ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

乙一「さよならに反する現象」(角川書店)

作家生活25周年を記念して刊行された作品集。5作の短編が収録されています。

ホラーよりの作品が多かったかな?とはいえ、あまり怖くはなかったですが。

全体的にちょっと物足りなさを感じる作品が多かったなぁ。天才乙一の片鱗は

あるものの、どうも食い足りなさを感じるというか。短編だからなのかな。最近、

乙一名義の作品をちらほらと出してくれて嬉しい限りだけれど、どれもあと一歩

踏み込みが足りないような感じがしてしまう。期待が大きいせいかもしれないなぁ。

短編だったら、中田永一作品の方が面白く感じるし、世界観だったら山白朝子名義

の方が好みだし。初期の頃のダークさと切なさが両立している乙一作品がまた読み

たいなぁ。

 

では、各作品の感想を。

『そしてクマになる』

リストラされ、クマの着ぐるみに入ることになった男の話。途中、完全にホラー的

展開になって慄然とさせられたけど、ラストは意外とほっこりした着地点だった。

 

『なごみ探偵おそ松さん・リターンズ』

これは多分、アニメの『おそ松さん』の世界観をそのままミステリに落とし込んだ

作品だと思うのですが、いかんせん、当の『おそ松さん』を観たことがないので、

いまいちピンと来なかった。タイトルから、パート1もどっかで書かれているのかな?

とは思いましたが。しかし、ラストのオチには愕然。完全に冤罪じゃないか。もう、

めちゃくちゃ。いいのかこれで、と愕然としました・・・。

 

『家政婦』

幽霊が出るという作家の家で家政婦をすることになった女性の話。その家の周囲で

人が亡くなると、直後に、その家に幽霊になって現れるという。しかし、作家

からは、家の中で幽霊を見ても無視するようにと言われていた。相手をすると、

幽霊に引かれてしまうから・・・。

主人公が、好みの男性に会う度に恋愛相手として見てしまうところには呆れました。

まぁ、面白味はあったけど。そういうあっけらかんとした性格だから仕事を続ける

ことが出来た訳でもありますしね。これは一番オチがぞっとしたかも。落とした鍵

がここで効いてくるとは思わなかったです。

 

『フィルム』

星野源の同名曲からインスパイアされた作品だそうな。原曲を聴いて読んだら

また感想が違うかもしれないな。

 

『悠川さんは写りたい』

写真を合成して幽霊写真を作り、投稿するのが趣味な男が、この世に未練を残して

亡くなった女性の幽霊と出会う話。

浮気した彼氏に未練を残して亡くなった悠川さんは、彼氏に一矢報いる為、

彼氏と浮気相手が写っている写真に幽霊として写りたいという。合成写真で

幽霊写真を作るのが趣味な僕は彼女に協力することにしたのだが――。

切ない乙一系作品かな。ラストはちょっぴりホラー。悠川さんと僕の関係が

良かったです。悠川さんは明るい幽霊だったけど、ラスト読んで、本当に彼氏に

対して怨念があったんだな、と背筋が寒くなりました。

友井羊「放課後レシピで謎解きを うつむきがちな探偵と駆け抜ける少女の秘密」(集英社文庫)

