ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

秋川滝美「放課後の厨房男子 まかない飯篇」/円居挽「その絆は対角線 日曜は憧れの国」

どうもこんにちは。ちょっとバタバタしていて、久しぶりの投稿になってしまいました。
読了した本の感想は、その都度PCのメモ帳に記録しておいてはいたのですが。年末になると、
やっぱりいろいろやることが山積みで、なかなかパソコンに向かう時間が取れないですね^^;
気が付いたら仕事納めも終わって、今年も残り三日になっていました・・・。
年末ランキングなんかまだ全然考えてないよ・・・ど、どうしよう^^;
できれば明日あげたいと思ってはいますけれど・・・12月は全然読めなかったなぁ。
今年も読了数はいまひとつになりそうだ。


とりあえず、先に読んでいた二冊の感想をあげておきます(今日読み終えた本も
あるけれど、そっちは年明けですね・・・)。



秋川滝美「放課後の厨房男子 まかない飯篇」(幻冬舎
シリーズ第三弾。包丁部の部長だった大地は無事大学受験を突破。六連敗の後、
最後の一校、しかも第一希望のみ合格。かなりご都合主義的に感じなくもなかった
けれど、何が起きるかわからないのが受験っていうのも事実だと思うので、こういう
奇跡も起こり得るのかな、と無理やり納得(笑)。
で、無事高校を卒業して大学に入学した大地は、包丁部の先輩だった(日向)翔平と
(月島)颯太が共にバイトをしている喫茶店『ケレス』でウェイターのバイトを始めます。
始めはメニューを覚えるのに四苦八苦していた大地ですが、颯太や同じバイトの高校生、
夢菜のフォローのおかげもあり、次第に仕事に慣れて行きます。ちなみに、翔平は
接客には向いていないということで、厨房で皿洗い担当。けれども、調理を担当する
荒川の許可を得て、颯太や大地のまかない飯を作って食べさせたりしています。大地は
また翔平の料理が食べられると大喜び。バイトの度に翔平の絶品料理が食べられるなんて、
大地羨ましいな~と思いました。
なんか、大地が卒業しちゃったら、すっかり舞台が翔平や大地がバイトしている
『ケレス』に移っちゃった感じですね。ただ、ちゃんと末那高のメンバーたちも
ちょこちょこ登場します。ちなみに、大地が抜けた後の包丁部は、母親が味オンチの
(水野)優也が部長になっております。小麦粉狂の不知火君も相変わらず小麦粉
料理ばかりを作って、大学の希望学部は小麦を勉強する学部(農学部グルテン
構造なんかを学べる工学部の化学科)を希望しているっていうのだから、筋金入り
ですよねぇ。そこまで、打ち込める何かがあるのは羨ましい気もしますが・・・。
バイトに精を出す大地は、バイト先の夢菜に少しづつ惹かれて行きます。そんな中で、
夢菜から映画のチケットが当たったから一緒に行かないかと誘いを受ける。大地の
恋はどうなるのか・・・といった、大地の初恋話も入っております。恋の結末は
・・・ほろ苦いものでしたけれど。これは夢菜が酷いなー。あんな風に映画に誘われ
たら、そりゃ勘違いしちゃうよなぁ、と思いました。大地哀れ。でも、あの顛末を
考えると、大地の方も、本当に恋をしていたって感じではなさそうですね。これから、
本当に好きな人が出て来るのかなー。
恋愛絡みといえば、翔平の好きな人には素直に驚きました。颯太がそうじゃないかと
言っていた時は、単なる勘違いとかで終わるんじゃ・・・と思っていたのだけど、
本人が認めちゃったからなぁ。でも、自分から言うタイプじゃないから、この先
どうなるのやら。
大地が末那高を卒業しちゃっても、まだまだ話は続けられそうですね。この先は、
包丁部OBがメインの話になっちゃいそうですけれど^^;続きも楽しみです。


円居挽「その絆は対角線 日曜は憧れの国」(創元推理文庫
以前に読んだ、『日曜は憧れの国』の続編。市で開催するカルチャーセンターに
通う四人の女子中学生を主人公に据えた連作集。今回も、四人それぞれに
自分が通う講座でささやかな謎に出会います。
一話目は、千鶴が通う経済学講座での謎。
二話目は、桃が通うマナー講座での謎。
三話目は、真紀が通う芸術講座での謎。
四話目は、公子が通う創作講座での謎。
五話目は、四人全員が巻き込まれる、一話目の経済学講師の講演会での謎。
うーん、ひとつひとつは相変わらずミステリと云えるのかも微妙なくらいの
ささやかな謎なので、さほど読み応えがある訳ではないです。まぁ、
主人公たちが中学二年生ってこともあり、何度も重大事件に巻き込まれる
方がリアリティがないとは思いますけれど。
それよりは、そういうささやかな謎解きを通して、四人の中での関係の変化や、
それぞれの成長を楽しむ物語なのでしょうね。
千鶴が受講した、経済学のカリスマ講師エリカの裏の顔には驚きました。一話目では
出来るオンナって感じの書き方で終始していたので、一話ごとに少しづつ明らかに
される彼女の嫌な一面を知るにつれて、実はかなり腹黒い性格なのでは、と嫌悪感を
覚えてはいたのですが・・・まさか、ああいう素顔が隠されていたとは。政治家や
高学歴な芸能人なんかでもこういう事実が明らかにされて問題になることが一時期
やたらに多かった時がありましたけどね。やっぱり、人を騙すのはダメです
よね。結局、悪いことをすると、自分に返って来るってことでしょうか。
人気が出て自分はすごい人間だと勘違いしたのがいけなかったんでしょうね。
エリカさんにはいい薬になったんじゃないですかね。四話目の公子に対する言動には
本当に腹が立っていたので、ああいうことが明るみに出て、ちょっと胸がすく思いが
しました。街のカルチャーセンターの講師で満足してれば、こんなことにはならなかった
でしょうけどね。
ちょっと読んでいて引っかかったのは、中学生が経済講座やマナー講座に通いたく
なるものなのかなーってところ。まぁ、そういう子もいないことはないでしょうけど・・・
このシリーズに出て来る四人は、ちょっと普通よりも大人びてる感じはしました。
桃の家のシビアな経済状況問題なんかは、現実にもたくさん例がありそうで、
リアリティありましたけどね。彼女の家の状態が今後もっと悪化しないことを
祈るのみです。
四人の微妙な関係はこれからも続きそうです。まだシリーズは続きそうですね。