ミステリ読書録

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東川篤哉/「殺意は必ず三度ある」/実業之日本社 ジョイ・ノベルス刊

東川篤哉さんの鯉ヶ窪学園シリーズ第2弾、「殺意は必ず三度ある」。

ある日、私立鯉ヶ窪学園の野球部のグラウンドからベース4枚が盗まれた。野球部キャプテン土山から謎の解明を頼まれた探偵部3人トリオだったが、謎は解けない。そんなある日、野球部とライバル校である飛龍館高校との練習試合が行われた。試合終了間際、選手の一人がバックスリーン裏で野球部監督・野口啓次郎の死体を発見する。誰も頼んでいないのに、事件解決に名乗りを上げた探偵部3人。果たして三馬鹿トリオは犯人を突き止められるのか!?

探偵部の馬鹿ぶりは健在。勝手に事件に首を突っ込み、ある重大な勘違いをしたため、事件自体をひっかき回す。ただ、文章的には、烏賊川市シリーズよりはギャグ的要素が少ないように感じます。主要3人のキャラクターの馬鹿さ加減で十分だからなのかもしれないけど。この作品、結局最終的に謎を解くのが誰なのか、が鍵です。○○○探偵とはねー。伏兵が出て来てびっくりでした。
しかし、このトリックは実現可能なのでしょうか。犯人が推理小説好きとか、そんな要素は全く書いてなかったのですが、素人にあんなこと思いつくのだろうか・・・。ま、それを言ったら全ての推理小説を否定することになっちゃう訳なのですが。かなり偶然的要素を含んでいて、考えついたとしてもよく実行に移せたものだ、と思いました。

おそらくこの鯉ヶ窪学園、国分寺市の恋ヶ窪が舞台と思われるのですが、微妙に字を変えてあるので、烏賊川市と同じく架空の都市という設定なのでしょうかね。国分寺市までは書いてますけど。実際の恋ヶ窪には友人が住んでいたので、なんとなく身近に感じられる作品ではありますね。