お料理にまつわる青春ミステリー第二弾。前作から結構時間が経っているので、

内容はあまり覚えていなかったのだけれど、主要な登場人物もほとんど変わって

いるので、単独でも十分楽しめました(二人いる主人公のうち一人は前作に出て

来た人物ですが)。

勝気で直情型の夏希は、理由あって陸上部を辞めて、調理部に転部することに

した。同じ時期に入部してきた結とはほとんど話したことがなかったが、ある日、

部活でパンを焼くことになり、同じ班になった。しかし、夏希と結たちの班が作った

パンだけ、なぜか発酵せず膨らまなかった。夏希は、結と共に原因を究明しようと

調査を開始するのだが――。

始めはトラブルメーカーで勝気な夏希の性格に馴染めず、内気な結への態度にも

イラッとさせられたりして、いまひとつ物語に入っていけないところがあったの

ですが、一話進むごとに二人の仲が深まって行き、かつ夏希の抱えるある事情を

知ってから、加速度的に作品にのめり込んで行きました。単純に爽やかでほろ苦い

青春ミステリというだけでなく、社会的な問題も背景に盛り込まれていて、深みの

ある作品に仕上がっていると思います。何より、正反対の性格の夏希と結が、

お料理にまつわる謎を通して、少しづつ友情を育んで行く過程が非常に細やかな

心情を混じえて描かれていて、ラスト一篇では予想以上に二人の友情に感動して

しまった。内向的で他人と付き合うことに恐怖を覚える結が、夏希の為に起こした

行動に拍手を送りたくなりました。しかも、二人に関わった多くの人をも巻き込んで。

でも、その人たちもみんな、嫌々ではなく、純粋に夏希と結の為に力になりたいと

思って協力してくれている。ああ、青春って、友情っていいなぁって、本当に

心から思える作品でした。それぞれの事情があって友達がいなかった夏希と結

だったけど、お料理をきっかけにかけがえのない、一生の友達が出来たと思う。

同じ調理部の後輩・杉野くんや、夏希と陸上部時代に親しかった玉置くん、

写真部の草村さんに調理部顧問の横田先生などなど、脇役キャラも良かったですね。

特に杉野くんは、ある障害を抱えていることで深刻な悩みを抱えながらも、

夏希と結のことを慕って、明るく接してくれるところが好感度高かったです。

肝心のお料理に関する謎解き部分も、知らない知識がたくさん出て来て、

目からウロコな真相が多かったです。お料理って、本当に化学なんですねぇ。

いろんな食材の知識を持っている結はすごいと思いました。謎を解く為に独自で

調べ上げる調査能力も大したものです。内気で消極的な性格だけど、謎解き

に関しては立派な名探偵であり、頼もしかったです。

二人の凸凹コンビの関係がとても良かったですね。青春ミステリーがお好きな方

にはぜひオススメしたい一作です。

 

 

一穂ミチ「砂嵐に星屑」(幻冬舎)

