ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

上遠野浩平/「殺竜事件 A case of dragonslayer」/講談社ノベルス刊

上遠野浩平さんの「殺竜事件 A case of dragonslayer」。

竜はその世界では圧倒的な存在であった。人間が魔法文明を築き上げる前からそこにおり、
人々の繁栄や滅亡を見守って来た。その力は強大で、不死身で、人々の畏怖と憧憬の
対象であった。そんな絶対的な存在である竜が殺された。現場を発見した戦地調停士ED
と、風の騎士ヒースロゥ、特務大使レーゼは、その謎を解き戦争を止める為、竜に面会に来た
という人々を訪ねる旅に出る。期限は一ヶ月。それが過ぎればEDにかけられた呪いが彼を
死に至らしめる――果たして彼らの運命は!?


ルールバトンでゆきあやさんにお薦め頂いた上遠野さんに初挑戦。どうもアニメちっくな
表紙に引いてしまい、手が出なかった作家さんでした。これはシリーズの一作目に当たる
ようです。

さて本書。読んでる途中はもう完全にドラクエの世界。竜とか魔法とか仲間との旅とか。
まさに途中で止まったままのドラクエ爾鬚笋辰討い浸?竜せ?舛覇匹濘覆瓩胴圓ました。
こういう冒険の旅、みたいな設定は好きなのでなかなか楽しく読めました。ただ、途中
文章表現の稚拙さにひっかかるところがちらほら。この作品が何作目かはわかりませんが、
まだ書き慣れていない時だったのかなぁ。まぁ、嫌いな文章までは行かないし、主役三人の
キャラは好感が持てたので、この先も読み進めて行けそうです。特にEDのキャラが好き。
こういう飄々とした人間に弱い私・・・。ただ、冒頭にはさまれているイラスト、私の中の
三人のイメージと全く合わない!!このイラストはなかったものとして、私は勝手に自分の
中でキャラを創造して読んでました(苦笑)。ごめんなさい、金子一馬さん・・・。きっと
このイラストが好きで読んでる人もたくさんいるのでしょうね。内表紙の紹介文を読むと、
「ゲーム界が誇る当代最高の悪魔絵師」・・・す、すごい人じゃないか^^;;
成る程、ゲーム界!確かに、これ、このままこの絵でRPGのゲームに出来そう。そういう
話が実際あっても全然不思議じゃないですね。

ラストはちゃんとミステリになっていました。一体どうやって収拾つけるのかなぁと弱冠
不安に思っていたのですが。伏線もちゃんと張ってあったのですね。感心、感心。でもよく
考えると「え、○○○○にできるか~?(手を下した存在)」という疑問も出てくるような
・・・あんまり深く考えちゃダメか。

ドラクエやFFなどの冒険RPGが好きな方にはお薦めです。
それにしても、この作者の名前、かどのって読むんですねぇ。今まで適当にかみとおのだと
思ってました(図書館ではか行の辺りにあるので)・・・恥。