ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

ほしおさなえ「まぼろしを織る」(ポプラ社)

ほしおさん最新長編。最近は文庫の作品ばかりでしたが、これは珍しく単行本。 母親が亡くなり、生きる意味を見い出せなくなった無気力な女性が主人公。この 説明だけで、内容暗めなのがわかりますよね^^;シングルマザーの母親に女手 ひとつで育てられた槐…

坂木司「うまいダッツ」(文藝春秋)

坂木さん最新作。今回は、高校の喫茶部に入部している高校生たちの物語。ゆるい 部活を目当てに喫茶部に入部したアラタ。喫茶部の中でも、好みのおかしを持ち 寄って食べるだけで最も益のない「おかし部」のメンバーたちと、ゆるゆると 放課後を過ごしていた…

今野敏「隠蔽捜査10 一夜」(新潮社)

シリーズ第10弾。神奈川県警刑事部長になった竜崎の元に、有名な純文学系の 小説家・北上輝記が誘拐されたという一報が舞い込んで来た。小説を読まない 竜崎は知らなかったが、県警本部長の佐藤はファンだという。佐藤から、何として でも北上を無事に保護…

東川篤哉「博士はオカルトを信じない」(ポプラ社)

東川さん最新作。今回は、両親が探偵業をやっているオカルト好きの中学生男子と、 寂れた廃工場に住む、自称天才発明家のふたりが、オカルトまがいの事件に挑む 連作ミステリー。相変わらず、キャラも設定もゆるゆる(笑)。ツッコミ所満載 ですが、いいのい…

大倉崇裕「犬は知っている」(双葉社)

大倉さんの最新作。警察病院で患者の苦痛や恐怖を和らげるために常駐するファシリ ティドッグのピーボ。普段は小児科病棟で子供たちを癒やしているが、実はピーボ には裏の任務があった。それは、特別病棟に入院している瀕死の受刑者たちの 元へ行き、彼らが…

凪良ゆう「星を編む」(講談社)

2023年本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』の続編。人気ありすぎて、回って 来るのに時間かかりましたねぇ。ようやっと読めました。今年の本屋大賞にも ノミネートされているので、結果が出る前に読めて良かった~(発表は明日かな? ギリギリだった^^;…

ほしおさなえ「言葉の園のお菓子番 復活祭の卵」(だいわ文庫)

シリーズ第四弾。亡き祖母が通っていた連句会『ひとつばたご』に、祖母の代わりに 月に一度お菓子番として通う傍ら、ブックカフェで働き始めた一葉。歌人の久子 さんと小説家の柚子さんによるトークイベントが好評を博し、今度は短歌の書き方 指南のイベント…

藤崎翔「三十年後の俺」(光文社文庫)

元お笑い芸人の藤崎さんの文庫新刊。新刊なのは間違いないけれど、単行本が 文庫化されたもののようで、単行本時はこちらも作中の「『比例区は「悪魔」と 書くのだ、人間ども』」の方がタイトルだったらしい。長ったらしいタイトルだし 内容がわかりにくいか…

友井羊「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 巡る季節のミネストローネ」(宝島社文庫)

シリーズ第8弾。もう8巻なんですね~。そして、8冊目にして、ついに主人公 の理恵さんが、スープ屋しずくの店主・麻野さんに告白しました。長かった ですねぇ・・・。しかし、冒頭・プロローグの時点で告白した理恵さんでしたが、 『少し時間がほしい』と…

下村敦史「そして誰かがいなくなる」(中央公論新社)

下村さん最新作。乱歩賞でデビューされた下村さんですが、意外にも初の本格 ミステリーだそう。確かに、雪で閉ざされた洋館に集められた男女が殺人事件に 巻き込まれるという、設定からしてこってこてのクローズドサークルミステリー。 本格を何より愛するワ…

森見登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋」(中央公論新社)

久々のモリミーの新刊。楽しみにしていたのだけど・・・な、長かった・・・^^;; タイトルから推察できるように、世界に名だたる名探偵・シャーロック・ホームズ を題材に取り上げた意欲作。ただし、舞台はヴィクトリア朝の京都。洛中洛外で 活躍するホー…

青崎有吾「地雷グリコ」(角川書店)

ゆきあやさんに教えて頂いた、青崎さんの新作。今年のランキングを賑わせそうな 出来とのことで、これはもう、読むしかないでしょ!と即行で予約。ラッキーな ことに、予約なしで回って来て早めに読むことが出来ました。 いやー・・・、これは・・・めっちゃ…

「推理の時間です」(講談社)

雑誌メフィストの有料会員向けに行われたオンラインイベントが発端となり、 メフィスト誌上に掲載された読者参加型の謎解き企画を一冊にまとめたもの。 面白いのは、寄稿された作家さんご自身も、他の作家さんの問題編を読んで 推理し、解答しなければいけな…

「禁断の罠」(文春文庫)

『禁断の罠』をテーマにしたアンソロジー。米澤さん、有栖川さん目当てで借り ましたが、どれもなかなか面白かったですね。気になりつつも未読の作家さんの 作品も読めたので、収穫はあったかな。 誰かを罠にかける(かけられる)のがテーマなだけに、後味悪…

恩田陸「夜明けの花園 Dreaming Garden」(講談社)

恩田さん新作は、待望の理瀬シリーズ!アンソロジーではちょこちょこお目見え してましたが、こうして一作にまとまると嬉しいですね~。やっぱり、この不穏で 耽美で不条理な世界観がたまらない。あともう、装丁がヤバいくらい神がかってる (表現バグってて…