テレビ局を舞台に繰り広げられる春夏秋冬、4つの物語集。

一作目の『<春>資料室の幽霊』は、社内不倫の末、東京から大阪に異動になった

四十代の女子アナウンサー邑子の物語。異動で古巣の大阪に戻って来たが、社内

では腫れ物扱いで居心地が悪い。すると、社内の資料室で亡くなった元彼の幽霊が

出るという噂を聞いて――。

幽霊の噂っていっても、大抵何かの見間違いとか誤解だったりするんだろうな、と

思っていたら、本当に幽霊が出て来たから面食らわされました。邑子のキャラは

嫌いじゃないけど、不倫をした時点で周りから何を言われても仕方がないな、と

思いました。新人の後輩・雪乃のキャラは好きだったな。邑子と雪乃の関係も。

二話目の『<夏>泥船のモラトリアム』は、二年前から娘との関係がこじれ、同期が

次々と早期退職して行くことに焦り、悩む五十代の報道デスク、中島の物語。

地震で鉄道がストップしたことで通勤手段がなくなり、職場まで三時間かけて

歩くシーンは、東日本大震災の時を思い出しました。まぁ、私自身は電車通勤

ではないのでそういう経験はしていないのですが、都心に通勤する人が同じように

歩いて帰ったとか出勤したという体験談をたくさん耳にしたので。周りがどんどん

辞めて行って、ひとり取り残されて行くように感じて、焦る気持ちは理解

できました。こういう華やかな世界の裏側はハードだろうから、離職率も高い

ものなのかな。ラスト、こじれていた娘との関係が修復出来てほっとしました。

三話目の『<秋>嵐のランデブー』は、片想いの相手と同居しているが、相手が

ゲイで自分のことを恋愛対象として見てもらえない20代のTK(タイムキーパー)、

結花の物語。こんな不毛な同居をよくする気になったなぁ。似たようなドラマが

最近あったような(片想いの相手の想い人は同性じゃなかったけど^^;)。

しかし、結花の片想い相手の想い人は最低のヤツでしたねぇ。いきなり結花のことを

『くるみちゃん』と読んだ時は意味がわからなかったのだけど、理由を知って納得。

そして、気持ち悪いとしか思えなかった。でも、そんな相手と寝てしまう結花の

行動にもげんなり。自暴自棄になってあてつけたのはわかるけど、私だったら

生理的に無理だなぁと思いました。

四話目の『<冬>眠れぬ夜のあなた』は、やる気も向上心もない三十代の非正規AD、

晴一の物語。密着取材相手の芸人・並木の壮絶な過去には驚きました。小道具の人形

を『相棒』といって、人間のように接する理由を知って、そういうことだったのか、

と胸がつまりました。なんとなく今の仕事を続けているだけの晴一が、並木との

交流を通じて、向上心が少し芽生えたように思えたところが良かったです。

 

華やかなテレビ業界ですが、裏ではそれぞれに悩みも鬱屈も抱えているんですね。

どの世代の人間にも、その世代なりの悩みがあるものなんだな、と思わされました。

できれば、二十代の話は、結花じゃなくて雪乃の話が良かったなぁ。雪乃の内面を

もっと知りたいなと思っていたので。そこがちょっと残念だったかな。

 

薬丸岳「刑事弁護人」(新潮社)

