ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

奥田英朗/「町長選挙」/文芸春秋刊

前作「空中ブランコ」で直木賞を受賞した奥田英朗さんの伊良部シリーズ第3弾「町長選挙」。

伊豆半島の沖合いに浮かぶ離島・千寿島に2ヶ月限定で派遣された精神科医伊良部一郎。
その島では、間もなく行われる選挙の二大勢力がお互いに対抗意識を燃やして争っていた。
選挙活動に巻き込まれた伊良部が取った行動は・・・?表題作である中篇「町長選挙」と、
実在の人物を患者のモデルにした短編3編を収録。

相変わらず伊良部のトンデモぶりは健在。とんでもない診療を行うのに、何故か最終的には
患者の病気を治してしまう不思議な作品。伊良部のキャラは本当に面白いですね。前作よりも
パワーダウンしているとの説が多いですが、私は楽しく読めました。しかし、実在の人物を
モデルにした3編、ここまであからさまに書いちゃっていいんでしょうか・・・。
「アンポンマン」は、ホ○エモン逮捕前に書かれたものでしょうから、奥田さんご自身も
あの騒動に驚かれたのでは。結果的には、なんとも皮肉な作品になってしまったような。
今回、看護師のマユミちゃんは大活躍。伊良部とマユミちゃんは最高のコンビですね。マユミ
ちゃんの金ダライはお見舞いされたくありませんが(笑)。ただ、確かに「町長選挙」での
伊良部の行動はちょっとひどいですね。子供っぽいというか、子供そのもの。マザコンだし。
実際に、こんな医者がいたら怖すぎです(苦笑)。