犯人だったわけなのだけど(どっちにしろ、
推理出来てないけど^^;)。
まぁ、犯人は唐突ではあったけど、ちょっとした手がかりからその犯人を見つけだす
過程は面白かったです。仏壇とかビデオとか。なるほど~と思わされましたもん。
刑事の小杉が、最初は手柄第一主義の上司の言いなりだったのに、最後は自分の信念を
貫いて上司に逆らったところがスカッとしましたね。女将さんとのコンビも良かったです。
しかし、このシリーズって、最後に唐突に恋愛要素を入れるのが定石化してるんでしょうか。
今回も、最後にあの二人がああなるとは・・・。て、展開早すぎない!?と目が点になりました^^;
収まる所に収まって良かったですけどね。
それにしても、ゲレンデでウェディングパーティって、ほんとにあることなんでしょうか。
ウェディングドレス着てスキーなんて出来るものなのかなぁ。ウィンタースポーツ好き
なら、そういう結婚式もいいのかもしれないけど・・・もし、身内とか友達からそういう場所
で結婚式するから来てくれって言われたら、ちょっと出席するのためらうかも^^;
寒いとこ苦手なんで・・・(おい)。