ミステリ読書録

ヤフーブログから引っ越して来ました。ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

今野敏「清明 隠蔽捜査8」(新潮社)

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待望のシリーズ最新作。大森署の署長から神奈川県警の刑事部長に出世したばかり

の竜崎は、着任早々県境で起きた死体遺棄事件の操作本部長に着任した。現場が

県境だった為、警視庁との合同捜査本部となり、警視庁刑事部長の伊丹と共に

捜査指揮を取ることに。そんな中、妻の冴子がペーパードライバー教習中に交通

事故を起こしたとの知らせを受けた竜崎。急ぎ妻の元に駆けつけるのだが――。

ようやく本来のポストに帰り咲いた竜崎の新しい職場での活躍が描かれます。

まぁ、どこにいても、竜崎自身の言動に変わりはなく、相変わらずブレない

性格だなぁって感じですけど。

町田で起きた死体遺棄事件に関しては、最後ちょっとご都合主義な印象は否め

ませんでしたけど、テンポ良く展開されるストーリーはやっぱり読んでいて

面白かったです。竜崎の合理主義的な考え方に、お硬い捜査官たちの態度が軟化

していく辺りも、いつもの通りでスカッとしました。偉かろうが下の立場だろうが、

竜崎の相手に対する態度はいつも変わらない。偉い人にへりくだることもないし、

下の立場の人間に高圧的になることもない。いつも竜崎は竜崎。そこにほっと

します。こんな警察官、なかなかいないでしょうけどね。

今回は冴子さんがペーパードライバー教習に行ってちょっとしたアクシデントに

巻き込まれる(というか、もともとは自分が起こした事故のせいだけど)のですが、

そこでも竜崎のブレない姿勢で彼女の危機を救うことに。この時の竜崎と冴子

さんのやり取りがすごい好きだったなー。冴子さん、自分がピンチの時なのに、

なぜか心配してやって来た竜崎を叱るという。竜崎の立場で交通事故の現場に

乗り込んで来たら、権力を振りかざして事故をもみ消しに来たと取られかねない

って。さすが冴子さんだなぁと思いました。これが図々しい人間だったら、竜崎の

権限で事故をもみ消してって言うところだと思うけど。ちゃんと、自分の立場

や竜崎の立場を弁えているところが素敵だなぁと思う。それをあの竜崎相手に

叱ってしまうのだから。ほんと、いい奥さんだなー。しかし、そのしっかり者の

冴子さんが、なぜ教習所内で事故を起こしたりしたのか、そこがちょっと

腑に落ちなかったのですけどね。意外と抜けているところもあるのかなぁ。

冴子さんの年で、もう一度車を運転したいと思うこと自体もなかなかすごい

と思うけどね。竜崎が公用車を使えない状況の時とか、役に立ちそうです。

更に冴子さんに頭が上がらなくなりそうな気もしますけど(笑)。

同じ立場に立った伊丹とのやり取りも楽しかったです。個人的には、署長の

立場なのに刑事部長である伊丹と対等に渡り合う竜崎ってシチュエーションが

好きではあったのだけど。竜崎が、警視庁所属の伊丹が、神奈川県警の

捜査官たちを下に見ていると憤り、糾弾するところが好きだった。竜崎に

言われて、態度を改める伊丹の素直さもいいけどね。二人とも、警察ヒエラルキー

のトップにいる割に、幼馴染時代と関係が変わらないところがいいですよね。

やっぱり、この二人の関係が好きだなぁ。

今回、事件の関係者がみんなあの国の人物で、なんとなく今の世の中を考えると

微妙な気持ちになってしまいました。まぁ、今回のような事件は今の日本でも

日常的に起きているんだろうなぁとは思いましたけどね。

刑事部長になった竜崎のこれからの活躍も楽しみです。

白石睦月「母さんは料理がへたすぎる」(ポプラ社)

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はじめましての作家さん。図書館の新刊情報で見かけて、タイトルが気になった

