ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

山本弘「世界が終わる前に BISビブリオバトル部」/阿部智里「発現」

どうもどうも。ヤフーブログ終了のショックから未だ抜けられない今日このごろの
ワタクシです。でも、記事が投稿出来るギリギリまではこちらで投稿するつもりです。
新しいブログをどこにするかは、とりあえず記事移行が可能になってから考えようかなぁ
と思っております。ヤフーにはいろいろいろいろ☓100万くらい言いたいことが
ありますが、ぐだぐだ言ってももうどうしようもないですもんね・・・。
時代は変わって行くものとはいえ、こういう終わり方は想像してなかったなぁ・・・。


読了本は二冊です。


山本弘「世界が終わる前に BISビブリオバトル部」(東京創元社
シリーズ第三弾。前作を読んでからかなり時間が空いてしまいました。というのも、
地元の図書館に全然入荷されなかったからです。ちょこちょこ検索して
入荷状況を確かめていましたが、一向に入れてくれる気配がなく。そのまま
存在を忘れてしまっていました(酷)。先日お仲間さんが読まれた記事を読んで、
久しぶりに検索をかけてみたら、なんと在庫しているではないですか!一体いつ
入っていたのやら・・・。まぁ、予約ゼロですぐ回って来たので良かったです。
さて、前置きながくなりましたが、今回は待望のミステリ編。冒頭は番外編として、
空と銀くんが、ミーナさんに頼まれて有明の東京ビックサイトで開催される
コミケに参入するというお話が入ってはいますが。これはこれで面白く読みました。
なんせ、私、はるか昔、若い頃にちょこっとかじってたことありますから。もちろん、
コミケも行ったことありますし(有明は行ってないけど。当時は晴海とか幕張
とかじゃなかったかな・・・)。
今のコミケが大変なことになってることがよくわかる内容でした。今は海外からの
参加者もめっちゃ多そうですしねぇ。昔は外人なんてひとりもいなかったぞ。
しかし、特撮系は全く興味ない人間なんで、ミーナや彼女の特撮仲間との特撮ウンチク
会話部分は正直、非常に読むのが苦痛だった^^;;それは、シリーズ通して
空のSF薀蓄部分にも共通することではあるんですけど。
空と銀君のコスプレ姿はちょっと見てみたくなりましたけどね(笑)。
そして、本編。こちらはBISビブリオバトル部と早乙女寿美歌率いる真鶴高校ミステリ研と
の交流試合+市立図書館で開催される、子どもたちを対象にミステリをテーマにした
ビブリオバトルがメインに描かれます。プロローグで市立図書館でのビブリオバトル
シーンの一部が描かれ、その直後に真鶴高校での交流戦のシーンに切り替わるので、
途中読んでいてちょっと二つのビブリオバトルを混乱して読んでしまいました。
今回はミステリがテーマということで、なかなか構成もトリッキーになっています。
ミステリ的な仕掛けもありますし。山本さんって、ミステリも書ける方なんですねー。
最後ではすっかり騙されてしまった。
いろんな本が紹介されていますが、私が読んだ本もちらほら混じっていて嬉しかった。
ミステリフリークの寿美歌さん、相当な読書家という設定の割に、読書数が年間100冊って
ところにちょっとずっこけましたけど^^;相当な読書家っていったら、普通300冊
とかじゃないのか・・・。私でさえ100冊は超えているぞ。お仲間さんにはもっとすごい
人もいるし。空が、週に二冊も読んでいてすごい、みたいな考え方をしているので
びっくりしました。空は一日一冊くらいのペースで読んでいるものかと。あのSFの知識量
なら、それくらいのペースで読んでないとおかしいような。あと、空が小学生の頃はミステリ
作家になりたかったってところもビックリした。ミステリそれほど読んでた訳でもなかった
らしいですが。
交流戦で出て来た作品で一番反応してしまったのは、なんといってもあの問題作(個人的にね)
『電氣人間の虞』でしょうね・・・詠坂雄二氏の。あくまで個人的には全くいい思い出が
ない作品で、黒べるこ爆発でしたからねぇ。まさか、あの作品の名前をこんなところで
目にするとは(苦笑)。
銀君が紹介した、やたらめったらタイトルが長いラノベ(絶対タイトル覚えられない)は
ちょっと面白そうだな、と思いました。冒頭でいきなり主人公が年下のクラスメイト
(主人公が一年間休学していたため)の女の子に首をしめられているって、一体どんな
シチュエーションだよ、とツッコミたくなりますよねぇ。
寿美歌さんの『毒入りチョコレート事件』の紹介の仕方には感心しました。高校生でよく
ここまで凝ったこと考えるなー。やられたほうはたまったものじゃないと思うけど^^;
寿美歌さんといえば、彼氏と衝突したエピソードが面白かった。個人的には、彼氏が
推した六枚のとんかつも、寿美歌さんが推した姑獲鳥の夏も大好きなんで、
どっちの気持ちもわかるけど(笑)。まぁ、どっちか選べっていわれたら、京極さん一択
ではありますけどw(蘇部クラブのみなさまごめんなさい)。
他にも、バトル本ではないけど、会話の中で好きな作品のタイトルがいっぱい出て来て
今回はほんとに楽しかったです。
ラストで判明する、ある人のある人への想いにはビックリだったなぁ。完全に騙されてた。
そして、最後の最後で銀君による爆弾投下に面食らわされた。次ももう出てるんでした
よね。早く読まなくちゃ!


阿部智里「発現」(NHK出版)
八咫烏シリーズの作者の新境地となる長編サスペンスホラー(?)。確かに、八咫烏シリーズ
とは全く違う切り口の作品。作者隠して読んだら、絶対当てられないと思うな。
ちょうど回って来ていた時に『王様のブランチ』で紹介されていて、これはタイムリー!
と読むのを楽しみにしていました。早めに予約しておいて良かった。あれで紹介されちゃうと
予約がすごいことになっちゃうんで^^;影響力強いですよね。
さて、本書ですが。平成と昭和に起きた二つの事件が交互に語られて行き、最後に
バラバラに思えたその二つが繋がる、という割とミステリーの王道的な構成。どちらの
時代でも、最初に一人の男性が自殺と思える死に方で亡くなる。それぞれの時代に、
それぞれの家族がその人物の死の謎を追って行く、というお話。
文章は読みやすく、現代パートではまとわりつく怪異の得体の知れない恐ろしさに、
過去パートでは少しづつ明らかになっていく兄の死の真相の恐ろしさにそれぞれ戦慄しながら、
ぐいぐい引き込まれて行きました。
ただ、事件のからくりは、過去の兄の当時の状況がわかっていくに連れて、なんとなく
類推出来てしまいました。真相も、ほぼその通りだったし、阿部さんにしては、ひねりが
足りなかった感じは否めないかなぁ。もっと最後にあっと言わせる仕掛けがあるのかな、と
期待してしまっていたので。
ラストも怪異の処理の仕方がちょっと杜撰だなぁと感じました。さつきや兄に降りかかる
怪異の原因を突き止めて、それで終わりって。結局何も解決してないじゃんか。
ラストのさつきの突然の怒りも理解出来なかった。最後出て行った後のエピソード、蛇足では?
そこから反転があるのかと期待しちゃったのに。なんだ、その終わり方・・・って思っちゃいました。
八咫烏シリーズの終わり方(第一部(章?)分のね)でもそうだったけど、途中まではすごく面白い
のに、肝心の物語の閉じ方がいまいちなんですよね、この方。せっかく途中までは面白かった
のに。最後はちょっと肩透かしな印象で、もやもやとした読後感でした。