ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

竹内真「図書室のピーナッツ」/近藤史恵「ときどき旅に出るカフェ」

どうもこんばんはー。
なんだか、いきなり夏のような暑さですね。明日以降しばらくは気温ももとに戻る
みたいだけど、また来週末は夏の暑さになるそうで。うへぇ。5月って、こんなに暑かったっけ?
そして、今年の夏は猛暑になるらしい・・・。
我が家は、日当たりが良いので、夏は地獄のような暑さになるんです・・・。
冬はあったかくてよいのだけれど・・・西日がめっちゃ当たるのよ。
今から恐怖です(ToT)。


読了本は今回も二冊ご紹介(大分前に読んだやつだけど^^;)。


竹内真「図書室のピーナッツ」(双葉社
以前読んで面白かった『図書室のキリギリス』の続編です。司書資格もないのに
学校の図書室で働くことになり、司書の仕事に奮闘する詩織さんのその後を
描いた連作集。
こういう題材は大好きなので、とても楽しんで読んだ記憶があり、続編が出て
嬉しかったです。ただ、詩織の持つ特殊能力のことなんかはほとんど忘れて
しまっていて、そういえばそんな設定あったっけ、と読みながら思い出した
感じでした^^;
今回は、詩織の司書奮闘記と併せて、新キャラで市立図書館の司書の、山村氏
との恋愛も読みどころのひとつ。離婚経験のある詩織が、なかなか新しい恋に
踏み切れないもどかしさはありつつも、ちょっとつづ縮まって行く二人の距離
にどきどきしましたね~。ラストの、本のカバーに込められた告白のシーンには
胸がキュンキュンしました。二人の仲ならではの告白でしたね~。普通の人なら
絶対通じることはないですよね。ロゼッタストーンの伝言もそうですけどね。
山村さんみたいな人と知り合ったら、私も恋に落ちちゃうかもしれないなぁ~(笑)。
本の知識もすごいし、司書としてのキャリアもあるし、無条件で尊敬しちゃうと思います。
詩織の能力のことを知っても、特に態度を買えない潔い感じも素敵でした。まぁ、
自分にもちょっとした特殊能力があるからかもしれませんが。ただ、詩織があそこまで
自分の能力のことを他人に知られるのを警戒するところは、ちょっと怯え過ぎな感じも
しましたね。詩織が言わなきゃ、まず誰かにバレる能力ではないと思うんですが・・・。
本に残された残留思念を読み取ることが出来る、なんてね。私はいつも図書館で
本を借りるので、大抵前に他の人が読んだ本を読むことになります。だから、詩織
みたいな能力があったら、前に読んだ人がどんな感想でその本を読んだのかがわかって
面白いかもしれないなぁ。自分とは全然違うところで感動したり憤りを覚えてたりして。
他人が、同じ本を読んでどう感じるのかって、私はすごく興味があるので。
本のレファレンスに関しては、私も司書資格を持っているので勉強したことが
あります。確かに、一つのキーワードから利用者の欲しい情報(あるいは本)
を探し出す過程って、ミステリの謎解きに近いものがあって面白いんですよね。
探し出せると達成感もあって気持ちいいし。詩織が、高校生たちに小原庄助
のことや、村上春樹の作品に出て来たスヌーピーの絵が実在するのかどうかとか、
自分たち自身で調べさせたのは良かったですね。調べる過程の面白さも、
みんなで調べることの楽しさも、事実が判明した時の達成感も実感してもらえる
のだから。
ちょっと面白かったのは、『図書室ノート』の常連さんの一人に『ベルさん』
がいたこと。なんだか、自分が参加しているみたいで嬉しかったです(笑)。
あと、小沢健二が作家活動しているとは知らなかったです。『うさぎ!』
私も読んでみたくなりました。オザケンの話題は、青春時代を思い出して
懐かしかったなぁ。『ぼくらが旅に出る理由』『ラブリー』も、私も
大好きだった。
詩織が、司書の仕事がどんどん好きになって行って、本格的に勉強して司書資格を
取ろうとまで思えるようになれたところが嬉しかった。契約も一年延長して
もらえたし、もっと彼女の司書としての活躍を読んでみたいですね。



