ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

井上真偽「白雪姫と五枚の絵 ぎんなみ商店街の事件簿2」(小学館)

ぎんなみ商店街シリーズ第二弾。続編出るとは思わなかったな~。まぁ、前作が

めちゃくちゃ話題になったからね。前作は焼き鳥屋『串真佐』の三姉妹サイドで

一冊、四兄弟で生活している木暮四兄弟サイドで一冊と、二冊分冊形式でしたし、

同じ事件をそれぞれの視点で描き、謎解きもそれぞれ違った解決になっていると

いう面白い趣向でした。今回は、三姉妹視点、四兄弟視点が交互に描かれているし、

それぞれ出て来る事件も違っています。ただし、最終話に向けてそれぞれの事件が

ひとつに集約されて行くので、連作形式の長編とも言える構成になっています。

四兄弟の母親が、亡くなる前に描いたという五枚の絵が物語の核となります。

童話をモチーフにしたその五枚の絵は、すべて『見立て絵』になっており、絵に

何らかのメッセージが隠されています。三姉妹と四兄弟は、それぞれに絵に

隠された謎を解いて行くことに。すると、その背後には知られざる秘密が隠されて

いた――と、概要はこんな感じ。

五枚の絵は、すべてが有名な童話をモチーフにしています。『白雪姫』『三匹の子豚』

『赤い靴』『ヘンゼルとグレーテル』『雪女』。

まぁ、この中だと『雪女』だけちょっと浮いてる感じもありますけど・・・^^;

前作は趣向はすごく面白いと思ったものの、それぞれの解決にもやもやが残り、

個人的にはそれほど高評価ではなかったのですが。

今回はそういう解決に関してのもやもやはあまりなかったですね。五枚の絵の

謎解き部分は、かなりご都合主義に感じるものも多かったですが・・・。でも、

五枚の絵から、少しづつその背景の人間関係等が明らかになって行く過程なんかは

面白かったです。かつて「ぎんなみ商店街の白雪姫」と言われて、商店街の

マドンナだった八百谷雪子と、七人のこびとと言われた取り巻きの男性たち

との悲喜こもごも。五枚の絵に隠された真実とは何なのか。現在は認知症になって

しまった雪子の秘密とは?

いろいろな仕掛けが施されているので、なかなか読み応えがありましたね。最初

の方で解決したと思えた事件が、最後でひっくり返されたりね。雪子さんの

一億円盗まれた発言の真相にはびっくりしたな。いやまさか本当にアレがあるとは

・・・この作品に出て来たよりも、今現在ならもっとすごい価値になってる訳で。

見つかって良かったのでしょうけど、更に問題が勃発しそうな気もするなぁ・・・。

前作ではあまり四兄弟と三姉妹が直接交わることはなかったように思うけど

(ニアミスばかりというか)、今回はばっちり双方が顔を合わせる展開になりまし

たね。四兄弟の長男元太と三兄弟長女の佐々美は、ひょっとすると今後は良い仲に

なりそうかも?モテモテ元太のお相手は大変だとは思うけど^^;佐々美姉ちゃん

はいい意味で恋愛にガツガツしてないから、そこが良いと思ってもらえそうな気

はするな。四兄弟の次男福太と三姉妹次女の都久音も良い感じですけどね。そっち

の方が早くカップルになりそうなのかな。そうなると、もともと付き合っている

三男学太と三女桃カップルも含めて、同じ家族間で三組のカップルが出来上がる

という、えらいことになっちゃいますけどもね。

同じ事件なのに、視点によって解決が違うというインパクト大だった前作に

比べると、普通の連作短編ミステリ形式になってしまった分、全体的に小粒に

なってしまった感は否めないですが、ゆるく気軽に読める一作でしたね。

 

 

七河迦南「わたしがいなくなった世界に」(東京創元社)

