ミステリ読書録

ヤフーブログから引っ越して来ました。ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

千早茜「さんかく」(祥伝社)

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千早さん新刊。最初は、三角形の食べ物ばかりをテーマにした短編集なのかと

思ったのですが(一話目が塩むすび、二話目がにんじん、三話目がミックスサンド

だったため)、そういう訳ではなかったようです(その後は四話目キャベツ、

五話目餃子・・・と関係ない食べ物が続くので)。どちらかというと、恋愛の

三角関係のさんかくの意味合いが強いのかも。三人の人物が順番に主役を

務めて行く形で物語が進んで行きます。一人目は、京都の古い町家に住む、

三十半ば過ぎのフリーのデザイナー、高村夕香。二人目は、大阪の会社で

営業として働く、夕香とは六歳下の伊東正和。三人目は、大学院の研究室で

動物の解剖を学ぶ、正和の三歳下の彼女、中野華。

正和は華という彼女がいながらも、食の趣味が合う夕香と度々食事を共にしている。

加えて、外食以外でも、料理上手な夕香は、度々正和に手料理をご馳走して

くれる。それが実に旨いので、つい手料理を食べに夕香の家に行ってしまう。

夕香は夕香で、正和のことを恋愛対象には思えないものの、美味しそうに自分が

作ったものを食べてくれる正和に、ついつい施しをしたくなってしまう。

一方の華は、恋人の正和との時間を大事に思いながらも、研究室に動物の死体が

運びこまれると、約束そっちのけで死体の解剖に夢中になってしまう。恋愛よりも

学業を優先してしまうため、つい正和のことをほったらかしにしがちだ。

微妙な関係を続ける三人だったが、ある日正和は夕香からルームシェア

持ちかけられる。利害関係が一致した二人はルームメイトになるが、正和は

華にそのことを打ち明けることが出来ず、華は正和の微妙な変化に違和感を覚えて

行く。そして、次第にそれぞれの関係が変化していくのだが――。

食の好みが合うって、私は付き合う中でかなり重要だと思っています。そういう

意味で、正和が食に興味のない華より、美味しいものを一緒に美味しいと

言い合える夕香とご飯を食べたいと思うのは、仕方がないことかもしれない

なぁと思いました。私自身、食に興味のない人間と一緒に食事したいと思わない

もの。夕香と正和二人のパートでは、出て来る食べ物がいちいち美味しそうで

お腹が空いて来たのだけれど、反対に華パートでは動物解体時の悪臭や血臭が

臭って来るようで、ちょっと気分が悪くなりました。どちらも、千早さんの

文章描写がいい意味でリアルに迫って来るせいかもしれませんが。華みたいな

女の子を好きになると大変だろうなぁと思います。大学で研究室に入るような

人は、大なり小なりこういうオタクな要素がある人ばかりなのかもしれませんが。

そうじゃなきゃ、研究なんて出来ないでしょうしね。ただ、それに付き合う人間は、

やっぱりある程度研究に理解がある人じゃなきゃ無理だろうな。華の悪いところは、

きちんと自分の研究のことを正和に伝えていないところ。どうせ理解されない

だろうとはなから決めつけているようなところがあって、それじゃわかりたくても

わかりあえないだろう、と思いました。研究内容が内容なだけに、女の子として

言い難いことはわかりますけどね。正和の方も、付き合っている彼女がいるのに、

安易に年上の女性とルームシェアするってのがあり得ない。どっちも少しづつ、

お互いに歩み寄りが足りなかったな、と思いました。

正和が最終的にどっちの女性に行くのか気になりながら読んでいたのですが、

最後は割合あっさり決着がついて拍子抜け。っていうか、夕香がああいう決断を

しなかったらどうなっていたのだろう。それを受けて、結局元サヤに戻ろうと

する正和の態度にイラっとしました。まぁ、この経験があったからこそ、一番

大事なのは誰なのかがわかったのかもしれませんけど・・・なんか、調子良すぎな

印象は否めなかったな。

夕香が作る料理はどれも美味しそうでした。ぱぱっと自分で何でも美味しく

手際良く料理できちゃう手腕は憧れます。私は料理自体は嫌いじゃないけど、

手際が悪いんですよね。ついつい時間がかかっちゃう。短時間でささっと

作れる能力が欲しいです・・・。でも、手間暇かけて作る料理も嫌いじゃない

ですけどね。美味しければ何でもよし。

土鍋で炊いたご飯で塩むすびが作ってみたくなりました。

中途半端な三角関係のお話ですが、それぞれの感情描写が巧みで、ぐいぐい

読まされてしまいました。共感出来るお話ではなかったですけどね(苦笑)。

 