ので借りてみました。ポプラ社からの出版ということで予想はしていましたが、

やっぱりジュヴナイルというか、YA向け作品でした。

父親を事故で亡くした家族のお話。一話ごとに主役が代わりますが、一応

メインの主人公は長男の龍一朗君になるのかな。料理が上手だった父親が

突然亡くなって、料理下手な母親の代わりに主夫をすることになった龍一朗

はっきりいって、料理の腕はそこらの主婦よりよっぽど上じゃないでしょうか。

三つ子の妹の面倒も良く見るし、ほんとにいいお兄ちゃん。母親は家庭の大黒柱

としてバリバリ働くキャリアウーマンだから、家事が苦手でも仕方がない

のかな。龍一朗がいなかったら、この家はどうなっていたのだろうと思うと、

ちょっとぞっとしますけど。

でも、学校では至って普通の男子高校生。可愛い女の子に片想いしてフラれたり、

友人と気まずくなって関係がこじれたりと、それなりに青春エピソードが

挟まれます。でも、家に帰れば立派な主夫。家計のことも考えて贅沢もしないし、

しっかりしてるなぁって感心しました。

小学生の三つ子ちゃんもそれぞれに個性があって可愛らしい。夢の中の父親に

会える能力を持つ渉、母親の為に一人でバスに乗って山に食材を探しに行く

行動力のある透、龍一朗の先輩に恋するがゆえ、バイト先のコンビニに

通ってしまうおませな蛍。どの子のエピソードも愛らしくて微笑ましかった

です。なんで可愛らしい女の子なのに、男の子みたいな名前にしたのかは

謎ですが(蛍はともかく、渉と透はどう考えても女の子につける名前じゃない

ような・・・)。

私生活はだらしないけど、仕事はしっかりして、サバサバした母親の性格も

好感持てました。ちゃんと、子供たちのことは見ていてあげているのがわかるし。

料理は下手でも、しっかり母親なんですよね。お見合い相手との関係がどうなる

のか、そこの結末が中途半端なので、どうなるのか気になりましたけど。まぁ

あの感じだと上手くいくんだろうなぁ。武蔵(父親)は寂しいだろうけどね。

三話の父親視点の話でいきなりファンタジー世界になるので、ちょっと戸惑い

ました。児童書ならではの設定とも云えるかも。父親に会えるのが渉だけ

というのは、ちょっと不公平な気もしましたけど、それだけ感性が強いって

ことなんでしょうね。二人でお店を切り盛りするところにほんわかした気持ちに

なりました。

最後、みんなそれぞれに幸せになれて良かったです。ただ、龍一朗が椿原さんと

結局どうにもならなかったのが気の毒でしたけど。他はみんなカップルになった

のに(苦笑)。彼氏と別れたらしいから、これは龍一朗にチャンスが回って

来たのか!?と期待したのだけれど。人の恋心はそう簡単にはいかないって

ことなんでしょうかね。

母親が料理するシーンがほとんど出て来ないから、タイトルこれでいいのか?

と思いながら読んでたんですけど、最後の話でこのタイトルにした意味がわかり

ました。龍一朗にとっては、母親が料理が下手だったことが、幸いしたんですね。

料理で人を幸せにしたいという龍一朗の強い思いを知って、こういう子は将来良い

料理人になるだろうな、と思えました。親友の辰美君と切磋琢磨して料理の腕を

磨いていって欲しいです。

登場人物それぞれの成長が伺えて、爽やかな青春ストーリーでした。

 

 

 

近藤史恵「歌舞伎座の紳士」(徳間書店)

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近藤さん最新作。病気で仕事を退職してから、無職のまま家事手伝いをしながら

実家で暮らす27歳の岩居久澄。キャリアウーマンの母親の代わりに食事を

作ったり、犬の散歩をしながらおこづかいをもらって生活している。今の所

生活に不便はないが、漠然と今後の生活に不安を覚える日々。そんな中、久澄は

眼科医として自立している姉経由で、奇妙なアルバイトを頼まれる。老齢の祖母に

代わって芝居を観に行き、その感想を伝えて欲しいというのだ。芝居を観に行く

だけで一日五千円のバイト料がもらえるという。月収三万円の久澄にとって、

五千円の収入は魅力的だ。了承した久澄の元に最初に祖母から送られて来た

チケットは、歌舞伎の公演のものだった。当日、始めての歌舞伎観劇に戸惑って

いた久澄は、ある一人の老紳士と出会う。紳士は、久澄が公演の幕間休憩中に目撃

した奇妙な出来事を解決に導いてくれた。その後、久澄の元には定期的にオペラや

演劇などのチケットが祖母から送られて来るように。その度に久澄は芝居の魅力に

取り憑かれて行く。しかし、一方で、芝居を観に行く度に、なぜかいつも歌舞伎の

公演で知り合った謎の紳士と顔を合わせることに疑問を覚えて行く。一体彼は

何者なのか――。

芝居を観に行って感想を伝えるだけでお金もらえるなんて、いいバイトだなぁ。

とはいえ、感想を伝えなきゃいけないから、しっかり内容を把握しなきゃ

いけないし、途中で寝ることも出来ないというプレッシャーはあるだろうけど^^;

