ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

名取佐和子「金曜日の本屋さん 夏とサイダー」/柴田よしき「風味さんのカメラ日和」

こんばんは~。昨日今日の東京は久しぶりに気持ちのよい冬晴れでした。
曇天が続くと、やっぱりおひさまって偉大だなぁと思わされますね。天気が良いと部屋の
温度も高くなって、メダカたちも活発に動き回るようになるんですよね~。寒い日は餌の
食いつきも悪くて、動きものんびり。メダカも寒いのが苦手なんですねぇ。面白いです(笑)。

 

読了本は二冊です。11月いっぱい市内の図書館全館休館ってことで、一気に8冊くらい
借りて来たのですが、うち四冊読了。結局、始まるまでに全部は読み切れなそうなんで、そんなに
借りなくても良かったのかも(苦笑)。ま、貸出期間もかなり長くなるんで、十分期限内には
読み切れそうではあるんですけどね。


名取佐和子「金曜日の本屋さん 夏とサイダー」(ハルキ文庫)
地方の駅ナカ書店を舞台にしたシリーズ第二弾。前作がとても気に入ったので、続けて
予約してみました。前作で意味深に出て来た、槇乃店長の高校時代の同級生にして、
『金曜日の読書会』のメンバー、ジンさんの身の上に起きた出来事が明らかになります。
いや~・・・思ったより遥かに重かったですね。ジンさんが現在どうしているのか、という
部分については、誰もが想像した通りだと思うのですけど、その理由がまさか、あんなことが
起きたからだとは。うーん、正直、思っていたジンさんの人となりとあまりにもかけ離れた
理由だったので、ちょっと面食らったところはありました。そこまで重い理由にしなくても
良かったんじゃないのかなぁ。何か、作品の雰囲気と合わなすぎてね・・・。そりゃ、そんな
出来事があったら、他のメンバーは引きずるよなぁ、とは思いましたけれどね。実在の出来事
を下敷きにしてはいるのだろうけど。実際、ああいう事件が起きる度に、当該人物に関しては
全くいい感情を抱けないというのが正直なところでして。でも、今回のジンさんのように、
全く報道とは違う真相があったとしたら・・・いろいろ考えさせられるお話でした。
終盤、ジンさんの出来事を引きずる槇乃店長の様子がおかしくなって、どうなることかと
心配しましたが、主人公倉井の頑張りで、少し槇乃店長の心もほぐれて来たと感じられるラストで
ほっとしました。
今回メインで取り上げられた本4冊のうち3冊が既読で、大好きな作品だったので嬉しかった
です。六番目の小夜子』『夜は短し歩けよ乙女』『夏への扉。二話目の童話『さびしがりやの
クニット』だけはタイトルすら知らない作品でしたが。
しかし、あれだけすごい本の知識を持っている槇乃店長が、『夏への扉』を読んでいない、
というのにはちょっと首を傾げてしまいました。本好きな人なら絶対読んでそうな作品のような。
あと、二話目のクニットの話で、倉井君がコネを使って強引にワークショップに参加するところは、
ちょっとフェアじゃないな、と思ってしまいました。だって、他の人は抽選で当たった人ばかりで、
人気の講座なのだから、ハズレてしまって行けない人がたくさんいた筈なのだもの。ワークショップが
終わった後にちょっと話しをさせてもらう、くらいなら良かったと思うけど。そういうのは、
あんまりしてほしくなかったな。
まぁ、それ以外は十分楽しく読めたのですけどね。地下鉄の駅を改造した地下書庫を持つ
駅ナカ書店、なんて、その設定だけで十分魅力的ですもん。広大な地下書庫を歩いてみたい~!
シリーズはまだまだ続いているようなので、順番に読んで行きたいと思います。倉井君と
店長も、ほんのちょっと距離が近づいた気がしないでもないしね。倉井君が、ジンさんという、
大きすぎる存在を超えて、槇乃店長の心に入って行けるのか、今後の展開が楽しみです。


柴田よしき「風味さんのカメラ日和」(文春文庫)
柴田さんの文庫書き下ろし新刊。ほのぼのした作品っぽかったので、借りてみました。
主人公の名前、かざみさんなのかと思ったら、ふうみさんと読むんですよね。ケーキ屋の
娘らしい名前といえば、そうなのかも。
理由あってひとり暮らししていた東京を離れ、洋菓子屋を営む蛍山市の実家に戻って来た風味は、
地元の幼馴染から頼まれて、市がやっている無料のカメラ講座に通うことに。講師の知念は
イケメンだが少々頼りない雰囲気があり、風味は初回から先行きの不安を覚える。しかし、
受講生たちが抱える写真の悩みを解消しつつ、彼らが抱える心の悩みをも癒やして行く知念自身に、
風味は次第に興味を覚えて行く――。
こういう市の無料講座があったら、私も通ってみたいなぁと思いますね。だって、ブログにアップ
する写真も、いつもまともに撮れたのがなくって、どれを載せるか非情に悩んでますから。
ただ、いろんな写真の知識が出て来るんですけど、知念の説明はほとんど理解出来なかったです^^;
私が受講生だったら、酷く理解力のない生徒だろうなぁ・・・^^;でも、旅行とかに行って
写真を撮ること自体は大好きなので、少しでもいい写真が撮れるなら、もうちょっと写真を
勉強してみたい、という気持ちにはさせられましたね。ちょっと知識があるだけで、全然違った
写真が撮れるみたいなので。
デジカメのISOだとかホワイトバランスなんて、用語だけは知っているけど、実際写真撮る時に
気にしたことなんかなかったです。ちょっといじっただけで全然違うのでしょうねぇ。
風味さんが東京でやっていた仕事にはビックリ。そっちかー!って感じでした。確かに、大ヒット
するような分野ではないだろうなぁ。次々新しい作品が出されているだろうし。固定ファンは
ついても、爆発的にファンがつくようなジャンルではないですもんね。親に言えない職業ってのも
納得。そりゃ、言えないわ・・・。
続編を想定した作品なのか、最後はちょっと尻すぼみ。知念先生自身のことは全くわからないまま
ですし。え、これで終わり?って感じの最後だったんで、ちょっと食い足りなさを感じました。
市民講座は一年間ですし、最後の講座まで描いて欲しいなー。知念先生の過去なんかも気になり
ますしね。
できれば、カメラ知識の部分はもうちょっとわかりやすく書いて欲しいですけどね。専門用語
連発で、そこはちょっと退屈でした。でも、写真を通した謎解き部分はなかなか面白かったです。
私も、カメラ抱えてちょっと被写体を探して街を歩いてみたくなりました。