薬丸さんの最新長編。刑事事件の弁護を引き受けた女性弁護士・持月凛子と、元刑事で

先輩弁護士である西、二人の弁護士コンビの奔走を描くリーガルミステリー。

凛子が今回担当するのは、女性警察官・垂水涼香が起こした、ホスト殺害事件。

相手から襲われ、抵抗しようとして近くにあった酒瓶で殴りつけたら殺してしまった、

殺意はなかったと話す涼香。凛子と西は涼香の言い分を信じようとするが、調べを

進めて行くうちに、彼女の言葉には虚偽の事実が混じっていることに気づく。

凛子は接見の際に涼香に真実を語って欲しいと告げるが、そうした凛子と西の態度

を不審に思った涼香から、弁護士解任を言い渡されてしまう。凛子はなんとか解任を

思いとどまって欲しいと説得し了承してもらえたが、元刑事の西の解任は覆らな

かった。一人でこの難事件に挑むことになってしまった凛子に勝機はあるのか――。

いやー、長かったです。薬丸さんの作品にしては、なかなかページが進まず、苦戦

しました。面白くなかった訳ではないんですが、途中凛子と被疑者の接見の

やり取りや、事件を多方面から追う展開がかなりスローペースで進む為、なかなか

物語が進まなくて。いつもの薬丸作品に感じられるリーダビリティが今回は

あまり感じられませんでした。

被疑者の涼香のキャラがまた、本心を隠しているせいか、言動に好感が持てなくて。

彼女が出て来るシーンはいつもイライラしながら読んでいたように思います。

もちろん、その裏には隠された真意があった訳で、そうした言動にも理由が

あったことが最後にわかるのですが・・・。

西が事件の真相に気づいた後の裁判のシーンも、もうちょっとコンパクトでも

良かったかな、と思いました。全体的に物語のテンポが遅く、スピーディさが

欠ける為、中だるみした印象が残念だった。事件の真相を辿って行く所も、裁判

のシーンも、細部に亘るまで詳細に記述しているところは丁寧でいいのかもしれない

けれど、読者としては何度も似たようなシーンを読まされる羽目になって、ちょっと

うんざりしました。薬丸さんの作品でこういう感想はあまり抱いたことがないの

ですが・・・。

涼香がなぜ被害者を殺してしまったのか、その真相の部分は様々な要因が積み重なっ

ており、読み応えはありましたが。涼香が基本的にはとても善人で、強い人だと

言うこともわかりましたし。途中凛子たちに向けていた敵意も、本心ではとても

心苦しく思っていたのでしょうね・・・。西に対しては、元警察官の本能で、彼が

優秀であることを悟り、遠ざけようとしたのでしょう。きっと刑事時代の西は

極めて優秀な刑事だったのでしょうね。その頃の西の活躍も読んでみたいと思い

ました。同僚だった日向との関係も良かったです。今は刑事と弁護士という対極

の関係になってしまったけれど、お互いに認め合っているのがよくわかりました。

被害者の加納に関しては、過去に起こした事件といい、その性癖といい、嫌悪と

軽蔑しか覚えなかったです。殺されていいとまでは思わないものの、因果応報

であるとしか思えなかった。彼の母親の言動にもムカついてばかりでした。

もちろん、子供を亡くした母親であることは変わらないので、同情すべき点も

あるのでしょうが・・・でも、加納の生前の言葉から、幼い頃から優秀な兄と比べ

ながら育てて来たのは明らかであり、毒親だったことは間違いない。自分が息子に

与えた影響のことも、少しは反省して欲しいなと思いました。

凛子や西が、信念を持って依頼人を弁護している姿には胸が熱くなりました。二人

とも大事な人を亡くしたことで、いろんな思いを抱えながら仕事に打ち込んでいる

のだろうなと思う。被疑者に対する弁護士の在り方もいろいろだと思わされる

作品でした。

里見蘭「古書カフェすみれ屋とランチ部事件」(だいわ文庫)

古書店とカフェが一緒になったお店、古書カフェすみれ屋シリーズ第三弾。大好きな

シリーズだったので、ようやく三作目が出てくれて嬉しい。元書店員のすみれが

開いたカフェ、すみれ屋には、古書店スペースが併設されている。ここは、好きな

本を読みながら食事や喫茶を楽しめるカフェなのだ。古書スペースを担当する

すみれの元同僚・紙野は、悩めるお客に一冊の本をオススメし、その本を読んで

もらうことで、問題を解決に導くという特殊能力がある。本のソムリエ紙野の元には、

悩めるお客が次々と現れて――。

一話目の『割り切れない紳士たち』は、マッチングアプリで婚活する男性のお悩み

相談。気に入った女性といい所まで行ってデートもうまく行ったと思ったにも

関わらず、その後来たメールでお断りされてしまう。デートの時とメールでは

別人のようになってしまったその女性の真意とは。

紙野君が件の紳士に渡した本は、『俳句いきなり入門』。婚活話になぜ俳句の本――?

スタンド句会というのは面白い試みだなぁと思いました。他人の作った俳句を選んで、

選評を行う句会だそうな(この本の著者が考えたものらしい)。

紙野君のおかげで紳士の婚活がうまく行ったのは良かったと思うけど、こんな母親が

ついていたら、今後苦労するんじゃないかなぁとちょっと心配になってしまった。

 

二話目の『一期一会のサプライズ』は、テレビのカメラマンが体験した不可解な

出来事のお話。担当している人気料理番組で、名店の寿司職人が出した寿司は、

司会のタレントが予想した寿司と全く違っていた。当初の予定ではタレントの

予想通りだった筈なのに、なぜ本番で違う寿司を出したのか。

紙野君が差し出した本は、古川緑波『ロッパの悲食記』

寿司屋の大将の気遣いには感心したけれど、こんな回りくどいやり方じゃなくても

いいような気はしました。そもそも、当のタレント自身が全くそれに気づいて

いなかったし。紙野君がいなかったら、そのまま嫌な思いだけして終わってた訳で。

まぁ、大将の杞憂だったから良かったですけどね。

 

三話目の『天狗と少女と玉子サンド』は、母娘でやってきたお客さんの不思議な

出来事を解決するお話。5歳の娘が母親に差し出したのは、天狗からの手紙――?

誘拐を示唆するような不可解な手紙の真相とは。

紙野君がオススメしたのは、筒井康隆『’71日本SFベスト集成』の中の、

藤子・F・不二雄『ヒョンヒョロ』という短編マンガ。

これは、天狗の手紙の真相の方にはだいたいの予想がついたのだけど(ほぼ当たり

ました)、当の『ヒョンヒョロ』の内容の方がいまいちピンと来なかった。いや、

物語のドンデン返しの部分の意味はもちろんわかったのだけど、ヒョンヒョロの

正体がよくわからなかった。読んだすみれさんとかほまりさんとか、みんな

わかってるみたいなので、私の勘が鈍いだけだとは思いますけど・・・^^;;

