ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

か行の作家

加藤シゲアキ「1と0と加藤シゲアキ」(角川書店)

作家生活10周年を記念して、作家自らが編集に加わったスペシャルブック。 様々な作家との競作や、対談、過去の雑誌インタビューなど、多岐に亘る作品集。 加藤さんの作品は、エッセイ一作と小説一作しかまだ読めていないのですが、 その二作読んだだけでも…

京極夏彦「書楼弔堂 待宵」(集英社)

大好きな書楼弔堂シリーズ第三弾。前作からもう6年経っているそうな。今回の 舞台は昭和30年代後半。弔堂に続く坂道の途中で、鄙びた甘酒屋を営む弥蔵が すべてのお話の語り手を担います。老いさらばえた世捨て人のようなこの弥蔵の キャラクターがとにか…

貴志祐介「秋雨物語」(角川書店)

貴志さんの最新作。4つの作品からなるホラー短編(中編?)集。共通している のは、タイトルにもあるように印象的な場面で秋雨が出て来るところくらい。 それも、そこまで重要ってほどの要素でもなく。ネット検索していたら、どなた かの感想に上田秋成の『…

倉知淳「世界の望む静謐」(東京創元社)

死神のような風貌の乙姫警部が活躍する倒叙ミステリシリーズ第二弾。前作も傑作 でしたけれど、今回もそれに遜色ないくらい面白かったですね。昨年中に読んでたら、 間違いなくミステリランキングには入れたと思いますね。死神にしか見えない 乙姫警部と、恐…

今野敏「マル暴ディーヴァ」(実業之日本社)

マル暴甘糟シリーズ第三弾。相変わらずやる気のない甘糟刑事ですが、強面上司の 郡原が更に仕事をしない人なので、必然的に仕方がなく、いろんなことをやる羽目 になってしまいます。マル暴担当なのに、こんなに弱々で大丈夫!?といつも 思うのですが、なん…

劇団ひとり「浅草ルンタッタ」(幻冬舎)

久しぶりの劇団ひとりさんの新作。明治から大正期の浅草が舞台。当時流行した、 浅草オペラをテーマに、時代を必死で生きる人々の悲喜こもごもを描いた 意欲作です。 浅草で当時オペラが流行っていたとは。劇場で芝居を観るってイメージはすごく あるのだけ…

桂望実「残された人が編む物語」(祥伝社)

桂さん最新作(かな?まだ?)。桂さんは食指が動くものは読むのだけれど、ここ 最近は少しご無沙汰気味でした。本書は、ブロ友さんのところで高評価っぽかった ので予約してありました。予約本ラッシュ中に回って来てしまって、一度今回は スルーして返して…

神永学「心霊探偵八雲 青の呪い」(講談社文庫)

心霊探偵八雲シリーズ外伝。講談社文庫で出るって、かなり珍しいのでは?スピン オフ的な作品だからかな。一応文庫書き下ろし作品らしい。 八雲が高校生の時に出会った、共感覚を持つ同級生の琢海が語り手となっています。 サウンドカラー共感覚という特殊な…

窪美澄「夜に星を放つ」(文藝春秋)

第167回直木賞受賞作。実は、読んだ後で直木賞獲ってたことを知りました。 多分受賞された報道は目にしていたけれど、これがその作品だとは思ってなかった んですよね。図書館の新着図書ページで、なんとなく見かけて、久しぶりに食指が 動いたので予約し…

近藤史恵「筆のみが知る 幽霊絵師火狂」(角川書店)

新町の大きな料理屋「しの田」のひとり娘・真阿は、胸の病のせいで一日の大半を 自室で寝て過ごす毎日だ。父も母も「養生していれば治る」と言うが、十二の年 に病を言い渡されて二年、全くよくなる気配もない。真阿自身は、そう長く生きられ ないのではない…

今野敏「任侠楽団」(中央公論新社)

任侠シリーズ最新作。今回のテーマはオーケストラ楽団。ただ、今回阿岐本組が 任されたのは、楽団の立て直しではなく、楽団員同士の内紛の仲裁。音楽に 造形が深い訳でもない代貸の日村は、不安で仕方がない。しかし、オヤジの言う ことには従わなければなら…

神永学「心霊探偵八雲 Short Stories」(角川文庫)

心霊探偵八雲シリーズ短編集。ショートストーリーばかりを集めているので、 一編が短く、さくっと読めちゃいます。読みやすいし、本編のように八雲父とか 美雪とか一切出て来ないから、重すぎなくて良かった。 晴香がやたらと八雲に心霊関係の悩み事を持ち込…

加納朋子「空をこえて七星のかなた」(集英社)

あああ、めっちゃすっきりしたーーーー!!っていうのが、読み終えた直後の感想。 あ、失礼しました。大・大・大好きな加納さんの最新作です。今回も、期待に 違わぬ良作でしたねぇ。あの大病後は、作品が出るだけで感動してしまえる ところもあるのですが。…

神永学「心霊探偵八雲 INITIAL FILE 魂の素数」(講談社)

春香に出会う前の八雲が、心霊事件を解決した三つの事件を描いた中編集。しかも、 確率捜査官・御子柴岳人シリーズの御子柴とガッチリタッグを組んだ、両シリーズ のファンにはたまらない作品集となっております。ただ、私個人としては、確率 捜査官シリーズ…

近藤史恵「シャルロットのアルバイト」(光文社)

元警察犬で、雌のジャーマンシェパードのシャルロットが活躍する『シャルロットの 憂鬱』の続編。大好きな作品だったので、続編が出てとても嬉しかったです。今回も、 なんといっても、シャルロットがお利口さんで、愛くるしかった。 犬にまつわる物語ばかり…

柿谷美雨「もう別れてもいいですか」(中央公論新社)