七海学園シリーズ最新作。四作目に当たるのかな。といっても、少し前に読んだ

『刹那の夏』も、かなりこの作品と緊密に関係があることがわかり、あちらも

シリーズの一部と云えなくもないのですが(あちらを読んでた時はノンシリーズの

短編集だと思っていたのですが・・・どちらから読んでも大丈夫だとは思いますが、

両方読むことを強くおすすめしておきます)。

しかしねぇ、前作から15年ぶりの新作になるそうで、基本の設定を全く忘れて

しまっていましてね。もちろん、主人公の春菜や友人の佳音のことくらいは覚えて

いたし、春菜があの衝撃作『アルバトロスは羽ばたかない』のラストで大変なこと

になり生死を彷徨ったことくらいは覚えていますけれども。春菜が勤める児童養護施設

の生徒たちのことなんかは全く記憶になく。少しおさらいしてから読んだ方が

良かったのかな~と思わなくもなかったです(まぁ、シリーズものを読む時は

いつもそう思いつつ、結局おさらい出来ずに読んじゃうんですけどね^^;)。

いやー、しかし時間かかりました。このシリーズって、こんなに読みにくかった

っけ?って思うくらい、なかなかページが進まなくって。この間読んだ短編集

はそんなことなかったんだけども。15年経って、私の頭が衰えたせいかしら・・・。

なんか、一週間以上はかかったんじゃないかなぁ。オリンピック始まって、

本そっちのけになったりしてるのも影響してるけど^^;それにしても、なかなか

集中できない上に登場人物にもなかなか感情移入できなくて、かなり苦戦しました。

児童福祉のこととか、ASDのこととか、説明も多かったせいもあると思うけどね。

かといって、面白くなかったというわけでは決してありません。ラストに向けての

伏線回収はやはり素晴らしいし、いろんな社会的なメッセージも多々含まれて

いて、とても読み応えがありました。冒頭の、ある対話の部分も、ラストまで読むと

ちゃんと意味が通って来るのがわかる。そうか、そういう意味だったのか、と

目からウロコの気持ちで読み直しましたね。

ただ、先に述べたように、『刹那の夏』に出て来た物語との関連とか、手元に

本がないから完全に把握できているとは言い難いし、とにかく登場人物もとても

多くて頭が混乱気味で読んでいたので、物語を完全に理解出来てはいない気がする

なぁ。もう一度じっくり読み込まないとダメかもしれない・・・(アホ過ぎる)。

一話ごとのミステリ部分は面白かったですけどね。一話目のバスで少女が消えた

理由とか、三話の演劇の舞台中に少女が姿を消した真相とか。四話目のマラソン

大会の間に先頭を走っていた少年が消えた理由はちょっと状況わかりづらかった

けど・・・特に人間関係がごっちゃになってて、何が何やらって感じだったな^^;

まぁ、やっぱり五話は、それまでの作品が伏線となって、ASDの文の謎も一気に

解けるので読み応えがありましたね。七河さんお得意の回文もばっちり出て来ます

しね。文が父親の事件の聞き取り調査で話した『鏡の国』の謎もよく出来ているな、

と思いましたね。いろんな伏線がきれいに回収されるところはお見事。ただ、

もう少し全体的に読みやすさが欲しかったなぁと思いました。とにかく、いろんな

事件がこの五話と最終話の伏線になっているので、うまく出来ているとは思うの

だけど、きちんと全貌を把握出来たかというと全く自信がない。人間関係も

めちゃくちゃ複雑だし。幕間に出て来た、夏祭りのオーディションで出会った少女

たちのお話も最後にあんな風に効いてくるとは思わなかったしね。全然想像も

出来ない関わり方だったなぁ。誰か人物相関図を書いてくれないだろうか・・・

(他力本願w)。そして、先に述べたように、意外なところで『刹那の夏』に

出て来た登場人物が出て来たりもするし。あの作品の中で、すごく印象に残った

名前の子だったから、出て来てすぐにあれ、この名前覚えあるぞ、と思い出せ

ましたね。

まぁ、とにかく、これから読まれる方は、一作ごとに気を抜かずに読まれることを

お勧め致します。どこに仕掛けが潜んでいるかわからないのでね。

前作から随分と時間が空いての新作でしたが、次回作はもう少しインターバルを

短くして欲しいものですね。

 

 

 

京極夏彦「猿」(角川書店)