歌舞伎やオペラは観に行ったことがないけど、私だったら確実に途中で寝ちゃい

そう・・・。久澄は、そこに面白味を見出して、芝居の虜になっていくのだけど。

歌舞伎やオペラでも字幕があったりして、素人でもわかりやすいようになって

いるものなんですね。ストーリーがわかれば久澄のように面白く観れるものなの

かも。

老紳士のキャラクターがとてもいいですね。若い久澄との関係も良かったです。

さすがにこの年齢差じゃ恋愛関係に発展するとかはないだろうな、とは思って

ましたが、老紳士の正体を知って、そういうことだったのか、と腑に落ちました。

久澄が芝居を観に行く度に二人が出会うのは、いくらなんでも何か裏があるだろう

とは思ってましたが。紳士の想いに胸が切なくなりました。でも、最後にこの

二人が再会出来て良かったです。時を経たからこそ、伝わるものもあるでしょう。

お芝居を通じて、久澄がまた就職出来るまでに成長したところも良かったですね。

今後は、久澄は自分でチケットを買って芝居を観に行くことになるのでしょうね。

多くはなくても、安定した収入も得られるようになったわけだし。やっぱり、

自分で稼いだお金で自分の好きなことが出来るっていいですよね。もしかして、

お芝居を通じて新しい出会いもあるかもしれないですしね。堀口さんとの

関係も、お芝居を通してこれからも続いて行くといいなぁと思いました。

 

 

綾瀬まる「さいはての家」(集英社)

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綾瀬さん最新作。なぜか、いわくありげな人々が次々と住み続ける、不思議な家を

めぐる連作短編集。

家族を捨てて逃げて来た不倫のカップル、人を殺して逃亡者となった男とその

元同級生、新興宗教の元教祖の老女、政略結婚から逃げ出した姉と交際相手から

逃げたい妹、単身赴任にかこつけて育児から逃げた男――いろんなものから

逃げて来た人々が、かりそめの日々を過ごす古びた一軒家。言ってみれば、この

家自体がこの作品の主役と言っていいかもしれませんね。何かから逃げた人

ばかりを選んで住まわせる家。家自らが、そういう人々を呼んでいるかのように

思えました。家に意思があるというか。現に、オーナーは何度もこの家を取り

壊して建て直そうとしているのに、その度に住みたいと希望する人が現れるの

だという。取り壊されるのを阻止しようとして、家が住民を呼び込んで

いるようにしか思えないじゃないですか。なんか、ちょっとホラーですね^^;

三津田信三さんの『家』シリーズみたい。

なぜか長く住むことなく、それぞれこの家を出て行くことになる訳ですけども、

どの人物もこの家に住んだことで見えて来たものもある。ちゃんと、この家で

過ごした意味があるのだと思う。どのお話も、決して明るい結末ではないけれど

(中にはこの家で亡くなった人もいるし)。

時系列がバラバラなので、若干混乱したところはあるのだけど、作者はわざと

時系列を変えて掲載しているのだと思います。時系列を変えることで、ちょっと

したミスリードをさせていたりとか。巧い構成だな、と感心させられました。

年齢性別ばらばらの主人公たちですが、屋根裏に置かれたダンボールの中に自分の

物をひとつづつ入れて行くことによって、この家で過ごした仲間であるかのような、

奇妙な共通意識が芽生えて行く。この辺りの小道具の使い方も巧いですよね。

様々な人物がさまざまな思惑を持ってこの家で暮らし、出て行く。後に残るのは

古びた一軒家と、住人たちが残して行ったダンボールの中の残留物のみ。

最終話で、大家さんが育児から逃げた男性に語った言葉が強く心に残りました。

逃げたことを恥じる男性に、大家さんは『ちゃんと逃げて生き延びた自分を、褒め

なよ』と諭します。逃げることは何も恥ずかしいことじゃない、と。この大家さん、

それまではおしゃべりでおせっかいで何も考えてないような人なのかな、と思って

たんですが(←失礼)、こんないいこと言える人だったんだなぁと、印象を改め

させられました。

逃げて、自分と向き合う時間が必要な人だってたくさんいるんですよね。この家は、

そういう人たちの為に存在しているのかな、と思いました。

綾瀬さんはやっぱり上手い作家さんだなぁ。

 

 

ほしおさなえ「活版印刷三日月堂 小さな折り紙」(ポプラ文庫)

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シリーズ第六弾。前作から日を待たずに読めて良かったです。前作が前日譚

だとしたら、こちらは後日譚。三日月堂のそれからが描かれます。今回も

どのお話も良かったなぁ・・・。たまに、この主人公、どこで出て来た人

だっけ?ってひともいたけど・・・(一話目のマドンナとか。完全に誰だっけ?