身近な社会問題をリアルに描く柿谷さんの最新作。今回は、定年間近の夫と離婚 したいアラ還女性、澄子の物語。 58歳のパート主婦・澄子は、モラハラ言動を繰り返す夫にうんざりしていた。 しかし、田舎の狭いコミュニティの中で暮らす女性が離婚すれば、た…

近藤史恵「おはようおかえり」(PHP研究所)

近藤さん最新作。老舗の和菓子屋『凍滝』に生まれた対照的な姉妹、小梅とつぐみ。 店を継ぐ為進学せず、真面目に家業に勤しむ小梅と、大学生で趣味の演劇にのめり 込み、エジプトに留学したいと言い出して親を困らせる自由奔放なつぐみ。ある日、 大阪で大規…

北村薫「中野のお父さんの快刀乱麻」(文藝春秋)

シリーズ第三弾。前作で心配されたお父さんの体調ですが、本書ではその片鱗も なく、元気そうでほっとしました。けれども、コロナ禍の波がこのシリーズにも やって来て、主人公の美希もなかなか実家に帰れなくなってしまいます。娘に会え なくなり、お父さん…

京極夏彦「「おばけ」と「ことば」のあやしいはなし 京極夏彦講演集」(文藝春秋)

作家だけではなく、妖怪研究家として活躍する京極さんが、全国各地で開催した 妖怪や幽霊やことばについて語った講演会の様子を一冊にまとめたもの。 東京で行われたものもありましたので、知っていれば参加したかった・・・!!! コロナで最近は行われてい…

近藤史恵「たまごの旅人」(実業之日本社)

近藤さん最新作。念願だった海外旅行の添乗員になれた遥が、様々な国に添乗し、 悩み迷いながら成長して行く物語。アイスランド、スロベニア、パリ、西安と 添乗し、最後は、当然ながら現代のコロナ禍へと繋がり、遥の仕事は急転直下を 遂げる。このコロナに…

京極夏彦「遠巷説百物語」(角川書店)

久しぶりの巷説シリーズ!!相変わらずのお弁当箱本で嬉しいです←え?w でも、今回は600ページも超えてないくらいだから、まだ少ない方ですかね←えw 舞台は江戸から遠く離れた遠野に移り、主人公も遠野南部家当主の密使として 暗躍する宇夫方祥五郎。遠…

加藤実秋「メゾン・ド・ポリス6 退職刑事と引退大泥棒」(角川文庫)

シリーズ第6弾。終盤読んでいて、あれ、もしかしてこれで最終巻?と思ったの ですが、ネットの紹介ページでも完結編と書いてあったので、正しい認識だった ようです。ちょっとさみしいなぁ。完結編ということで、いろんなことに決着が ついたし、人間関係に…

北山猛邦「天の川の舟乗り 名探偵音野順の事件簿」(東京創元社)

世界一気弱でやる気のない探偵・音野順シリーズ第三弾。本当に久しぶりに続編が 出て嬉しいです。でも、後ろの掲載月日を見ると、四作のうち書き下ろしの四話目 を抜かして、2008年と2009年に書かれたものなんですね。なぜこんなに 単行本が出るまで…

加藤シゲアキ「オルタネート」(新潮社)

直木賞候補になり、本屋大賞候補になり、吉川英治文学新人賞を受賞したという、 華々しい経歴を更新し続けている話題の作品。 加藤さんの作品はエッセイ一冊しか読んだことがないので、ちゃんとした小説は 初めて読みました。 高校生だけが参加できるマッチ…

窪美澄「ははのれんあい」(角川書店)

窪さん最新作。窪さんは読んだり読まなかったりの作家さんですが、久しぶりに なんとなく食指が動いて借りてみました。 うーむ。面白くなかった訳では決してないけれども、思っていた作品とはちょっと 違っていたかなぁ。タイトルから想像する内容とはだいぶ…

倉知淳「月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言」(東京創元社)

久しぶりの猫丸先輩シリーズ!読むのを楽しみにしてました。相変わらず人を食った 面倒くさい性格してますねぇ(笑)。でも、そこが猫丸先輩の良い所でもあり。 基本的には誰に対しても傍若無人な態度なんですけど、後輩の八木沢に対する 言動だけは、さすが…

加藤シゲアキ「できることならスティードで」(朝日新聞出版)

最近いろんな賞にノミネートされている加藤シゲアキ氏のエッセイ集。できれば 先に話題の『オルタネート』を読みたかったところですが、予約中で全然回って 来そうになく、相方が予約して回って来たこちらを先に読むことになりました。 本書をなぜ相方がいき…

貴志祐介「我々は、みな孤独である」(角川春樹事務所)

貴志さん最新長編。ううむ。貴志さんどうしちゃいました?って感じの作品だった。 何かいろいろと中途半端感が・・・。ミステリーとしても、SFとしても。どっちにも 振り切れてない。話があっちこっちに飛んで、一体何が主体で書きたかったのか、 最後まで読…

神永学「心霊探偵八雲 COMPLETE FILE」(角川書店)

先日めでたく完結した心霊探偵八雲シリーズ。完結を記念して刊行された、八雲 シリーズの魅力が凝縮されたファンブック。 先に言っておきますが、シリーズ全巻読破してから読んだ方が絶対いいです。 一部完全にネタバレしてますから。最終巻の後日談となる書…

加納朋子「二百十番館にようこそ」(文藝春秋)

大好きな加納さんの最新作。ニートでネットゲームおたくの俺は、ある日突然 離島にある、亡き伯父から相続した館に住む羽目に。要するに、両親は体よく ニートの息子を厄介払いしたかったらしい。父親からもらったなけなしの軍資金 50万を手に、ひとり広い…