京極さんの最新刊。久しぶりの現代もの。いやー、なんだろう、この作品。どう

読み解けばいいのか全然わからないまま読み進めて、最後まで捉えどころのない

ままだった。なんとなく不穏で、なんとなく怖い。京極さんにしては、コロナ禍

のことなんかも出て来るし、現代のお話ではあるんだけど、舞台が岡山県の

限界集落だから、閉鎖的で不穏な空気がずっと付き纏っていて、そこはかとなく

ずっと怖い。限界集落の説明とか、怖いことは何もないという説明をしているのに、

なぜかずっと怖い。なんなんだ、これ。なんとも不可思議な作品だったとしか

言いようがないなぁ。面白かったかと言われると微妙でもあるし・・・京極さんの

文章にしては、説明があんまり頭に入って来なくて、何度も読んでいて睡魔が

襲って来たしね^^;ちょいちょい間に出て来る猿の存在も怖かったな。実際

出て来る訳じゃないのに、なぜか猿の気配があるっていう・・・。

主人公の祐美は、コロナの後遺症で仕事が出来なくなり、家に閉じこもって祐美に

対して攻撃的な言動を繰り返す同居人の隆顕の扱いに困っていた。しかも、突然

隆顕は「猿がいる」などとわけのわからないことを言い出していた。そんな中、

祐美は岡山の限界集落のお屋敷に一人で住んでいた曾祖母が亡くなり、遺産相続の

説明の為、幼い頃に数度しか会ったことのない再従姉の棚橋芽衣と共に現地に来て

欲しいと弁護士から連絡を受けた。祐美は、隆顕を一人残して家を出ることに

戸惑いはあったものの、面倒な隆顕の世話を放り出したい気持ちもあり、現地に

向かうことに。祐美は現地で祖母の住んでいた祢山村の説明を受けるのだが、そこ

には不可解な曰くがあるようで――。

この、曾祖母が住む祢山家を中心とした村の習俗(?)もめちゃくちゃ特殊で、

何でこんな特殊な環境が何世代にも亘って繰り返されて来たのか、全くわけが

わからない。村に住む人々は何らかの後ろ暗い曰くを持っている人ばかりで、

どこにも行くあてがない人が住み着く訳なのだけど・・・。どこにも行けず、

死ぬ勇気もない人間が行き着く最果ての地って感じなんでしょうけどね。それに

しても、ネット上に出てる訳でもないのに、人づてに聞いただけでこれだけ

長い間住む人間が入れ替わりやって来るって言うのも不思議でしょうがなかった。

終盤まで何が起きる訳でもなく、淡々と説明が続いたりするので、ちょっと退屈

なところもありましたね。しかし、祐美や芽衣が村に着いてから事態が急変。

村人たちに異変が起きていることがわかります。そこから、また不可解な状況

の連続で。もうなんか、わけもわからず怖かったですね。芽衣にも異変が起きるし。

しかし、なぜか祐美だけが平然としていて。あの状況で恐怖を感じない祐美自体

がすごく異質な存在に感じました。怖さの正体がわからないのが一番怖かったな。

そして、その祐美が恐怖を感じるラストシーンは何より怖い。彼女が自宅に戻って

見たものとは一体何なのか。この余韻を作れるところが、京極さんの凄さだよな、

と思わされましたね。

一般的なホラー小説とは全く違う角度から描かれた、新感覚のホラー小説って

感じでしたね。これは、説明しても多分わかってもらえないだろうな。

京極さんのファンの中でも、評価が分かれる作品じゃないかな。

 

小西マサテル「名探偵にさよならを」(宝島社)

シリーズ第三弾にして、完結編となるようです。このタイトルと表紙で、読者なら

嫌でもラストを想像して暗澹たる気持ちになると思うのですが・・・。名探偵

である楓の祖父の認知症は、巻が進むごとにどんどん悪化していることも伺えるし、

最期が近いことはわかりきっていたことなのですけどね・・・。四章でそれが

更に決定的になる場面が描かれて行くので、私も覚悟を決めて最終五話に臨みました。

 

 

以下、物語のラストに言及しております。

未読の方はご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやー、まじで四話のあの瀕死の状態まで行ったら、さすがにもうダメだろう