 

歌野晶午「間宵の母」(双葉社)

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歌野さん最新作。間宵家をめぐる、どこまでもダークな連作サイコミステリー。

ミステリーというよりも、もうほぼホラーに近い作風です。いやー、怖かった。

貴志祐介氏の『黒い家』のような、人間の狂気に怖気が走る作品です。

どの作品にも間宵家の誰かが出て来る訳なんですが、一話づつ感想を書いて

しまうと構成上のネタバレになってしまうので、とりあえず一作目の部分だけ。

小学三年生の詩穂には同じクラスの紗江子という親友がいる。紗江子の父・夢之丞は、

王子様のような見た目に加えて、明るく誰にでも優しいので、子供にも保護者の

お母さんたちにも大人気だった。しかし、志穂が紗江子の家に遊びに行って

不思議な体験をした後、突然志穂の母親が失踪してしまう。その上、志穂の家に

紗江子の母という女が怒鳴り込んで来て、志穂の母と夢之丞が駆け落ちしたと

言い出した。夢之丞が書き置きを残して行ったと言うのだ。すべてを志穂の母親の

せいにする紗江子の母は、それ以来志穂の家に壮絶な嫌がらせをし始めて――。

とにかく、間宵の母、つまり紗江子の母親、己代子のキャラが強烈過ぎました。

どこまでも狂気に囚われていて、こんなのに目をつけられた日には、あっという間に

精神を壊してしまって当然。一作目の己代子の嫌がらせの場面は、ただただ

恐怖でしかなかったです。近所の人は迷惑しただろうなぁ・・・。特に、両隣の家

の人は。自慢の夫が失踪して頭がおかしくなった女が奇行をしまくる訳だから。

思い込みが激しく、何を言っても理屈が通らない、こういう人間が一番危険だし、

関わると厄介。

そして、この女に目をつけられてしまった志穂と父親のその後は悲劇でしか

なかった。まぁ、父親は父親で最低の人間でもありましたけども。二作目三作目と

更にこの間宵家に関わった人々の不幸が続いて行く訳なのですが、もうどのお話も

最初から嫌な予感しかしなかったです。三作目は大きなオーブンが出て来た時点で

(といってもこのオーブンは一話目にもちらっと伏線的に登場していたのだけれど)、

最悪のシーンしか思い浮かばなかったし。そして、案の定、どのお話もどこまでも

救いのない結末でした。

最終話で、一話目からのいろんな伏線が回収されるところはさすがに上手いと

思いましたが、結局最後はホラー的なオチに終わり、ちょっと拍子抜け。まぁ、

最後は得体の知れない恐怖で余韻の残る終わりにしたかったからかもしれませんが。

歌野さんらしいオチと言えば、そうなのかも。ホラー映画だったら、敢えて

こういう終わり方にさせる方が効果的でしょうしね。

最後まで読むと、己代子の印象は少し変わるかもしれません。それまでは、

ただただ狂人にしか思えず、嫌悪しか感じないキャラだったのですが。まぁ、

最後の最後まで、空恐ろしいキャラなのは間違いない。『間宵の母』という

タイトルは、いろんな意味を持っていると思います。己代子だけを意味する訳

ではないことは、読めば明らかになるはず。上手いタイトルの付け方ですね。

最初から最後まで厭~~~な気持ちになるお話でした。イヤミスとホラー好き

にはお薦めかな。

 

 

越谷オサム「四角い光の連なりが」(新潮社)

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人生の大切な場面に登場する列車にまつわるお話を集めた短編集。5作が収録

