ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

三浦しをん「ぐるぐる♡博物館」/深水黎一郎「午前三時のさよならゲーム」

こんばんは。台風5号、ついに上陸しましたねぇ。確かこの台風、私が旅行に行く前に
発生したんだよなぁ・・・超巨大になって今頃上陸って^^;;ほんとに迷走台風ですね^^;
関東もこれから被害が出そうで戦々恐々・・・みなさまもお気をつけくださいね。


読了本は今回も二冊ご紹介~。


三浦しをん「ぐるぐる♡博物館」(実業之日本社
しをんさんの最新エッセイ・・・エッセイじゃないかな?博物館レポートか。
しをんさんが、全国の不思議でマニアックな博物館を巡り、その様子をレポート
した様子をまとめたもの。
私、美術館は大好きなんですけど、博物館ってそんなに行ったことないんですよね。
今までで一番印象的だった博物館は、何と言ってもイギリスの大英博物館。あれだけの
規模で素晴らしい展示品が揃っているのに無料ってのがスゴイ(厳密に言えば無料では
なく、好きな額を寄付(こころざし?)して下さいって感じだったのだけど。もちろん、
払う、払わないは本人の自由)。教科書で習ったロゼッタ・ストーンの実物には感動
したなぁ・・・。もう行ってから二十年以上が経っているのだけど、未だに鮮烈に覚えて
いますね。あとエジプトのファラオの棺(遺体入り?)や、世界一綺麗な女の子のミイラとか
あった気がする(多分)。
本書を読んで、全国には、こんなにマニアックな博物館がたくさんあるのか!と目から
ウロコ状態でした。めっちゃ興味を惹かれる博物館もあれば、全く興味が出ない博物館も
ありました(苦笑)。しをんさんは、どんな博物館でも、興奮して興味津々で博物館員の方に
いろいろと質問をしまくったりするので、取材される方も気持ちがいいだろうなぁと思いました。
博物館側の方がまた、その道を極めただけあって、異様に個性的な方が多いのが面白かった。
個人的に是非行ってみたい!と思ったのは、奇石博物館と石ノ森萬画館とめがねミュージアム
と、ボタンの博物館。風俗博物館もちょっと気になるけど、さすがに会員になる勇気は
出ないな・・・^^;しをんさんと館長さんの会話がマニアック過ぎて若干引いたよ・・・
さすが過ぎ(笑)。
ちょっと気になったのは、石巻の製紙工場に行った時に、ロール一本分の紙で
文庫が三十万部くらい刷れるだろうと聞いて、自分もそうなりたい、みたいにおっしゃって
いたくだり。アナタ、十分なってるでしょう!と思わずツッコミたくなりました(苦笑)。
でも、さすがにしをんさんクラスでも、初版で三十万部は刷ってもらえないのかな。
文庫ならなおさらか。初版三十万部って、(村上)春樹とか東野(圭吾)さんクラスとかなのかな。
展示品を観た時のしをんさんの感想がいちいち面白い。ちょこちょこ展示品の写真も
載っているのですが、写真ごとにコメントが載っているので、そこも併せて読むと
より楽しめます。縄文式土器の写真の感想とかも、ついつい吹き出してしまった。
ひなたぼっこする土器とか、植木鉢とか傘立てとか!土器の感想じゃないってばー^^;;
石ノ森萬画館に行った時の興奮が、一番しをんさんらしかった気がするな。ほんとに、
この人漫画が大好きなんだなーっていうのが伝わって来て。エレベーターは私も乗って
みたくなった。『きみはどこに降りたい?』私も言われてみたーい!!
そんな風におちゃらけたレポートがある反面、雲仙岳の災害記念館みたいな博物館にも赴いて、
噴火当時の大変さや現地の人々の暮らし方など真摯に伝えているところも好感が持てました。
真面目とおちゃらけが絶妙に混在しているところが、しをんさんのすごいところだと思う。
超がつくほどの人気作家で、お金もたくさん稼いでいるだろうけど、妙に庶民的で親しみやすくて、
ミーハーなところはずっと変わっていなくて。
これからもずっと、そこは変わらないでほしいな、と思う。
今度はまた、普通のエッセイが読みたいなぁ。漫画やBL小説への熱情を迸らせた
エッセイがまた読みたいです。しをんさんのエッセイは、落ち込んだ時に読むと、最高に
元気が出るからね。


深水黎一郎「午前三時のさよならゲーム」(ポプラ社
タイトルから嫌な予感はしたのだけど、深水さんだし、読まない選択肢はなかったの
だけど・・・こ、これは、読むのキツかった。
っていうか、野球に特化した作品集なんですよ。んで、私、野球に昔っから全く興味が
なくって。両親(特に父)は、無類の野球好きなんですけどね。実家にいた時は、
リビングのチャンネル争いは結構熾烈でした(まぁ、大抵私の意見が通るんだけど。
父は二階か台所で観るw)。
というわけで・・・野球のルールとか全く知らない訳ですよ。二話目の『野球嫌い』
の彼女ほどじゃないけど、それに近いくらいの知識しかない^^;だから、野球用語が
頻発されたりすると、読むのが苦痛で仕方なかったです。
これね、野球好きが読んだら、めっちゃ面白い作品だと思う。収録作、全部が全部、
野球に関する話なんだもの。まぁ、中には読み物として面白い作品もあるにはあったの
だけど。せめて、もうちょっとミステリ的な仕掛けとかでもあればなぁ。そういうのも
ほとんどなかったし。正直、ほとんどの作品が退屈だった。私には。
面白く読めたのは、先に上げた『野球嫌い』と6話目の『生涯徒爾一野球観戦居士』くらい
だったかな。『生涯~』はどこまでも野球バカなせいで、顔はいいのに彼女が出来ない
男がお見合いする話。会話が全部野球用語になるという、呆れるほどの野球フェチ男。
こんな男とは絶対付き合えないとは思ったけど、さすがに見合い相手のやり方には
腹がたちました。袋とじ(実際は袋とじじゃないんだけどね)のつけたし部分のオチ
には、暗澹たる気持ちになりました。さすがに、可哀想だ・・・。救いなさすぎ。
で、最終話で、この作品全体を総括するちょっとした仕掛けが判明するのだけど、
うーん。これ、必要だったのかな?別に、この設定がなくても作品として成立するとは
思うけど。なんか、蛇足に感じました。ま、一応のオチをつけたかったのかもしれない
ですけどね。
とにかく、野球に興味ない私にとっては、ちょっと残念な内容ではありました。
好きな人は、めっちゃ好きだと思います。野球好きなら、読む価値ありだと
思いますよ。お試しあれ。
私は、もう一冊回って来た新作に期待しようっと。