と思いましたよ。

四話のラストでまさかの奇跡が起きるとは。もちろん、小説だからこその展開

なんだろうし、ここで奇跡が起きたとて、おじいちゃんの最期が近いことに

変わりはない。でも、あんな身勝手な犯人のせいで命が尽きるのと、本人の

寿命のせいで命が尽きるのとでは、雲泥の差がある。この奇跡に、楓同様、

救われる気持ちになりました。本当に良かった・・・!碑文谷おじいちゃんの、

楓に、ことの真相を明かしてあげたいという執念が起こした奇跡なのでしょうね。

二話目の古アパートの事件も、三話目の豪華客船の事件も、すべてが一話目の

小林少年の祖父母の事件から繋がっていたとは驚かされましたね。二話目も

三話目も裏で糸を引いていた人物がいたとは。なんか、展開が金田一少年みたい

だなぁと思いましたね。犯人の正体も意外ではありましたけど・・・いろいろ

ツッコミたくはなるけど、それぞれに一応根拠が描かれているので、納得する

しかないって感じかな。ミステリとしてはわりとオーソドックスな騙しの手法

ではあるけれども、細かく伏線が張られているのでよく出来ていると思いました。

ただ、私が一番意外に思ったところは、ミステリ部分ではありません。楓さんの

恋愛の行方の部分です。前の巻から、想いを寄せられている男性のどちらに

楓が惹かれているのか、という部分は、少しづつ匂わされて来ていたのですが・・・

そっちーーーー!!!ってビックリ。いや、あの匂わせ何だったのよ、とガックリ。

なぜ、そちらに惹かれることになったのか、楓の心の機微の部分はもうちょっと

細やかに描いて欲しかったです。全然説得力ないですけど。ってか、何でそっち?

何が魅力だったの!?とハテナがいっぱいでした。ま、人の好みは他人がとやかく

言うものじゃないですけどね。

個人的には、楓の気持ちの変化がこの作品最大のミステリーでしたね。

おじいちゃんの名セリフ『楓。煙草を一本くれないか』の言葉にも、悲しい

事実が隠されていました。

多分、近い将来、本当に楓はおじいちゃんとお別れする日が来るのでしょう。

その日が少しでも長引けばいいな、と願わずにいられません。

まだまだ、碑文谷おじいちゃんには名探偵のままでいて欲しいです。

一作目のタイトルが、伏線として回収されるラストシーンも素敵でした。

 

水生欅「僕の青春をクイズに捧ぐ」(新潮文庫nex)

初めましての作家さん。図書館の新着図書案内で書名を見かけて、面白そうだなー

と思って予約してみました。クイズ好きだし。あらすじ読んだら、青春ミステリ

っぽかったしね(大好きジャンル)。

主人公は高校生の鷲戸創。創の夢は、天才クイズ集団<Qwith>に入って、クイズ

作家になること。その夢を叶える為、創は10日間をかけて廃校で開催される

<Qwith>主催の選抜試験に挑戦することに。創はそこで、クイズの天才高校生・

家永駿介と同部屋になった。偏屈でとっつきにくい性格の家永に始めは反発心を

覚えたものの、クイズの腕前は評判通り天才的で、創は家永とタッグを組んで、

選抜試験に勝ち進んで行く。そんな中、殺人事件が起きて――。

東大出身の天才クイズ集団<Qwith>のモデルはもちろん、伊沢拓司さん率いる

<QuizKnock>でしょうね。でも、出て来るメンバーたちは全くQuizKnockのメンバー

とは被ってなかったですけど^^;雰囲気違い過ぎて、QuizKnockファンから

クレーム来るレベルじゃないかな、これ・・・^^;;発起人の皇は死んじゃって

るし。しかも、キャラも伊沢君とは全く正反対のタイプだし。

ストーリーがまた、いろんな面でツッコミ所満載。クイズにしてもミステリに

しても青春小説にしても、どれも中途半端な印象しかなかったなー・・・。

殺人事件の犯人も意外性ゼロだし。一体どこを読みどころにしたらいいのやらって

感じだった。<Qwith>のマドンナ、佐藤麗のキャラも、同じ仲間から『麗様』とか

女王様扱いされてて、そういうキャラ設定なんだろうけど、あまり好きになれな

かったな。口調も仰々しい感じで違和感あったし。その麗をテレビやメディアで

観てるだけで好きになっちゃう家永も変だし。ほとんど会ったこともなかった

相手に告白するのに、『愛してます』って・・・おい!ってツッコミ入れたわ。

QuizKnock好きだから期待してたのに、思ってたのと大分違った内容で、

ちょっとがっかりだった。文章も荒いし、舞台設定やキャラ設定ももう少し

練り込みが必要って感じでしょうかね。ちと辛口過ぎたかな^^;すみません。

 