されています。どれも心に沁みる心温まる作品ばかりでした。最初はタイトルに

ピンと来てなかったのですが、途中でその意味がわかります。どのお話にも

通づるタイトルではありますよね。

 

では、各作品の感想を。

『やまびこ』

生命保険会社に勤める主人公が一関の実家に帰る新幹線に乗っている間の出来事を

綴ったお話。隣に座る家族を眺めているうちに、実家の父親と仲違いした過去を

思い出す・・・。親は、どんな時でも自分の子供を想っているものですよね。

最後、主人公がアルバムをめくって行くシーンにジーンとしました。

『タイガースはとっても強いんだ』

タイガースの熱狂的ファンであるおれは、観戦前には様々なルーティンがある。

当然、憧れの中井さんを誘って観戦に行く今日も同じようにルーティンをこなす

予定だった。しかし、電車に乗ろうとホームで待っていると、懐かしいポーランド

語が耳に入って来た。おれは父親の仕事の都合で四歳から一二歳までポーランド

住んでいたのだ。彼らの会話が理解出来るだけに、その日のルーティンが少しづつ

狂って行く羽目に・・・。

主人公のお人好しキャラにとても好感が持てました。ポーランド夫婦との交流が

とても良かったですね。道案内していて待ち合わせに遅れたことを中井さんが

信じてくれないのが可哀想でしたが、その後夫婦との奇跡の再会で誤解が解けて

良かったです。ポーランド人夫婦が帰国してからのタイガースの成績がどうだった

のか、ちょっと気になります(おそらく結果は・・・^^;)。

『二十歳のおばあちゃん』

母親に頼まれて、祖母と共に愛知県の豊橋まで旅行に行くことになった美羽。

祖母は、昔乗った路面電車に乗りたいのだという。面倒だと思いながらも

しぶしぶ承知する美羽だったが・・・。

昔の電車が塗装を変えて違う場所で走っているというのはよくあることですよね。

それが海外にまで持って行かれて走っている場合もありますし。最初は自分の

ことばかり気にしていた美羽が、途中から祖母の為の旅行だったと思い出して

行動するところは偉かったと思います。新幹線は、乗り遅れてもその日中の

自由席なら振替が出来る、という伏線が、最後に効いてくるところは上手いな、と

思いました。

『名島橋貨物列車クラブ』

僕と松尾君は、放課後鉄橋を渡る貨物列車を見るのが日課だった。卒業論文

その話を書いた後も、僕は原稿用紙に続きを書き続けていた。卒業論文に載せた

話には、嘘がいくつか含まれていたからだ。その嘘の内容をきちんと書きた

かった。その嘘には、同じクラスの伊藤さんが関わっていた――。

松尾君が、貨物列車に乗った理由に胸を打たれました。主人公は良い友だちに

恵まれましたね。ぼっちの伊藤さんも、貨物列車クラブに入れて楽しかった

んじゃないかな。中学に入っても、三人の付き合いが続けばいいな、と思いました。

『海を渡れば』

5月、川崎市民会館で勾梅亭一六は独演会のまくらで、自身が過去に一度だけ

落語家を辞めて夜逃げした時のことを語り初めた――。

師匠の粋な計らいが素敵でしたね~。あとおかみさんも。一人前になる為には、

どんな職業でも厳しい修行を経験するものです。兄弟子の仕打ちは酷いもの

でしたが。あの師匠からの電話で一六が心を改めて戻れて良かったです。待って

いてくれた師匠夫婦の器の大きさが身にしみたでしょうね。子への親心を描いた

一昇師匠の『藪入り』、完全版が聞いてみたくなりました。

 

東川篤哉「魔法使いと最後の事件」(文藝春秋)

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魔法使いマリィシリーズ(というらしい)第四弾にして最終巻(らしい)。

前作はラストでマリィが聡介の前から姿を消してしまい、どうなっちゃうの!?