状態でした^^;)。

楓ちゃんのおばあちゃんの実家が取り壊されることになったのは、ショックでした。

万葉集の中に出てくる植物ばかりを植えられた庭。想像するだけでも、美しい

のがわかります。でも、最終的には、取り壊されない方向に向かいそうなので、

ほっとしました。まだどうなるかわかりませんけどね。良い結果になるといいな。

弓子さんのお母さんの詩集も無事出版されて良かった。弓子さんの恩師に

協力を仰げたのも良かったですね。活版印刷で刷られた詩集。手に取ってみたい

なぁ。活版印刷の文字自体を見てみたい。このシリーズを読み始めてからずっと

切望していることですけれど。もちろん、生の印刷工場も見てみたいですし。

どこかに残っているのかな?

最終話に出て来た佑くん。最初出て来た時、もしかしてこの子は・・・!と

期待して読んでいたら、やっぱりその通り。友達思いの、とっても良い子で、

嬉しくなりました。両親に大事に育てられているのがとても良くわかります。

周りの大人たちも、みんな良い人ばかりですしね。

そして、何より嬉しかったのは、三日月堂に活気があることです。弓子さんが

ひとりで始めた時からは考えられないくらいに。活版印刷の未来は明るい、と

思えるほどには。もっともっといろんなアイデアを出して、活版印刷の世界を

広げて行ってほしいな、と思いました。

さすがにこれで打ち止めなのかなぁ・・・。それとも、次は佑くんの成長を

追って行くお話になるのかな。どんな形でもいいから、また三日月堂の世界が

読みたいです。

村田沙耶香「コンビニ人間」(文藝春秋)

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第155回芥川賞受賞作。今更ですが、読んでみました。賞獲った時は予約が

すごくて全然借りられなかったんですよね。やっと予約がゼロになったので

借りられました。本がボロボロ(笑)。普段新刊本を借りる方が圧倒的に多いので、

これだけたくさんの人に読まれた本を借りるのは久しぶりかもしれないなぁ。

薄い本なので、結構すぐ読めちゃいました。しかし、読んでる間ずっと腹が

立っていたような気がする。だって、コンビニ店員である主人公のことを、周り

の人間みんなが馬鹿にしているんだもの。

主人公の古倉恵子は、38歳の独身女性。20歳から18年、スマイルマート

日色町駅前店でコンビニのアルバイトとして働いています。

確かに彼女は、何らかの障害があると思われるほどには、空気の読めない人間です。

幼い頃は、そのことで度々彼女自身も家族も嫌な目に遭って来た。

でも、彼女は、同じひとつのコンビニで、18年間働き続けている。しかも、陳列

や清掃や、その他もろもろ、コンビニ店員がやらなければならないたくさんの

仕事を、しっかりきっちりこなしている。どうやったら商品が売れるか考え

たり。翌日コンビニの仕事が入っているからと、前日は早めに寝て、体調管理

もばっちり。これが、プロフェッショナルと言わずして、何なんですか。

同じ仕事を18年も真面目に続けるってだけで、十分世間に誇れることだと

思う。38歳でコンビニの仕事しかしてないからって、馬鹿にするやつの方が

変だと思うのですが。やる気もなく、遅刻が多いとか休みが多いとか、そういう

人間だったらまだ言われても仕方がないとも思えるけれども。恵子は至って真面目

に仕事に取り組んでいる。それに、コンビニの仕事を馬鹿にするやつの気が

しれないんですが。だって、めちゃくちゃやること多いじゃないですか?

