ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

奥泉光「ゆるキャラの恐怖 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活3」/秋川滝美「居酒屋ぼったくり11」

どうもこんばんはー。なんだか一気に夏!って感じですね。今日は暑かったなぁ。
あちこちで薔薇が見ごろですね。我が家の近くに、たくさんの薔薇をとても
上手に育てているお宅がありまして、その家の前を通る度に目の保養させて
頂いてます。ああいうのが理想なんだけど、うちはまだまだだなぁ^^;
うちはなぜか毎年他の家よりもピークが遅いんですよ。でも、この間の雹で
大分ひどいことになりましたけれど、なんとかぽつぽつと咲きはじめて
くれました。今年の冬に買った新株の子たちも、ようやく蕾を付け始めて
くれています。花が咲く度にちまちま写真は撮りためているところ。
一通りお花が咲いたらアップしようかなーと思っております。しばしお待ちをー。


今日も二冊ですー。


奥泉光ゆるキャラの恐怖 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活3」(文藝春秋
出ました、クワコーシリーズ最新刊。いやー、久しぶりのクワコー、相変わらずアホ
でしたねぇ。もう、にやにやしっぱなしでした(笑)。
読む度副題とこれだけかけ離れた内容の作品も珍しいと呆れますが、今回も当然
それは健在。
クワコーとスタイリッシュ、最も似合わない単語同士(笑)。いつからスタイリッシュな
生活が、セミを食べることになったんですか・・・。
そう、今回のクワコー、表題作の一話目にて、ついにセミ食に手を出すことに。
いやー、おぞましい。この間テレビで蝉の抜け殻を食べる女の子の映像を
見てぞっとしていたばかりだったのですが・・・。
いくらお金ないからって、セミ!!やめてーーー!!って叫びたくなりました。
でも、クワコーはやたらに美味しそうに食べるんですよねぇ。しかも、夏休みの
三日間(しかないのも可哀想ではあるのだが)、セミ取りが思う存分できると
ワクワクしてるところが可笑しかった。しかし、そのワクワクは思わぬ仕事を
押し付けられ、突き落とされることに。せっかくの三連休だったのに、大学の
オープンキャンパス中、ゆるキャラの中に入る仕事を仰せつかるクワコー。
これがとんでもない地獄のような仕事だった・・・。真夏の着ぐるみはキツイ
ですよねぇ・・・。クワコーがひたすら可哀想でした。エロナマズ大王、鮫谷教授に
頭が上がらないクワコー、断る事もできず、泣く泣くたらちね国際大学ゆるキャラ
たらちね地蔵くんの中に入るのでした・・・。
しかも、その後ゆるキャラコンテストで更なる悲劇がクワコーを襲う。うーん、
その場面を想像すると・・・もう、可笑しくて可笑しくて。はー。いや、笑う
場面じゃないんだろうけど(クワコーにとっては死にかけたわけだし)。
しかし、犯人は意外な人物でした。今回も、すべての謎をホームレス女子大生の
ジンジンがきれいに解き明かします。クワコーは悲しそうに聞いてるだけ(笑)。
しかし、大学に鹿サークルがあるとか、意味不明ですね。鹿を暴走させるのに
使ったあの手段、実際でも使えるものなんでしょうか。いろいろツッコミところ
満載のお話ではありました(まぁ、いつものことだけどw)。
後半の『地下迷宮の幻影』では、学校の中で秘密裏に行われている(らしき)
陰謀の調査を命じられるクワコー。今回命じたのは、クワコーを名探偵と勘違い
した、エロナマズ大王鮫谷教授のライバル、馬沢教授。大きな誤解があるものの、
調査費用三万円に負けて受けてしまうクワコー。馬沢教授曰く、たらちね国際大学
東側に、大学の土地の元持ち主、東金興業の土地が隣接して残っている。そこにかつて
陸軍の研究所が建っており、その地下壕には価値のある物資が未だに隠されて
いるかもしれない、というのだ。そして、そこに来年やってくる予定の島木冬恒
教授の父親が勤めていたかもしれないという。島木の父親はもと陸軍少尉だという。
クワコーは、島木と大学の繋がりや、地下壕について調べる羽目に。しかしまぁ、
当然ながらクワコーは名探偵ではない。一応くだんの地下壕付近に行ってみる
ものの、そこで発見した見慣れないキノコに夢中になってしまう。クワコーの
キノコ師匠である中華料理屋の店主に見せたところ、美味でひどく貴重なキノコ
であると判明、クワコーは調査そっちのけでキノコ採りをしてしまう、という。
見慣れないキノコは危険ですよねぇ。そして、案の定な結末に・・・。
模擬講演会でのアンドレ森とモンジのやり取りが、絶妙にイラっとさせられつつ、
面白かった。この二人が恋仲って、めちゃくちゃ不思議なんですが。絶対森
さんの方が強いよね・・・。でも、ラブラブで幸せそうだからいっか。
薄井先生と島木の共通の秘密だった、金庫の中身には脱力・・・。アホすぎ。
まぁ、辺に不穏な方向に行かないところが、このシリーズの良さかな。
改行少ない文章なのに、なぜか読みやすくてすいすい読めてしまうのがこのシリーズの
不思議なところ。頻発する太字の強調が必要かは疑問を覚えるところですが。
今回も随所に冴えない准教授クワコーの悲哀が見え隠れしていました。
頑張れ、クワコー、負けるなクワコー!
あまりまたせずに続刊をお願いします。