ってところで終わってたんですが、本書の一話目であっさり再登場。まぁ、

そうじゃなきゃ話も続かないわけですけど(苦笑)。ほとぼりが冷めるまで

しばらく姿を消していただけだったらしいです(笑)。でも、その期間が

あったからこそ、聡介がマリィの大切さに気づけた訳ですし、例の婚姻届の

顛末にもつながっているので、結果としては良かったのかな、と。

ミステリ的には、今回はあんまり突出したものはなかったですね。最後なのに^^;

一作目のダイイングメッセージを残した方法と、二作目のダイイングメッセージ

が残されていた場所に関しては、なるほど!と思わされましたが。一作目の方は

なんとなく予想はついたのですけどね。

後半の二つはもう少しひねりが欲しかったかなぁという感じ。特にラストの

凶器からアレが生えて来るってのは、さすがに無理過ぎないか!?と思い

ました・・・^^;しかも、生えて来た理由が、冒頭に出て来た○(漢字一字)。

ほんとに、そういう研究結果が出ているのでしょうか。

マリィと聡介がケンカしつつもラブラブなのが微笑ましかったですね。椿木

警部も、最後にマリィからアレを受け取った訳ですし、今度こそ幸せになれる

出会いがある・・・といいなぁと願います(苦笑)。それにしても、あれだけ

適当な捜査(別名出会い系捜査)をしていて、問題にならないんでしょうか。

それはそれで、警察組織に問題があるような気も・・・。椿木警部の痛いキャラも

これで見納めなんですね。あんまり残念でもないけど(笑)。

なんとなく消化不良な、なし崩し的な終わり方でしたけど、聡介とマリィが

幸せになれたからいいのかな。

若竹七海「不穏な眠り」(文春文庫)

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葉村シリーズ最新作。定期的にこのシリーズの新刊が読めるなんて、本当に嬉しい。

