ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

ほしおさなえ「活版印刷三日月堂 雲の日記帳」/神永学「心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 嘆きの人形」

こんばんは。台風24号、すごかったですねぇ・・・。今回は、予想が的中し、関東も
ばっちり襲撃して去って行きました。
昨日の夜は風の音がすごくて、怖くてなかなか眠れなかったです。あそこまでの恐怖を
感じたのは初めてかも。翌朝家の外を見たら、駐車場の横の目隠し用のフェンスが付け根の
ところで折れて吹っ飛んでいて仰天。
夜中だったので人的被害がなかったのは幸いでしたが・・・とりあえず、保険会社に
問い合わせたところ、保険で修理してもらえるとのことでほっとしましたが。
しみじみ、保険って大事だなぁと痛感させられたのでした(って、別に保険屋の回し者
じゃないからね^^;)。災害多いもんなぁ、最近。


今回も二冊ご紹介。現在またも絶賛予約ラッシュ中。一日一冊ペースで読まないと
全部読破は難しいかも・・・無理だけど・・・。

 

ほしおさなえ活版印刷日月堂 雲の日記帳」(ポプラ文庫)
シリーズ第四弾にして、最終巻。大好きなシリーズが終わってしまった・・・さみしい。
今回も、様々な依頼が弓子さんが営む活版印刷所の三日月堂に持ち込まれます。
プラネタリウムの開館記念に作られた星座の早見盤の復刻版を作りたい、大学の課題で
雑誌を作りたい、古書店店主の雲にまつわる雑記をまとめた本を出したい・・・
三話目と四話目はつながっていて、続けて読むと大きな感動が得られる構成に
なっています。最終巻ということで、前作に出て来た登場人物もたくさん再登場。
弓子さんが、この街で三日月堂を通していろんな人との絆が広がっているのだな、
というのがよくわかりました。一度依頼を受けて終わり、ではなく、その後も
ちゃんと人間関係が続いている。それは、弓子さんの人柄のおかげでもあるし、
日月堂の魅力のおかげでもあると思います。このシリーズを読むと、活版印刷
というのが本当に素敵な技術であることがわかります。実物を目にしてみたく
なりますね。刷られた作品だけではなく、星空のごとくに店内に広がる活字棚とか、
大きな平台とか、三日月堂のお店そのものも。店主の弓子さんを含め、バイトの楓
ちゃんや盛岡の本町印刷の悠生、デザイナーの金子さん、運送会社のハルさん・・・
彼女の仕事に携わる人々も素敵な人ばかり。
そんな弓子さんが、シリーズ最後に手がけたのが、弓子さんが通う古書店の店主が
毎月出している書店のリーフレットに載せていたあとがきのような『雲日記』を、
活版印刷で本にまとめるという依頼。店主の水上さん本人は最初乗り気でなかったの
ですが、彼の本を出版したいと長年願って来た同級生の岩倉や、『雲日記』愛読者の弓子
さんの熱意が実り、本を出すことに。活版印刷で本を出したいと思って来た弓子さんの夢が
叶う依頼でもありました。けれども、本を出すのはある理由から急がなければなりません
でした。弓子さんは、他の依頼を抱えながらも、必死で水上さんの『雲日記』の書籍化
に取り組むことに。水上さんが本を出したくなかった理由も、本を出すのを急がなければ
ならなかった理由にも、やりきれない気持ちになりました。それでも、みんなが必死に
なって一冊の本の出版に取り組む姿に胸が熱くなりました。最後は切ないけれども、
とても感動的でした。今までたくさん活版印刷を通して依頼人を幸せにして来た弓子さん
自身が、最後に幸せになれたのも嬉しかった。悠生とどうなるのかやきもきしていたので・・・
最後に、水上さんの魔法が効きましたね。とても悲しくて、優しい魔法が。
最初から最後まで、本当に素敵な物語でした。終わっちゃったのが勿体ないなぁ。
もっともっと活版印刷の可能性を見せてほしかった。いつかまた他の作品で弓子さんや
悠生と再会出来たらいいな。


神永学心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 嘆きの人形」(角川文庫)
久しぶりに八雲シリーズ。このANOTHER FILES シリーズは、おそらくほとんど読み逃してる
と思うんだけど、図書館の新着情報に載っていたからつい予約してしまった。
まぁ、スピンオフなんで、どれから読んでも問題ないし。そもそも、時系列も本編より前の
お話だから、一心さんもいるし、後藤さんも刑事だし。なんか、こんな平和な時もあった
んだよなぁとしみじみ。
今回は山梨編だそうで。山梨で八雲一行が経験する心霊事件が3つ収録されています。
山梨のご当地色もちょこちょこ出て来て、街旅情を楽しみつつ、いつものメンバー
たちがあーでもないこーでもないとやり合うところが楽しかったです。まぁ、心霊
現象も毎度出て来るけれども、個人的にはそっちはつけたしみたいな感じ(おい)。
ひねくれ者の八雲が後藤さんや遥香にツンツンするところが可愛い(え、読み方
違う?w)。でも、遥香がピンチになると、血相変えて駆けつけるところも萌え
(だから違うって)。
今回、相手はその土地の心霊だけだから終始物語が平和だった気がする。八雲父とか
七瀬深雪とか出て来ると、それだけで物語が不穏な方向に行っちゃうんで(笑)。いや、
もちろん心霊が悪さしたりもするんだけどさ。でも、今回は子供の霊が多かった
から、ちょっと辛かったかも。小さい子供が亡くなるお話は、やっぱりどんな作品
でもやりきれない。八雲たちの働きで、悔いが消えてよかったです。
ところで、掛け軸に描かれた白い着物姿で赤い目の男って、何者なんですかね。
他のシリーズに出て来るキャラなのかな。八雲のご先祖のお話?って思った作品が
あったから、そっちに出て来るキャラなのかしらん(気になりつつ未読)。
そのうちまた本編にも登場するんでしょうか。