ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

伊岡瞬「代償」/下村敦史「緑の窓口 樹木トラブル解決します」

こんばんは。巷は秋の運動会のシーズンみたいですね。私の母校で、現在姪と甥が
通っている近所の小学校でも、昨日が運動会でした。私は仕事で見に行けなかったの
ですが、小学校の前で早朝から父兄たちが場所取りに長蛇の列を作っていたようです。
天気も良かったから、絶好の運動会日和だったんじゃないのかなー。子供たちもそれぞれ
頑張っていたようです。うちの両親も孫のためにと、朝3時だか4時だかに起きて
お弁当を作って行ったようです。父は去年大きな病気をしているので、あまり無理して
欲しくはないのですけど。競技を見ていても、途中こっくりこっくりしてたみたいです(苦笑)。
でも、それが生きがいみたいだから仕方ないですけどね。


読了本は二冊ですー。


伊岡瞬「代償」(角川文庫)
とても久しぶりに読む伊岡作品。デビュー作から多分1、2作は追いかけていたの
だけど、その後なんとなく遠ざかってしまっていました。
先日、ブログ仲間のゆきあやさんが絶賛されていたので、気になって借りてみました。
世間的にも話題になっているようで、予約してからかなり待たされました。
いやー、久しぶりに読んだけど、昔と全く作風が変わっててビックリしました。
以前は、ちょっと心に沁みる切ない系のお話を書かれていた覚えがあるのですが・・・。
本書は、200%真逆のイヤミス系。二部構成なのですが、とにかく一部を読むのが
キツかった。もう、最初からイヤな雰囲気漂ってて、絶対これもっとやな展開に
なっていくよ~~やだよー読みたくないよー(涙)って感じで読み進めて行きました(笑)。
でも、イヤな話なんだけど、読む手が止められないんですよ。リーダビリティは素晴らしい
ものがあると思います。何が一番イヤだったかって、平凡だけど幸せに暮らしていた
主人公の小学生、圭輔を不幸のどん底に突き落としまくる、遠縁の達也と道子親子の外道っぷり
ですよ。圭輔逃げて~そんな親子と暮らしちゃダメ~~~っっ!と毎回心の中で叫びながら
読んでました(笑)。よくもまぁ、こんな悪魔そのものなサイコパス親子を生み出しましたよ。
こんなに存在自体に嫌悪しか覚えないキャラクターもなかなかいないんじゃないかしら。彼らの
言動は平凡に生きてきた私には理解不能過ぎて、もう恐怖って感じでした。人間じゃない・・・。
こんなどす黒い作品を書く方だとは思わなかったです。話題になるのもむべなるかな。
怒涛の展開だった一部をヘトヘトになりながら読み終えると、二部は一気に年代が進み、
圭輔は25歳になって登場。大学を卒業して、司法試験に一発合格(すご!)、弁護士事務所で
若手弁護士として働いています。ああ、無事大人になれたんだ、とほっとしたのもつかの間、
またあの親子の魔の手が・・・。ひー。達也から手紙が来て例の依頼をされた時、またも
心の中で、受けちゃダメー!圭輔逃げて~~~!と叫んでました(笑)。一部とはまた
全然違ったリーガルサスペンス調で、達也や彼のアリバイ証人との緊迫感ある駆け引きにも
ぐいぐい引き込まれました。しかし、ほんとにイヤな人間ばっかり出て来たなー・・・。
こんな奴に囲まれてたら、人間不信になりそうですよ・・・。圭輔ガンバレ!圭輔負けるな!
圭輔もっとしっかりしろーーー!と時に応援、時に発破かけつつ読んでました(普通の
本の数倍読むのに疲れたような・・・)。
でも、唯一の救いは、寿人と出会えたことでしょうね。彼がいなかったら、圭輔を引き取って
くれた牛島夫妻とも出会えなかった訳だし。中学時代、ひとりぼっちだった圭輔に、唯一無二の
親友が出来てほんとに良かったです。
終盤は怒涛の展開へ。最後の最後まで、達也に裏をかかれるんじゃないかとハラハラしました。
最後にどーんと突き落とされたらやだなぁ、と最後の一文まで気が抜けなかったです。
伊岡さんがそこまで真っ黒になってなくてほっとしました・・・。達也と道子の関係は
ほんとに気持ち悪かったなぁ。達也には心底、天誅が下れ!と思っていたので、最後は
ちょっと胸がすく思いがしました。でも、あの悪魔のことだから、いつか復活したりするんじゃ
ないかと怖い気も。あそこまでの状態になったら、普通はもう再起出来ないだろうと思う
けれど・・・。うう、怖い。
しかし、結局圭輔の家の火事の真相は何だったのでしょう。やっぱり、圭輔が原因だった
のかな。私は、あれも達也の陰謀なんじゃないかって方を信じたいけど。
これぞ、イヤミスって感じの、ほんとに嫌な話でしたが、読めてよかったです。嫌なんだけど、
面白かった。
お薦めして下さったゆきあやさんに感謝(嫌イヤ言ってすみません^^;)。