雑誌連載されているから、コンスタントに出続けているようですね。ありがたい。

そして、今回も例に漏れず、どの作品でも理不尽な不運に見舞われる晶さん。

なんでこう、毎回満身創痍なんですかね。後解説で辻真先氏もおっしゃって

ますけど、いきなり冒頭からトンデモナイ目に遭ってる作品もありますし。

それでも、なんだかんだで事件を解決してしまうところはさすがとしか言い様が

ありません。史上最高に不運だけど、史上最強の女探偵であることは間違いない

ですね。

では、一作づつ感想を。

『水沫隠れの日々』

半年の余命宣告を受けた女性から、古本の出張買い取りを頼まれた葉村晶。指定の

マンションに赴き、査定を終えると、依頼人から今度は探偵としての仕事を頼まれる。

彼女の友人の娘が刑務所から出て来るのを迎えに行って、自分のもとまで確実に

連れて来てほしいのだという。依頼を受け、当日刑務所で娘を迎えた晶だったが、

そこから次々ととんでもない目に遭う羽目に――。

依頼人が友人の忘れ形見である娘を、余命わずかの自分の元につれて来てほしいと

言った理由は、途中からなんとなく予想がつきました。そうじゃなきゃいいな、とは

思いましたが・・・。娘の人となりがわかってくるにつれて、嫌な予感しかしなかった

んですよね~^^;若竹さんらしいブラックなオチ。

ちなみに、タイトルの『水泡隠れ』は『みなわがくれ』と読み、水面に浮かぶ泡沫が

水底にあるものを隠す、という意味なのだそう。勉強になりました。

『新春のラビリンス』

晦日の夜、つきあいのある東都総合リサーチの桜井から、解体間近の廃ビルで、

一晩警備の仕事をして欲しいと言われた葉村。そのビルは巷で呪いの幽霊ビルと

呼ばれ、バブル期に自殺したビルの元のオーナーの幽霊が出ると噂されているらしい。

高額のバイト代につられて引き受けた葉村だったが、暖房の消えた凍える部屋で

震えながら新年の一日を過ごす羽目に。仕事を終えて営業所に戻ると、女性事務員

に労いの言葉をかけられ、同時に仕事の依頼を受ける。昨日の夜から連絡が取れない

恋人を捜して欲しいのだという。彼は幽霊ビルの警備をばっくれた後から行方不明に

なっているらしいのだが――。

晶さんに調査を依頼した楓のキャラが自分勝手過ぎてイライラしました。いくら

妊娠してナーバスになっているからって、図々しすぎ。相手の男も大概しょうもない

ヤツでしたが。インフルに罹った男とさんざん接触していたにも関わらず、晶さんが

罹患しなくて良かったです。そういう所はほんと強運ですよね(苦笑)。

『逃げ出した時刻表』

自身が働く書店の店長・富山が胆嚢炎で入院してしまい、彼の代わりに様々な

雑用で駆けずり回る羽目になった葉村。その上、富山は鉄道ミステリフェアの

準備まで丸投げしてきた。その目玉は、珍本コレクターから借り受けた

神岡武一の弾丸痕つきABC時刻表だった。しかし、その時刻表が何者かに

盗まれてしまう。行方を置い始めた葉村だったが――。

冒頭から何者かに晶さんが襲われる場面で始まり、面食らわされます。いきなり

初っ端から災難に遭ってるよーー、と叫びたくなりました^^;平穏無事で

解決出来る事件はないのかい^^;

これはちょっと登場人物が多くて人間関係把握するのが大変でした。この

シリーズは結構そういうのが多いんですけどね。弾痕入りの時刻表に関しては、

ラストで皮肉なオチがついてます。まぁ、そうかな、とは思いましたけどね。

『不穏な眠り』

葉村のご近所さんで書店の常連だった鈴木夫妻の夫が亡くなった。残された妻は

房総半島の高齢者向けマンションに一人で住み始めたという。その妻の品子から、

夫の蔵書を買い取って欲しいと頼まれ、葉村が訪れることに。買取査定が終わると、

品子は葉村に、調査の依頼をしたいと告げる。品子が従妹から相続した家にいつの

間にか居座り、人知れず亡くなった女性の知人を捜して欲しいのだという。葉村は、

相続した家のある世田谷の住宅街に行き、亡くなった女性を住まわせていた今井

という男の知り合いの家を訪ねた。葉村が男の妻に話を聞いていると、突然背後から

襲いかかられて――。

これもなかなかに複雑な人間関係で混乱しました。それにしても、晶さんは

事件の度に誰かに襲いかかられているような。その上、極めつけに○○崩れ。最近の

災害列島日本の惨状を鑑みると、大雨が降ったら実際にこういう事態になるのが

現実なので、ぞっとしました。晶さんが無事でほんとに良かった。不運なのか

ラッキーなのか、ほんとに紙一重な人だなぁ。不幸中の幸いがこんなに人生で

多い人も珍しいんじゃないだろうか。ニュータウンの末路は、これから日本の

あちこちで現実問題になりそうです。災害や社会問題もしっかり現実に即して

描かれているところにリアリティがありました。

リアルタイムで晶さんも年を取っているのに、作者の彼女の扱いは常に容赦が

ないですね・・・もう少し、平穏無事な日常を過ごさせてあげてもいいのでは

とも思うけれど、この先もそうはならないんだろうな。ま、それがこのシリーズの

醍醐味でもあるからいいんですけどね(いいんかい)。

今回も読み応えたっぷりでした。面白かったー。

 

恩田陸「歩道橋シネマ」(新潮社)

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恩田さんの最新短編集。こういうノンシリーズの短編集は久しぶりですね。

相変わらずの恩田ワールド全開。万華鏡のように、いろんなタイプのお話が出現

する。ほんと、イマジネーションの天才だと思う。

あとがきでご自身も触れてらっしゃいますが、全体的にホラーよりのものが多かった

です。ほんの掌編も入れて、全部で18編が収録されています。一見ホラーには

思えないのだけど、最後まで読むとぞっと背筋が寒くなるようなタイプの作品が

多かったですね。得体の知れない怖さがあるというか。こういう世界観を描かせたら

ほんとに上手いと思う。まぁ、出来にはばらつきがあって、何だかよくわからない

お話もありましたけど(苦笑)。

あとがきですべての作品について作者ご自身が解説してくださっているので、

こはちょっとありがたかった(それでもわからないものはわからなかったの

だけど^^;)。

既存の作品のスピンオフなんかも混ざっているので、そこはファンには嬉しい

とこでした。ただ、『消滅』のスピンオフといわれても、正直全然本編を覚えて

いなくって・・・あとがきでスピンオフだと知ったという体たらく^^;

今度図書館で本編確認して来ようっと。

では、各作品の感想をちょっとづつ。

 