秋川滝美「居酒屋ぼったくり11」(アルファポリス
ぼったくりシリーズついに最終巻。これで最後だとは知らずに借りたので、
帯の最終巻の文字を見た時はちょっとショックでした。まぁ、確かに前作で
美音さんがついに要さんとゴールインしたのだから、予想はできたはず
なのですけれど・・・。
今回は結婚式と新婚旅行、そしてぼったくりの改築、再スタートまで。
結構駆け足でしたね。結婚式の場面では、美音さんから見た要さんの
かっこよさみたいなものは描かれていたけれど、肝心の花嫁に関する
描写が少なくて残念だった。特に、要さんが美音さんの花嫁姿を最初に
見た時の感想とか、書いて欲しかったなぁ。あれだけベタ惚れなんだもの。
相当見惚れちゃって大変だったりしたんじゃないのかしら。
仏滅の結婚式、気にする人は気にするでしょうね。でも、費用も安いって
いうし、本人たちが気にしなければ別に問題ないんじゃないかなぁ。
ちなみに、私の時は友引だった。土日の大安はやっぱりほぼ埋まってるって
言われた気がするな。
二人の新婚旅行は、いい酒蔵がある県を巡る旅。らしすぎて笑っちゃいました。
美音さんが飛行機苦手だから、海外は最初からNG。美音さんが行きたいところに
行こうという要さんの優しさにぐっと来ました。ほんと、いい旦那さんだな。
車で、SAに寄りながらのんびり旅行するっていうのは、うちもよくやるので、
その楽しさはよくわかります。時間で区切られたツアーとかって好きじゃ
ないんですよね。自分たちのペースでゆっくり巡るのが好き。それにしても、
新婚旅行先でも美音さんのお人好し爆発で、高校生の女の子を助ける羽目に
なっちゃうところが、二人らしいなぁと思いました。家にお金がないせいで
大学を中退して働くか迷う女の子に対して、要さんのアドバイスは的を得て
いて、心に刺さったんじゃないかな。まぁ、本当に辞めてくれた方が
ありがたいってパターンもあるでしょうけど。親だったら、やっぱり
子供にはちゃんとやりたいことを学ばせてあげたいって気持ちは絶対
あると思う。彼女の人生が良い方向に進むといいな。
それにしても、要さん側の親族がみんないい人なのにはさすがにちょっと
ひっかかった。普通、あれだけの大企業の親族だったら、誰かしら
美音さんみたいな女性(居酒屋店主)に反発する人物が一人はいそうなものだけど。
嫌味言う人がいたりとかさ。最初は要さんの兄と祖父がその役割を担っていたけど、
あっさり美音さん側にひっくり返ったし。いやいや、そんな簡単に覆らないでしょ!
ってツッコミたくなりましたけどね。
みんな美音さんに気を使う人ばっかりなんだもの。このシリーズは、
本当に徹底していい人しか出て来ないんだなぁと思いました。ま、それが
このシリーズのいいところではあるんですけどね。みんなそれぞれに
美音さんに贈り物を考えてあげるところが素敵だな(当然その贈り物の
内容も)、美音さんは幸せ者だなぁと羨ましくなりました。これも
彼女の人柄ゆえですけどね。
長く続いたシリーズが終わっちゃうのは寂しいですね。またスピンオフ
とかで彼らに会えたらいいな。