北村薫「中野のお父さんと五つの謎」(文藝春秋)

中野のお父さんシリーズ第4弾。今回も、文芸雑誌編集者の美希が、仕事先で 出会った本にまつわる数々の謎を、中野にいる元国語教師のお父さんに解決して もらいます。五作が収録されています。 北村さんらしく、文芸と落語が絡んだお話が多かったですね。一…

町田そのこ「夜明けのはざま」(ポプラ社)

町田さん最新作。地方の家族葬専門の葬儀社『芥子実庵』を舞台にした連作短編集。 町田さんって、こういう生と死を扱ったテーマを描くのがお好きですよね。今まで 読んだ限り、ほとんどの登場人物が『大切な人を失った』人ばかりという気がする。 今回もその…

櫻田智也「蟬かえる」(創元推理文庫)

昆虫マニアの魞沢泉が活躍する連作ミステリー第二弾。前作がなかなか良かったのと、 二作目は前作以上に良作との情報を得ていたので、読むのを楽しみにしていました。 文庫化されたばかりで予約がいなかったので、すぐ回って来てよかったです。 いやー、これ…

秋川滝美「深夜カフェ・ポラリス」(アルファポリス)

秋川さん新作(去年の11月発売みたいだから、もう新刊じゃない?^^;)。 大病院の近くに店を構える、深夜営業のカフェ『ポラリス』には、様々な事情を 抱えた客がやってくる。そうした悩みを抱える客たちに、明るく察しの良い店主は、 その人に合わせた…

友井羊「100年のレシピ」(双葉社)

友井さん最新刊。料理が下手なことが理由で彼氏に振られた理央は、料理上手に なれれば彼の気持ちが戻って来るかもしれないと考え、有名な料理研究家の 大河弘子が創設した料理学校に通うことに。そこで理央は、大河弘子の曾孫である 翔吾と出会う。高校を卒…

加納朋子「1(ONE)」(東京創元社)

加納さん最新作。出る情報全く知らなかったので、図書館の新着図書コーナーで 見かけて即予約。わーい、加納さんだー、と喜んでいたところに、内容紹介で 駒子シリーズの文字が・・・!!!えぇぇっ、あの駒子シリーズ!?今になって!? とびっくりしました…

伊坂幸太郎「777 トリプルセブン」(角川書店)

伊坂さん最新刊・・・とはもう、言えないかな^^;昨年の9月に出た作品なので。 予約に乗り遅れてしまって、結構待たされました。久しぶりの殺し屋シリーズ! 読むのを楽しみにしていました。前作では新幹線から降りられなかった不運な 殺し屋・七尾(天道…

東野圭吾「あなたが誰かを殺した」(講談社)

東野さん新刊・・・というには、大分出てから経っちゃいましたけど^^;東野 作品は、当日予約でも待たされるのに、今回は大分経ってからの予約になって しまったからなぁ。回って来るまで結構かかりましたね~。 『~殺した』シリーズ(勝手に命名)久しぶ…

名取佐和子「文庫旅館で待つ本は」(筑摩書房)

創業九十年を超える海辺の小さな老舗旅館『凧屋旅館』。そこは、様々な古書 を揃えた文庫が名物で、別名『文庫旅館』と呼ばれていた。 本は好きだが、アレルギーがあるため読むことが出来ないという特殊な体質を 持つ若女将は、宿泊客に、その人と同じにおい…

ほしおさなえ「紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所」(角川文庫)

この間読んだ月光荘シリーズに続き、こちらの紙屋ふじさき記念館シリーズも これで最終巻。好きなシリーズがどんどん終わっちゃってさみしいなぁ。でも、 こちらのシリーズも最終的には川越にあたらしい記念館が出来るので、サブタイトル 通り、新しいスター…

貫井徳郎「龍の墓」(双葉社)

貫井さん最新ミステリー。VRゲームと現実の殺人事件がリンクする長編ミステリー。 発端は、東京の町田市で身元不明の焼死体が発見されたことから始まります。事件 を担当する所轄刑事の安田真萩は、警視庁からやって来た捜査一課の南条をコンビ を組むことに…

よしながふみ「仕事でも、仕事じゃなくても 漫画とよしながふみ」(フィルムアート社)

漫画家・よしながふみさん初のインタビュー本、だそうです。実は私は、よしなが さんの長年のファンという訳ではありません。でも、ドラマ化もされて(現在も 続編が放映中ですね)大ヒットした『きのう何食べた?』は大好きで、今現在も 新刊を追いかけてい…

ほしおさなえ「菓子屋横丁月光荘 光の糸」(ハルキ文庫)

シリーズ第六弾にして、最終巻。家の声が聞こえる青年、遠野守人は、間借り している月光荘の二階をイベントスペースとしてオープンさせ、管理人として 忙しい日々を過ごしていた。しかし、自分と同じように家の声が聞こえる喜代さん が亡くなったことが想像…

古矢永塔子「ずっとそこにいるつもり?」(集英社)

はじめましての作家さん。なぜ本書を借りたかというと、新着図書欄の内容紹介 のところに、『アミの会短編アワード2022』受賞作の作品が入っている、と 書かれていたからです。アミの会で認められた作品ならきっと面白いだろう、と 思いまして。 いやい…

秋川滝美「ひとり旅日和 幸来る!」(角川書店)

シリーズ最新刊。読み始めて冒頭から驚きました。だって、一話目で日和が旅する 場所が能登半島なんだもの。微妙なタイミングで読む羽目になってしまった。 というか、日和が旅する観光名所がことごとく被害が大きかった場所で。のとじま 水族館や輪島の朝市…