マーくんが手に入れたきらきらした星が地球ってこと・・・?マンガをちゃんと

読めばわかるかなぁ。

紙野君の叔父さんの家に紙野君とすみれさん二人で行くエピソードにはほっこり。

叔父さんから聞く紙野君の普段のすみれさんに対する評価を知って、ニヤリ。

やっぱり、紙野君とすみれさんはお似合いだと思うなー。

 

四話目の『シェアハウスのランチ部事件』は、カフェ開拓が趣味で、シェアハウスに

住む女性が経験した、シェアハウス内での不可解な出来事のお話。

シェアハウスの人々で結成されたランチ部でスパイスカレーを作っていた時、突然

鳴り響いた非常ベル。その音にびっくりした主催者の女性は、作っていたカレーの

中に調味料を落としてしまい、料理が台無しになってしまった。非常ベルは誰かの

いたずらだったようだが、鳴らしたのは誰なのか。疑わしい人物はいるようなの

だが・・・。

紙野君が今回オススメしたのは、トルーマン・カポーティカポーティ短編集』

の中の『銀の酒瓶』

この本読んだだけで、よく真相に気づいたなぁ。紙野君のメッセージ、回りくど

すぎないか?^^;

非常ベルを鳴らした犯人に関しては、多分この人なんだろうな、という予想は

つきました。その理由までは全然想像できなかったけど。でも、これって、ミステリ

では禁じ手の真相ですよねぇ。まぁ、本格ミステリじゃないからいいんだろうけどさ。

夢の為とはいえ、こういうモラルのないことをされると、オーナーはたまらない

ですよ。そのままおとがめなしの結末じゃなくて良かったです。

 

すみれさんと紙野君の距離は少しづつ縮まっていそうですね。今回、紙野君の

ファンになって、古本屋のアルバイトに収まった花音さんが、今後少し引っかき

回してくれそうな感じがしますね。どうなっていくのやら。

 

 

 

 

ブログ16周年ありがとうございます。

どうもみなさまこんにちは。GWも後半ですね。というか、今日で終わりという方も

多いのかな?

今年は二年ぶりに緊急事態宣言もまん防も出ていないGWということで、各地で

えらい賑わいだそうで。ニュースでやっている行楽地の人出の多さにビビって

おります。

かくいうワタクシはというと、どこにも出かけてません・・・。コロナがあろうと

なかろうと、行動が去年とほぼ変わらないという・・・。このGW、出かけたのは

職場とスーパーとジムくらい。辛うじて、歩いて隣町の百貨店にひやかしに行った

のが唯一の遠出かな(歩いて30分の距離を遠出とは言わないと思うがw)。

あとは、庭のバラたちのお世話と、植栽の剪定してました。よくいえば、ガーデニング

というやつ!(笑)我が家のお庭の薔薇さんたちも、5月に入ってちゃくちゃくと

蕾が花開いてまいりました。今年も性懲りもなく3鉢も新しい苗を買ってしまった

・・・^^;ただ、新顔ちゃんはまだまだ赤ちゃん苗なので、春は咲かせず養生中。

成長が早ければ秋に花を咲かせたいところですが、苗の状況から考えると、来年

まで持ち越しになりそうかなー。去年の新苗ちゃんたちは、今年ばっちり蕾を

つけてくれているので、写真をお見せできそうです。一通り咲き終わったら、また

記事をあげるつもりでいますので、しばしお待ちくださいね~。先日の雨続きで、

ちょっと花が痛んでいる子もいますが、概ねどの株も順調に蕾をつけておりますので。

 

と、前置きが長くなってしまいました(いつものことですがw)。

昨日の5月4日をもちまして、拙ブログは開設16周年を迎えることが出来ました。

ぱちぱちぱち。毎年この記事上げてますけど、ほんとに一年が早すぎてびっくり

します。そして16年・・・な、長っ。まさかこんなに続くとは思わなかったなぁ。

ヤフーブログから移って来てからも、もう3年くらい経つのかな?始めは試行錯誤

って感じでしたが、すっかりこちらのやり方にも慣れてしまいました。写真とか

貼り付けるのはこっちの方がはるかに楽だし。TB出来ないのと、ファン限定記事とか

内緒コメント機能とかがないのはちょっと不便だったりしますけれど。慣れれば

なんとかなるものですねぇ。今は、はてなブログにも愛着が湧くようになりました。

ヤフーブログからのお友達が多いので、お仲間さんは他ブログからの方が多いです

けれどね。他ブログに移られても、変わらず交流して下さっていることには感謝

しかないです。もちろん、はてな仲間のブロガーさんとも、もっと交流したいなぁ

と思っておりますが。基本人見知りなので、なかなか新しいお友達を見つけることが

出来ずにいますけどね^^;