『線路脇の家』

線路脇の家で、いつ見ても同じ部屋にいる三人の人物。彼らは一体何をやって

いるのか?こういう職業があるのはなんとなく知ってましたけど、高齢の女性

も入っているのが驚きでした。

『球根』

これは怖かったですね~~。ホラーとしての出来は一番じゃないでしょうか。

球根がなんかエロいという恩田さんのご意見、なんだか頷けます。これは短編で

読むのは勿体ないなぁ。長編でもっと膨らませた話が読みたいです。学園ホラー

としていい作品が出来そうだ。

『逍遥』

『消滅』のスピンオフだそうで。確かに、十時って名前は覚えがあって、どこかで

読んだかな?と思ったのですけど。近い将来、本当にこういう技術が開発されたら

面白いだろうなぁ。日本にいながらにして、他の国に行った気になれる。懐中時計

が失くなった真相も、なるほど、と思えました。

『あまりりす』

ほとんどが発見された音声テープの声だけで構成された作品ですが、これも何が

起きたのか類推するとぞーっとする話ですね。っていうか、ほんとに何が起きて

いたんだろうか。あまりりすって何なのーーー^^;;

『コボレヒ』

木漏れ日を避けて歩くって、夏の暑い日は非常に不便じゃないでしょうか。だって、

絶対木の下とか、日陰の下を歩きたいよね。一生これが続くのだとしたら・・・ぞぞ。

『悪い春』

これはちょっと意味がよくわかんなかった。職業吸血鬼って何なんだ^^;でも、

この吸血鬼のくだりって、どこかで読んだ気がするなぁと思っていたら、あとがき

『EPITAPH東京』のスピンオフだということが判明。なるほど。作中に出てきた

ウメクロは、当然ながらモモクロのパロディなんでしょうね。

皇居前広場の回転』

これは、タイトルそのまんま。皇居前広場で一人の少年が回転するっていう。

だから何?って感じもしますけど、恩田さんが実際見たその光景を作品に写し取り

たかったんでしょうね。

『麦の海に浮かぶ檻』

タイトルからもわかるように、『麦の海に沈む果実のスピンオフ。理瀬は直接

出てきませんけど。これはアンソロジーで既読。ミステリとしても、作品自体の

完成度としても、やっぱりピカ一じゃないでしょうか。ああ、本編の続編が

読みたいよぅ(涙)。

『風鈴』

これも印象的な一作。南部風鈴の音、私は大好きなんですけど、こういう状況で

鳴ったら、そりゃー怖いでしょうね。冒頭の、週刊新潮の表紙が怖いっていうのは

なんでかよくわかんなかったけど(苦笑)。

『トワイライト』

なんか、この流れってもしかして・・・と思ったら、やっぱりあのお話のことでした。

こんな風に扉を開けさせたのかもしれないと思ったら、ちょっと可笑しくなりました。

『惻隠』

猫視点で語られるお話。吾輩は猫であるのオマージュ作品だそうな。尻尾が増えて

行くところで、もしかして九尾の猫?と思ったら、その通りでした。

『楽譜を売る男』

恩田さんが実際目にした光景をお話にしたものだそう。楽譜を売る男の顛末には

脱力。そんなオチかい^^;

『柊と太陽』

クリスマスのびっくり別解釈。冬至とクリスマスをこういう風に結びつけるとは

(絶句)。※『悪面!悪面!』『三田』、極めつけが『滅理、来衆益し!』・・・

お、恩田さ~~~~ん^^;;(『』内の読みは後述します。なんて読むのか

当ててみて下さいw)

