ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

鯨統一郎/「タイムスリップ釈迦如来」/講談社ノベルス刊

邪馬台国はどこですか?」で世間を驚天動地に陥れた鯨統一郎さんの「タイムスリップ釈迦如来」。

不良生徒を更正させるべく創立された<<吉野ダイビングスクール>>の経営者にして教官の
吉野公彦は、インドの海でダイビング中に溺れかけた経験から、仏教に帰依した。吉野は、
スクールの問題児、麓麗という生徒のことが気がかりであった。そんな中、インド洋ダイビング
ツアーの日にちがやって来た。ダイビング講習の途中、案の定はぐれた麗を追った吉野だったが、
二人はそこで海に沈む難破船を発見する。好奇心から中に入ってみるが、水圧でドアが開かなく
なってしまう。絶対絶命に陥った二人だったが、何故か目が覚めると世界が変わっていたのだった。
タイムスリップシリーズ第3弾。

毎回よくぞこんなことを考えつくなぁという鯨作品ですが、今回もすごかった。あの釈迦如来
オカマでしかも莫迦だった・・・って、いいのか、そんな設定作って。その上、世界中旅して
老子ソクラテスまで弟子にしちゃうし。なんでもありだなぁ、って感じです。でも、そこが鯨作品。
馬鹿馬鹿しいと思いつつ、読んでしまうのですよねぇ。圧巻はソクラテス一団 V.S 釈迦一団の
演劇対決。ソッケン産婆に世界に一つだけの悟り(はな)。いくらなんでもそりゃなしだろうとは
思いましたが・・・笑いました。この替え歌は傑作ですよ。実際誰かに歌って欲しい位。
人によっては、本投げたくなるかも・・・?でも、それが鯨流なのです。抱腹絶倒間違いなし。
純粋にミステリが読みたい方にはお薦めしませんけれども。

鯨さんといえば、やはり「邪馬台国はどこですか?」シリーズ。とんでもない歴史の新説が
次々飛び出して、かなり驚かされました。「あり得ないだろう」と思いつつ、妙に納得してしまう
部分もあるからすごい。といっても、私は歴史のことにはあまり詳しくないから、素直に感心できた
のかもしれませんけど。
それにしても、この人の頭の中はどうなってるんでしょうねぇ。思いつきの天才だと思いますよ。