 

 

秋川滝美「ひとり旅日和 花開く!」(角川書店)

シリーズ新作。関連シリーズとしては7作目になるようです。早い~。小宮山商店

株式会社に勤めて早8年。社員として中堅所になった日和に、思わぬ異動の話が

舞い込んで来ます。突然の話に悩む日和が出した答えとは。

今回は本来の形式に戻って、日和が、岩手、三重、徳島・香川をひとり旅する

様子が描かれます。今回は、行ったことがある場所が結構多かったので、自分が

行った時のことを思い出しながら読めましたね。三重は行ってないですけど。

岩手は中学の修学旅行で行った中尊寺が出て来て、そうそう、こんな感じだった

なーと思い出しました。でも、岩手で一番印象に残ってる龍泉洞が出て来なくて

残念だった。日和は洞窟とか興味ないんだろうな^^;

三重の伊勢神宮は、やはり人生で一度は行ってみたいパワースポット。いつか

絶対訪れたいです。伊勢神宮にも正式な周り方があると知り、勉強になりました。

いつか行く時は、二見玉置神社に参拝してから伊勢神宮に向かいたいと思います

・・・って、多分行く時もう忘れてそうだけど^^;;

徳島香川編はやっぱり、うどんと渦潮ですね。っていっても、うどんは私、香川で

結局ちゃんとしたお店では食べられなかったんだよなー。泊まった旅館の食事の中に

入ってたから良かったけど。旅館で出された朝食でお腹いっぱいになっちゃって、

お昼にお店入って食べられなかったんだよね^^;ほんとは、安く食べられる

讃岐うどんのお店とかめっちゃ調べてたんだけどね。

渦潮は、私が行った時と同じで、日和も天候の関係で小さいものしか見られなくて

気の毒でしたね。渦潮目当てで行って、あれは結構凹みますよね・・・。

蓮斗とは相変わらず遠恋だけど、日和が旅行に行くとなったら必ずアドバイス

してあげてるし、夜はちょいちょい電話でやり取りしてるし、順調みたいで

良かったです。途中に出て来た束縛・ストーカー発言にはちょっと引きましたけ

ど・・・。前回もちょっと思ったけど、蓮斗って、意外と実はヤバい奴なのでは

・・・^^;;

しかし、日和の方も相変わらずで、読んでるとちょいちょい彼女の言動には

引っかかるところが出て来る。うーむ。いい子なんだけど、なんかちょっと

イラッとさせられるんだよなぁ・・・。あと、ちょくちょく出て来る日和の

『~過ぎる!』って表現がどうしても好きになれないんだよね。いや、私も

たまに使うけどさぁ・・・。なんで日和が使うとイラッとするんだろ。

とはいえ、人見知りで自分に自信のなかった日和が、作品の最後では◯◯する

までに至ったとは感慨深いものがありますね。まさしく副題の花開く!って

感じのラストでした。旅は人を成長させるんだな~。

私も早く旅に出たいよ~・・・。

 

 

杉井光「羊殺しの巫女たち」(角川書店)