近藤史恵「ときどき旅に出るカフェ」(双葉社
近藤さんの最新作。これはまた、好みの設定のお話でとっても楽しめました。
行けば多国籍のお料理が出て来て、いろんな国に行った気になれるカフェのお話。
ビストロ・パ・マルに続き、こんなお店があるなら絶対常連になりたい!と
思えました。
主人公は、仕事一筋で37歳まで独身、三年前に買った中古のマンションに
一人で住むOLの瑛子。結婚に焦っている訳ではないが、このまま漠然と一人で
今の仕事を続けて暮らせるのか、もし仕事をリストラされたら?病気になったら?
時々、不安にかられながら日々を暮らしている普通のアラフォー女性。
そんな瑛子が、ある日ふと足を踏み入れたのは、自宅近くにある白い一軒家の
カフェ、『カフェ・ルーズ』。そこで、瑛子は6年前に瑛子の会社を辞めた
葛井円と再会する。
円は、祖母から譲り受けた家を改装して、このカフェを始めたのだという。
彼女は、月始めの一週間を休みにして、国内外に旅をして、そこで出会った
美味しいものをメニューに取り入れているのだという。瑛子は、円のカフェ
に通ううちに、いろんな国の美味しい料理に出会い、すっかりカフェ・ルーズ
の魅力の虜になって行く――。
カフェの美味しい料理と共に、様々な謎に直面する瑛子。その謎は、円に
よって解かれることが多いけれど、円のヒントによって、瑛子自身が気付くことで
解決される出来事もある。結末は苦いものも多いけれど、円が提供する意外な
料理によって常識を覆され、新しい視点で物を見られるようになったりもする。
カフェのメニューと謎解きが上手くリンクしていて、さすがに読ませるなぁと
感心しました。
もちろん、円が作る、いろんな国や地方の食べ物が本当に美味しそうで、
食べてみたくなりました。こんな居心地のいいカフェが家の近くにあるなんて、
瑛子がとっても羨ましくなりました。円との関係も良かったですね。
店主と客だけど、それ以上の親密さを感じる場面なんかもあって。円が、
常連の瑛子が来るのを楽しみにしているのがわかって、なんだかこちらも
嬉しくなりました。この円の瑛子に対する親密感は何なんだろうなぁと
実はちょっと考えていたのだけれど、最後の最後でその謎が明かされます。
なるほど、そういうことだったのか、と思いました。円なら、なんとなく
そういう事実がある方が似つかわしい感じがする。
円の身の上には驚いたし、彼女の身内には憤りしか感じなかったけれど。
彼女の強い意志と料理の腕があれば、この先もカフェ・ルーズを守って行ける
のではないかと思いました。
気になったのは、瑛子が六年前に円が辞める時に円に言った言葉に対して、
結局謝罪をしたのかというところ。瑛子にカフェなんて辞めた方がいい、と
言われて、円はきっと悲しかったと思うから。円は今更気にしてないかも
しれないですけどね。気に入っている先輩に言われて、当時はショックだった
んじゃないのかな、と。

 

私も、いろんな国の料理を食べるのが大好きなので、ほんとにこういう
カフェなら常連になりたいなぁと思いました。知らない食べ物を食べたら、
自分でもネット検索して家で作ってみることも多いですし。円の食に
対する拘りには共感出来る部分が多かったです。
ちなみに、昨日は以前から作ってみたかったバターチキンカレーを作って
みました。テレビでやってて、食べてみかったんだよね。この間購入した
ホームベーカリーを活用して、ナンも作ってみました。相方の評価はなんか
微妙な感じっぽかったけど・・・(いや、美味しいとは言ってくれていたのだけど・・・
態度がね^^;)。自分としては、まずまずの出来じゃないかと思ったんだけどなぁ。
複数の作り方を自分流にアレンジしたから、味の正解がよくわからなかった^^;
ま、初めて作る料理なんて、失敗がつきものよね!(←えー)

 

是非とも続編を書いて頂きたいです。もっと円が作るいろんな国の料理を
味わってみたいですもの。彼女の兄との確執の決着もついてませんしね。
ロシア風チーズケーキもいちごのスープも体験してみたい~。
あー、お腹空いた。