下村敦史「緑の窓口 樹木トラブル解決します」(講談社
下村さんの最新作。確か前作はスルーしちゃった覚えがあるんだけど、これは新刊案内の
あらすじ読んでなんとなく面白そうだったので予約してみました。今までとはがらっと
作風を変えて、随分と軽めの作品になっています。
区役所の生活課に勤めていた主人公の天野は、ケースワーカーのカウンセリングの末、
心身の疲労を指摘され、新たに新設された樹木に関する窓口『緑の窓口』に異動することに。
一緒に異動になった先輩の岩波と、美人樹木医、柊の手を借りて、市民から寄せられる樹木に
関するトラブルを解決して行く――。
なんとなく会話やキャラ造形にぎこちなさはあるものの、樹木に関する薀蓄は面白かったし、
それぞれのトラブルを解決した後の心温まる結末など、なかなか楽しめました。若干
ミステリとしては食い足りなさもありましたけれど。
人間よりも樹木を愛する樹木医の柊さんのキャラがいいですね。主人公天野君のお人好し
っぷりも好感持てましたし。イケメンで変人の岩波先輩のキャラがちょっと中途半端な
感じだったのが残念なんですけど。もっと変人っぷりを表に出しても良かったんじゃない
のかなー。途中から、結構普通に『いい人』みたいなキャラになっちゃったんで。子供に
優しかったりとか。いやまぁ、それはそれで好感持てるからいいんですけど(苦笑)。
樹木医の仕事の辺りは、ちょっと、鳥飼さんのウォッチャーシリーズ(?)を思い出して
しまった。あれに出て来る鳶さんはほんとに変人ですけどね(苦笑)。
ラスト一編で、柊さんとお母さんの確執が解決してよかったです。まぁ、だいたいそんな
ところだろうと、予想はついていたのですけど。母親が大事な『妹』の木を切ったのには、絶対
何らかの理由があるんだろうな、とは思っていたので。柊さんが、大事な『妹』の切り株を
当時詳細に調べなかったところは、本人も自覚してますが、らしくなかったですね。よっぽど
ショックが大きかったのでしょうね・・・。
最後二編で、天野君の優しさに柊さんが心打たれて、少し二人の距離が近づいたのが
嬉しかったです。柊さんにも、ちゃんと人間の良さをわかる心があってほっとしました
(樹木しか愛せない人間なのかと^^;)。
樹木のことは柊さんが解決し、人間間のトラブルの方は天野君が解決するという、両方の
見せ場があるところが良かったですね。
樹木医という職業があることは知ってました。テレビで、木のお医者さんって特集組んで
いたのを観たことがあるので。なかなか興味深い職業ですね。街中の街路樹を維持するのにも、
こういう職業の方の活躍が欠かせないのかもしれませんね。
主役二人の今後も気になるので、続編が出たら嬉しいです。