初めましての作家さん。なんでこれを読もうと思ったのかというと、登録している

読書系YouTubeチャンネルの方がお薦めしていたから。ちょっとおどろおどろしい

雰囲気とか、三津田信三さんっぽい横溝系なのかな、と思って予約してみました。

で、読み終えて最終ページの作者経歴見て初めて、話題になった『世界で一番

透きとおった物語』の作者さんだったと知りました。『世界で~』はいろいろな

ところで紹介されていて、信頼しているブロ友さんも絶賛されていたので、

読みたいと思いつつ、予約がすごくて手が出せていなかった作品。そのうち

予約者が落ち着いたら予約したいと思って待ってるところです。でも、作風

は全然違いそうですけど。いろんなタイプの作品が書ける方なのかな。

本書は、想像通り、こってこての横溝風ホラーミステリーでしたね。閉鎖的な

地方の村で、未の年だけに行われる祭りの恐るべき内容が描かれます。未年に

12歳になる少女のみが巫女として駆り出され、「おひつじ様」を迎える為に様々な

試練を与えられる。そして、なぜかその村では、未年に男子は生まれない・・・

とにかく、祭りの中身を知れば知るほど、長らく村で行われて来た恐ろしい

事実が明るみになって行きます。主人公は、12年前に巫女として祭りに参加

し、直後に村を出ていた祥子という女性。祥子は、ある目的を持って未年の

お祭りが行われるこの時期に村に帰って来た。12年前に巫女として祭りに参加

した他の仲間との約束を果たす為に――。

物語は、現在と12年前が交互に描かれて行きます。12年前、巫女として

祭りに参加した6人の少女たちが何を見て、何をしたのか。そして、12年後

の再会を約束した6人が、12年後の今村に集結して、一体何をしようとして

いるのか。その辺りが物語のキモとなります。得体の知れないおひつじ様とは

一体何なのか。あり得ない姿で人々が殺されて行くのはなぜなのか。結構エグい

表現も出て来るので、グロ系が苦手な人は少し注意が必要かも。ぐいぐい引き

込まれて読み進めて行けたのだけど・・・ううむ。ラストはちょっと尻すぼみ

的な印象だったなぁ。ミステリ的な仕掛けも出てくるので、そこは良かったと

思うけども、肝心のおひつじ様の真相がねー・・・一応、正体はわかるのだけども。

え、ソレが正体?ってかなり拍子抜けだったし、ソレが正体だとしたら、なぜ

人を殺すのかも理解できないし。

 

以下、ネタバレ気味感想です。

未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

あり得ない方法で人が殺される理由も、三津田さんみたいに論理的に解き明か

されるのかとちょっと期待していたのだけど、そこはホラー採用なのね・・・と。

まぁ、ホラーミステリを謳っているのだから、それはそれで納得するしかない

のでしょうけどね。

祥子の生家での扱いが酷すぎて、腹が立って仕方なかったです。彼女がことある

ごとに、自分を「空気みたいな存在」「誰の目にも止まらない」みたいに表現するのも

悲しかったのだけど・・・これも伏線の一つだったとは。何かありそうだな、

とはちょっと思っていたのだけどね。祥子を生まれてすぐに鶲沼家に預けた実の

両親も酷い人たちでしたけどね。結局、金に目が眩んだってことでしょうからね。

でも、もっと酷いのは、やっぱり12歳の未年の祭りが終わってすぐに用無し

とばかりに彼女を実の親に引き取らせた鶲沼家でしたけどね。特に伊知華の母親

の言動にはドン引きでしたね。ま、父親もヤバい奴でしたけども。いや、祖父は

もっとヤバい・・・って、伊知華以外全部クズの集まりなんですけどね^^;;

伊知華の母親の最後の行動にはただただ呆れ果てた。何ソレ。逃げるのかよ!とね。

最後まで、自分のことしか考えない人だったんだなぁと思いました。娘のことも

道具にしか思ってなかったんでしょうね。

あの中において、よく伊知華はあんなにまともに育ったよなぁ。完全に、反面教師

ってやつだったんだろうな。12年前の祭りで、伊知華がやったことは、12歳

の少女がするにはあまりにも辛いことだったと思う。鶲沼なんかに生まれなければ

・・・。でも、その宿命を受け入れながらも、次世代の為に自分を犠牲にしてまで

祭りを壊そうと動く姿は、凛としていてかっこ良かったです。12歳が背負うこと

じゃないと思うけどね・・・。

そりゃ、祥子も憧れるよね。ま、結局祥子であり、祥子でもない訳だけれどね。

概ね面白く読んだのだけど、やっぱりおひつじ様の正体がなー・・・あれなら、

何かわからないモノ、みたいなままの方がまだ良かったような。もやもやが

残るのは同じだろうけどさ。

おひつじ様を迎える為の村の因習があまりにも酷過ぎてドン引きでしたね。

未年に男の子が生まれない理由も含めて、あり得ない世界だなと暗澹たる気持ちに

なりました。