ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

中西智明/「消失!」/講談社ノベルス刊

伝説の作家、中西智明さんの「消失!」。

伝統的に赤毛の血筋が多い街、高塔市で連続して起こった殺害事件。犯人の標的は全て‘赤毛
だった。そして、3つの赤毛殺害事件に共通するのは、死体と犯人の消失。犯人は赤毛の女
を憎む人物だった。不可解な殺害事件を解くことになったのは名探偵・新寺仁。彼が見破る
犯人の驚愕のトリックとは?そして、その裏に隠された真の驚愕な事実が明かされる――。


うおぉ~~~面白かった!!いやはや、いろんな所に騙されまくり、最後の最後でまさしく
‘やられた!!!’と思いました。さすが、伝説の作品と言われるだけありますね。
ラスト読んで細かく見返してみると、ちゃんとあちこちに伏線が隠されている。フェア
なんだけど、これは、見破るの無理だ~~~(どうせほとんどの作品は見破れないけども)。
なんか、何を書いてもネタばれになっちゃいそうで非常に書評が難しいですね。裕二の
正体については、さすがの私も気付きましたよ。でも他の二つは完全に騙されたし(バカ)、
その上その3つが・・・ああ、ダメだ。これ以上は書けないぞ。とにかく、良く出来た本格
ミステリでした。これ、22歳で書いたんですか。すごいなぁ。
伝統的に赤毛が生まれる街、なんて、どうも非現実的でファンタジックな設定に最初は弱冠
引いたんですが、まぁ、赤毛がポイントの作品なので、これは仕方ないかな。
死体と犯人の消失トリックも良く出来てたんですが、やっぱりラストで明かされる犯人に
びっくりしましたね~。そうか、あの部分が伏線に・・・いや、あの部分も、あれもか!
頭大混乱(笑)。
これは、本格ミステリというジャンルが好きな方には是非お薦めしたいですね。いろんな
意味で仕掛け満載のまさに‘本格ミステリ’です。構成が素晴らしいです。
作者の仕掛けた二重三重の罠に是非騙されてみて下さい。
といっても、この作品、すでに絶版扱いで、読もうとしても図書館か古本屋で探す以外に
ないようですが・・・。私が読んだ本もものすごい年季が入っていて、途中のページが
セロテープで止めてあるような惨状でした・・・可哀想に^^;普通だったらあんまり
手に取りたくない汚さでしたよ。でも、真犯人の名前とか最初のページに落書きしてなくて
良かった(笑)。

しかし、なんでこの人、消えちゃったんでしょうね~。これ書いて完全燃焼しちゃった
んでしょうか・・・もっともっといろんな作品を書いて、読者をたくさん騙して欲しいですよ。
中西さ~~~ん、カムバック~~~~。