『はつゆめ』

『ゆめ』で繋がった二人が、どうやって出会ったのか、そこが知りたいです。

これは横浜を舞台にした幻想小説になる予定だそうで、執筆されるのが楽しみです。

『降っても晴れても』

いつも同じ曜日の同じ時間にカフェの前を通る日傘王子が、なぜ事故の日に

限って違う道を歩いていたのか。ミステリとしても面白かったです。まぁ、

実際こんな方法で人を殺せるかどうかは疑問を覚えますけども。

『ありふれた事件』

小さく新聞記事に載る程度の、ありふれた事件の真相には、恐るべき真実が

隠されていた――これ、実際その場にいた人は絶対その後かごめかごめに

拒否反応が起きそうですね・・・。その場にいた証言者の子供がトラウマに

なってなきゃいいけど・・・。てか、その瞬間の映像を想像すると、完全に

例のホラー映画のアノ場面ですね・・・ひぃぃぃ。

春の祭典

現在準備中のバレエ小説の習作として書かれたものだそう。恩田さんのバレエ

小説!楽しみ過ぎる!!ここに出て来た『彼』が出て来るのかな?すごくオーラが

ありそうなキャラなので、そうだと嬉しい。

『歩道橋シネマ』

こんな奇跡が起きる場所があったら、私も行ってみたいです。歩道橋シネマって

言葉の響きがすごくセンスがあって好きだなぁ。私ならどんな映像が観られる

だろうか。

 

 

『柊と太陽』の※部分の読み方

『悪面』→アーメン

『三田』→サンタ

『滅理、来衆益し』→めり、くるしゅまし(く、苦しい・・・)

 

2020年 あけましておめでとうございます。

どうもどうも、みなさま、あけましておめでとうございます。

お正月はいかがお過ごしでしたでしょうか。ワタクシめは、ほぼ例年通りのお正月

休みを過ごしておりまして、今年もあっという間のお休みだったなぁという感じです。

明日一日残ってますけども。

お参りは元日の朝4時に起きて地元の神社へ。おみくじは相方ともども微妙な中吉。

当然ながら内容も微妙でした・・・。夜は実家で新年会。兄・姉家族も集まって、

賑やかでした。

二日は隣町のデパートで初売りに参戦。

いつもは一人で行くのですが、今年はたまたま相方が三が日お休みなので、

付き合ってもらって、お洋服福袋三つをゲット。これで一年おしゃれ服

買わなくてすむ(笑)。ちなみに相方はビックカメラスマホのワイヤレス充電器

を買ったのみ・・・。あ、旅行用に水中でも使えるデジカメも買いましたが

(まぁ、これは私の年代物のヘボデジカメの代わりですけど・・・今後旅行記

写真が前よりよくなる・・・ハズ?)。

三日の昨日はいつも行くスーパー銭湯で心身ともに癒され(岩盤浴最高!)、

本日はお正月太りを解消すべくジムで2キロほど泳いできました・・・とこんな

感じでお休みがあっという間に過ぎ去ったのでした。

本は休み中二冊くらいしか読めてません^^;ま、だいたい長期の休みは本読む

暇がなくて終わるんですよね。夜はなんだかんだでお正月番組観ちゃうしね。

今年はついにオリンピックイヤー。日本の選手がどれだけ活躍できるか楽しみ

ですね~。ちなみに、私は観戦チケットの応募はしませんでしたが、兄のとこも

姉のとこも応募チャレンジして全部落選だったそうです(二次募集もダメだった

らしい)。ただ、兄のとこはパラのバスケだけ当たったらしいので行く予定だそう。

私は出来るだけテレビでいろんな競技応援したいです。個人的には飛び込み競技

観るのが大好きなんだけど、なかなか地上波で放送してくれないんだよなぁ(

我が家はBSが観れない^^;)。あとはテニスとかも楽しみかな。なおみ

ちゃんと錦織くんに頑張ってもらいたい!

本は去年が130ちょいだったから、140冊は頑張りたいなぁ。たくさん良い本に

出会えると良いのだけれど。

図書館の年末年始休みに入る前に、予約一人待ちの本が7、8冊あったので、

年明けに一気に回って来るかもしれず、実は今戦々恐々としているところ・・・。

ヤフーブログが終わって、はてなブログに移ってから、読書記事の形態を一記事

一冊に変えたので、ついつい読了本の記事がたまってしまいがちです(ヤフブロ

時代は一記事にまとめて二冊三冊アップしていたので)。今年は出来るだけ

記事アップの回数を増やせるといいなぁと思います。

まぁ、今年ものんびりぼちぼちやって行こうと思いますので、みなさま、

何卒どうぞよろしくお願い致します。