私はコンビニ店員の仕事ってしたことないけど、利用者から見ただけでも、

とんでもなく仕事が多いってわかりますよ。扱ってる商品は食べ物だけじゃ

ないですし、宅配やら振り込みやらチケット発行やらコピーやら、なんでも

出来る場所がコンビニですから。コンビニがあることで、どれだけの日本人が

助かっていることでしょう。今日び、コンビニを利用したことがない人を

捜す方が難しいと思う。それだけ、日本に浸透している場所なんです。

ホットスナックの仕込みなんかもあるでしょうし、空いた時間に商品の陳列

しなきゃいけないだろうし、次から次へと新商品のスイーツが発売されるし・・・。

コンビニ利用する度に、コンビニの店員さんって大変そうだよなぁと思います。

実は、実姉がちょうど今コンビニでパートしてるんですけど、話を聞くと、

一番大変なのがタバコの銘柄覚えることだって言ってました。自分が吸わない

から、余計に覚えるのが大変らしい。なるほど。

まぁ、とにかく、コンビニ店員に限らず、しっかり社会に貢献して働いている人を

蔑み、馬鹿にする権利なんか、誰にもないってことです。一番ムカついたのは、

途中からバイトでやってきた白羽って野郎。まともに働く事もできないくせに、

コンビニの仕事を『くだらない仕事』と切り捨て、コンビニで働く人のことを

(とりあえず自分は棚に上げて)『底辺』だと吐き捨てる。もう、何なのコイツ!

って思いました。極めつけは、じゃ、何でその『底辺』のバイトをしようと思った

のか聞かれた時に答えた理由。『婚活』。は~~~!?意味不明。バカなの!?

って思いました(激おこです)。

挙句の果てには、目をつけたお気に入りの女性のお客さんにストーカーまがいの

行為。呆れ果てました。ここまで典型的なクズ男はなかなかいないんじゃない?

ってくらいのクズ。しかし、その後の展開に目が点に。恵子ぉぉぉ~~~!!

やめろ、やめてくれ~~~!!!って叫びたくなりました。まぁ、そこで

白羽を自分の部屋に連れて行っちゃうところが、恵子が恵子たる所以なのかも

しれませんが・・・もう、白羽が恵子の部屋に転がり込んでからは、読むのが

ほんとに辛かった。誰かコイツを何とかしてくれって思いました・・・。最後

まで白羽は最低最悪の男でしたね。白羽の義姉も、恵子に対してたいがい失礼な

女だな、と思いましたが、こんな義兄がいたら、そりゃ苦労するよね・・・。

でも、最後の最後、恵子が出した結論には、快哉を叫びたくなりました。それで

こそ、コンビニ人間。彼女はコンビニで働くべきひとです。コンビニに必要な

人材なんです。こういう人がいてくれるから、コンビニは成り立っているんです。

幼い頃から『他の人と違う』ことで悩み、『普通でいること』を心がけて来た

恵子。でも、普通じゃなくたっていい。恵子は、コンビニ人間でいればいい。

それが、彼女のいるべき場所なんだと思います。彼女が生きる場所がまた

見つかってほっとしました。

なかなかに考えさせられる作品でしたね。賞を獲ったのも頷ける作品だと

思いました。

 

 

 

 

 

米澤穂信「巴里マカロンの謎」(創元推理文庫)

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なんと、11年ぶりの小市民シリーズ。え、もう11年も経ってるの!?と

私もびっくり。でも、確かに自分の過去記事見てみたら、『秋期限定栗きんとん

事件』の記事を2009年に書いていました。記事読み返してみても、全然

内容覚えてなかったよ・・・(だって11年ぶりだよ!?)。待たされすぎだよ!

