ミステリ読書録

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似鳥鶏「叙述トリック短編集」/あさのあつこ「The MANZAI 十六歳の章」

どうもこんにちはー。ここのところ秋晴れの良い陽気の日が続いて嬉しくなりますね。
お布団も干せるし、洗濯物もすぐ乾くし。やっぱり、お日様のちからって偉大だなぁと
しみじみ思う今日このごろです。


予約本ラッシュはとりあえずほぼ終了。文庫本が多かったおかげでなんとかほぼ読み
終えましたが、現在残ってる一冊が微妙。来週は旅行があるため、返却期限前に
返さなきゃいけないから、読みきれずに返す羽目になっちゃうかもしれないなぁ。

 

今回はとりあえず二冊ご紹介。


似鳥鶏叙述トリック短編集」(講談社
タイトル通り、叙述トリックのみを集めた連作短編集。冒頭で著者自らがかなり
ハードルの高くなるまえがきを寄せていて、こんなに大風呂敷広げちゃって
大丈夫かしらん、と若干不安にはなったのですが、さすがに良く出来てましたね。

 

以下、若干ネタバレ気味の感想になってますので、未読の方はご注意くださいね。



まさか、最後のアレまで冒頭のヒントの中に組み込まれているとは。そんなん、反則
じゃん!と負け惜しみを言いたくもなりましたけども(苦笑)。
一作ごとの叙述トリックは、かなりオーソドックスなタイプが多かったと思います。
ただまぁ、推理出来たかというと、全然出来ませんでしたけど・・・おい。
冒頭のヒントのひとつ、一人だけ、すべての話に同じ人物が登場している、という
部分に関しても、完全に作者の術中にはまっておりました。何かどの話でもひっかかり
は覚えていたんですけどもねぇ。それにしても、キャラ変わりすぎじゃないかー・・・。
個人的には、二作目の『背中合わせの恋人』が好きだな。なんか、中田永一さん風
ですけど。ミステリ云々よりも、恋愛小説としての展開がツボ。少女マンガかよ!
って感じでね(笑)。もちろん、叙述トリック部分も騙されてましたしね。
六話目の『ニッポンを背負うこけしは、いかにも似鳥さんらしく、政治家が絡んで
来たりして、かなり大掛かりな展開。まぁ、いつもより控えめではありますが。
体長6メートル超えの超巨大こけしを想像すると・・・かなりシュール^^;
夜中に見たら絶対怖いやつですよね・・・。
一作ごとの出来としてはちょっとばらつきがあるように思いましたが、やっぱり
瞠目すべきは全体通した仕掛けの方でしょう。確かにキャラ造形にばらつきがある
ようには思ったんですけどねぇ。特技も、一作ごとに違ったりするし。もしかして、
年代が違ってたりするのかな?と思って注意深く読んだつもりなんですけど・・・
全く間違いでもないけど、ちょっと方向性がズレてましたね(反省)。
叙述トリックという言葉をタイトルに入れるのはかなり勇気が必要だと思いますが、
ミステリ作家の面目躍如と言える作品になっているのではないでしょうか。
あとがきも相変わらず面白かったです。


あさのあつこ「The MANZAI 十六歳の章」(角川文庫)
あさのあつこさんの作品は実はこのシリーズだけしか読んでいないのですが、
とにかくこのシリーズは大好きで、完結してしまったのが本当に残念だったのです。
だから、図書館新着情報で、あのロミジュリコンビに再び会える!と知った時は
本当に嬉しかった。しかも高校生編。どれだけ成長した二人が読めるのかとわくわく
していました。
しかし、久しぶりに読んでみたら、歩の相方、貴史がいきなりアメリカに行ってしまって
いて、びっくり。最終巻ってそんな終わり方だったっけ・・・?とよくわからない
ままに読み進めていたのですが・・・読み終えて知ったのですが、この新刊の前に、
二人が十五歳の時のお話が知らない間に出ていたのです・・・っ!!し、知らなかった。
慌てて図書館検索したら、入荷なし。どうりで、知らない訳だよ・・・。この
シリーズを入荷しなかったなんて、信じられない。誰もリクエスト出さなかったのか!?
しかも、上下巻らしい。なんてこった。そういえば、私、このシリーズ読んでた時は、
よく隣町の図書館に行っていて、そこでこのシリーズのほとんどを借りていたのだった。
最近全然行かなくなってしまっていたからなぁ。ああ、早く読みたいなぁ。多分、それを
読むと、貴史がアメリカに行ってしまった過程がよくわかるんでしょうね。
まぁ、そこを端折ったとしても、やっぱり面白かったです。歩と貴史の漫才コンビ
やっぱりかわいいし、ツンデレな会話読んでるだけでもめっちゃ楽しい。貴史や周りからの
しょーもないツッコミにも、ひとつひとつ律儀に言葉を返す歩くんは本当にいい子だ。
父親と姉を事故で一度に亡くし、心を閉ざしてしまっていた彼が、貴史と出会ったことで
本当にいい変化を齎しているんだな、というのが改めてよくわかりました。貴史がいなく
なって、表面では平静を装っていても、本心はとても寂しかったのでしょうね・・・。
貴史の方は言わずもがなでしたけど(苦笑)。メールも電話も、一切の連絡を
経っていた理由には、ついついニヤニヤしちゃいました。BLじゃないけど、これ
絶対そっち方面狙って書いてるよね、あさのさん!?最後、あとがきで登場して、
告白しちゃってるしね!(笑)
二人のコンビがまた再開したということで、シリーズもまだまだ続くと思って
良いのかな?その前に読み逃している十五歳編を早く読みたいところだけれど、
図書館入ってないから買うしかないかなぁ。