こんな地味な辺境読書ブログに訪問して下さるすべての方に感謝しております。

最近あちこちでコメントしているのですが、本当にここ数年で読書ペースは落ちる

一方で、本を読む集中力も低下し続けている状況でして。楽に読める本ばかりを

選んで読んでいる傾向にあるような。もちろん、ミステリは変わらず大好きなの

ですが、ちょっと複雑な設定になると頭が考えることを拒否。推理どころか、読み

切ることさえできない本が増えて来てしまった。年取ると、ほんと頭の回路も

劣化するんですかね・・・(私だけか?)。本が好きな気持ちだけは変わりませんが、

今後も読書ペースはどんどん落ちていくかも・・・と恐怖にかられる日々です。

漫画は相変わらずすごいペースで読んでいるのですけどね^^;そして、最近は

空いてる時間があると、ついついスマホでYouTube動画を観るくせがついて

しまった。

その時間を読書に当てろよ!と言われそうです・・・。でも、テレビ観るより

面白いチャンネルがいっぱいあるんだもん^^;薔薇の育成法とかも学べる

チャンネルあったりして、すごく勉強になるしね。動物系動画も大好きだし(最近は

ヨウムと野鳥にハマっている)、サレ妻系は一度観だすと止まらなくなるし

(世の中、こんなにクズな旦那や義理家族がたくさんいるのか、とびっくりする。

創作も多いらしいけどw)。時間が有限で困る・・・。

読みたい本は山のようにあるので、なんとか少しでも読む時間を増やせればいいな、と

思っております。読書記事も細々と上げて行くつもりでいますので、どうか今後も

変わらぬお付き合いをお願い致します。

 

今年も相方がケーキを買ってお祝いしてくれました。

今年はイチゴいっぱいのケーキ。甘酸っぱくて美味でした(*^^*)。

いつもありがとう!

二人で買いに行ったのだけど、店員さんに『16周年』と告げた時、絶対相手は

結婚16周年だと思っただろうな~(苦笑)。ブログをお祝いするケーキって

知ったらどう思われるんだろうか・・・^^;;

冒頭の写真は今年もお花をもりもりと咲かせてくれている我が家の芍薬さん。

戦争やコロナで嫌なニュースばかりだけれど、こうして健気に咲いてくれるお花

さんたちを眺めていると、心が癒されます。

どんな状況になっても、花を愛でる心は失わずにいたいな。

 

彩瀬まる「新しい星」(文藝春秋)