しかし、今回は『冬期限定~事件』の文字がタイトルから消えてしまったんですね。

冬の話なのは間違いないのですけども・・・なんとなく、さみしい。短編集

だからかな?あれ、一作目とか二作目って短編集じゃなかったけ??これからは

『~の謎』って形になるのかな。四部作だとしたら、あと冬期だけだったのになぁ。

それとも、出版社のあらすじ読む限り、これは番外短編集って扱いみたいだから、

もう一冊正編となる『冬期限定~』が出るんでしょうか(そうだといいが)。

まぁ、何にせよ、再び小鳩君と小佐内さんコンビに会えたことが何より嬉しかった

です。二人とも相変わらず過ぎて。前作(『秋期限定~』の自分の記事読み返し

たら、小鳩君と小佐内さんそれぞれに彼女と彼氏が出来たって書いてあって

驚いたのだけれど、今回はそういう恋愛要素は皆無でしたね・・・。小佐内さん

はどこまで行っても甘いスイーツにしか関心がないようで(笑)。まぁ、

時系列で言っても、『秋期~』が高二~高三の出来事だったのに対し、本書は

高校一年のお話のようなので、まだまだ二人とも若かった(?)ということ

でしょうけれど(時系列的には、一作目の『春期~』の後のお話になるようです)。

四作収録されていて、どれも一応単独でも読める形ですが、微妙にリンクした

お話になってもいます(登場人物が重複していたり)。甘いお菓子もたくさん

登場し、幸せな気分にもなれます(笑)。ただ、お話自体は相変わらずのビター・

ブラック風味。この落差がいいんだな。やっぱりこのシリーズ大好き。

では、一作づつ感想を。

『巴里マカロンの謎』

小佐内さんから、放課後、名古屋の新しいパティスリーに新作マカロン

食べに行くのに付き合ってほしいと頼まれた小鳩君。お店に入ってマカロン

セットを頼んだ二人だったが、小佐内さんが席を外し、小鳩君が一瞬目を

話した隙に、なぜか小佐内さんのお皿の上のマカロンが四つに増えていた。

一体、誰がなぜこんなことをしたのか――。

いくらサプライズでも、マカロンの中に○○○○を入れたのをもらっても、

あんまり嬉しいと思わないけどなぁ・・・なんか、衛生的にどうなの?昔

流行ったような気もしますけど。小鳩君と小佐内さんの考察合戦はやっぱり

面白かった。

『紐育チーズケーキの謎』

有名パティシエ・古城春臣の娘・秋桜と知り合いになった小佐内さんは、

彼女から中学校の文化祭に招待された。部活の模擬店でニューヨーク

チーズケーキを出すらしい。一緒に行ってほしいと誘われた小鳩君は

承知してついて行くが――。

ニューヨークって紐育って書くんですね。当て字ですらない・・・。

小佐内さんが隠したCDの在り処にはびっくり。そんな短時間で出来るか、コレ

・・・とちょっと首をかしげてしまったけれど。とっさにこんなことが考え

つくってところが、小佐内さんのすごいというか、怖いところだと思います。

『伯林あげぱんの謎』

ある日、クラスメートに頼まれて、校内アンケートを新聞部の部室に届けに

行った小鳩君。すると、そこではベルリン名物のあげぱんをめぐって

思案している新聞部員四人がいた。四つのあげぱんのうち、辛子入りを

食べたのに嘘をついた部員は誰なのか――。

辛いあげぱんを食べた人物が誰なのかは、ほとんどの人がわかるんじゃ

ないでしょうか。ただ、なぜそういう状況に陥ったのか、そこが全然

わからなかった。小鳩君の推理を読んで、なるほど~~~!と思わされました。

その人物が悪意で食べる訳はないし、出来心だったのかな、とか思いつつ、

それも腑に落ちないし・・・と思っていたので、すとん、と腑に落ちました。

ただただ、気の毒としか^^;普通のやつ食べたかっただろうなぁ。

『花府シュークリームの謎』

小佐内さんに誘われ、冬の寒い日の放課後、甘味処に行くことになった小鳩君。

二人で甘味に舌鼓を打っていると、小佐内さんの携帯に小城秋桜からの電話が

かかって来た。秋桜によると、やっていないことで学校を停学になったらしい。

二人に助けを求める秋桜に事情を聞く為、彼女の自宅に行くことに――。

幸せな人を妬む人間はどこの世界にもいるってことですね。彼女を陥れた犯人

には、呆れ果てました。まさか、こんな立場の人間がこういうことをするとは。

秋桜は、この年で人間の悪意の醜さを知ってしまった。それは良いことなのか

悪いことなのか。ただ、良かったのは、小佐内さんと小鳩君がついていて

くれたことでしょうか。まぁ、小佐内さんが秋桜に感じている妬みの感情には

一生気がづかないでしょうけど。秋桜のことを可愛いと思っている感情も

確かでしょうしね。それに、最後に、秋桜のおかげで、美味しいスイーツに

山程ありつけたのだから、妬みの感情もきれいに消えたかもしれないですね

(苦笑)。厄落としがちゃんと出来て良かったです。

ちなみに花府はフィレンツェのことだそうです。これも知らんかったー。

 

今回も表紙がとっても愛らしい。ちゃんと『冬季限定~』は出るのかなぁ。

出てほしいなぁ。二人の三年の冬の話がまだ書かれていないからね。