彩瀬さんの最新作。ここ何作か遠ざかっていた彩瀬作品ですが、本書は巷の評判が

よろしいようなので予約してありました。確かテレビでも紹介されていたような。

大学の合気道部で仲間だった四人――青子、茅乃、玄也、卓馬を軸にした、

喪失と再生の物語。一話ごとに、四人の中で主役が入れ替わります。それぞれ

短編としても読めますが、一冊通した長編としても読める形になっています。

一話ごとに時代が進んで行き、それぞれのライフステージや意識も変わって行く。

失うものもあれば、得るものもあり。それでも、時代が変わって意識が変わっても、

四人の関係は変わらないのがいいなと思いながら読んでました。大学時代の友人

への仲間意識が、ずっと変わらないのは、やっぱり、合気道という共通のもので

繋がっているのが大きいのかもしれない。同じ苦楽を共にした仲間というのは、

きっと何年経っても特別なものなのでしょうね。

四人四様、重いものを抱えて生きています。青子は生後二ヶ月で亡くなった娘への

想い、茅野は乳がん、玄也は引きこもりの自分、卓馬はコロナで引き離された

家族との距離。それぞれが、重い枷に押しつぶされそうになりながら、それでも

それと向き合いながら、前に進んで行く。どの人物の悩みも、やりきれない気持ち

になりました。年齢が重なるにつれて、重くなって行く茅野の病のことが一番

心配だった。病が重くなるにつれて、茅野の娘との距離も空いてしまう。身体が

思うようにならない時って、周りに辛く当ってしまうものだと思う。私も、父が

病気になったとき、普段これ以上ないくらいに温厚な人なのに、すごく怒りっぽく

なったのを思い出します。娘とうまく向き合えないと悩む茅野の気持ちが痛いほど

伝わって来て、苦しかった。ラストで、娘は娘で、病の母と向き合うことが出来ず

ずっと苦しんで来たことがわかって、お互いにもう少しだけ思いを伝えあって、

歩み寄れていたら良かったのにな、と悲しい気持ちになったのですが。

今まで当たり前にそこにいた人がいなくなる絶望とか悲しみとか、寂しさが行間

から滲み出て来て、やっぱり、彩瀬さんは文章力のある作家さんだな、と再認識

させられました。どのお話も、視点の人物の心情が痛みを伴って伝わって来た。

その中で、個人的に好きだったのは弦也の話だった。勤めていた会社の上司からの

パワハラが原因で会社を辞め、引きこもりになったことで、人と向き合うことが

出来なくなってしまった弦也。それでも、大学時代の合気道部の仲間がいたから、

外に出ることが出来るようになったし、再び合気道道場に通うことになって、

道場にいたタコを引き取る羽目になったし、タコをきっかけに新たな友達と

知り合えたし。一作進むごとに弦也が、現実を向き合えるようになって行くのが

嬉しかった。ラストでは、あの人嫌いだった弦也が、茅野の娘に自分の連作先を

渡しているのですから。自分から誰かと繋がろうと思えるようになるまでに

なったんだなぁと感慨しきりでした。茅野の娘・菜緒への言葉も優しくて、

思いやりがあって、素敵だった。菜緒と茅野以外の三人が繋がることはきっと、

茅野も喜ぶに違いないから。茅野が何よりも菜緒のことを思って、愛していたこと

を伝えてあげて欲しいな、と思いました。

青子と茅野の関係もすごくいいな、と思いました。お互いの傷を労って、慰め

あって、常に相手を思い合える関係。よっぽど相性が合うんだろうな、と思い

ました。青子のように娘を失ったら、娘がいる茅野とは、普通は相容れなく

なるような気がする。だって、茅野が娘の話をする度に、自分の失った娘を

思い出して辛くなるだろうから。でも、二人はそうじゃない。それは、茅野が

病気を患ったせいもあるかもしれないけれど。お互いに、失ったものがあるから。

自分よりも、相手を労ってあげたい、という気持ちが先に立つからじゃないのかな。

自分が一番って人だったら、絶対二人の関係はとっくに破綻していると思うな。

この中では、卓馬の悩みが一番軽いのかな、と思っていたのだけれど、終盤で

卓馬の家庭も破綻したことがわかって、彼は彼でいろいろと大変なことがいっぱい

あったんだろうな、と思わされました。でも、彼はちゃんと前を向いている。

四人とも、脆いところもあるけど、強い人ばかりだな、と思いました。

ひとつ気になったのは、弦也のタコがどうなったのか。タコの寿命は二年くらい

らしいので、もちろん死んじゃったんだろうけど、その時の弦也の様子とか、

どうだったのかちょっと気になりました。その後の水槽がどうなっているのかも。

犬の世話しなくちゃならなくなったから、水槽どころじゃなくなっちゃったかな。

何か違う海の生物とか飼っていて欲しい気もするな(違うタコでもいいけどw)。

 

切ないしやりきれない部分もたくさんあるけれど、最後は心に光が灯るような、

温かい再生の物語でした。

四人の付かず離れずの友情関係が、とてもいいなと思いました。恋愛が絡まない

だけに、ライフステージがそれぞれに変わっても関係が変わらない。お互い、

変に踏み込むこともしない代わりに、大事な時にはそっとそばに寄り添ってくれる

存在。

大人になっても、こういう友人がいるのってすごく羨ましいなと思いました。