西尾維新さんの「化物語 上下」。
地獄のようだった春休みが終了し、悪夢のようなゴールデンウィークが明けたばかりの
五月八日、阿良々木暦が遅刻気味に校舎の階段を駆け上がっていると、丁度踊り場の
所で空から女の子が降ってきた――それが三年間同じクラスにして、いまだかつて
一言も言葉を交わしたことのないクラスメイトの戦場ヶ原ひたぎであった。受け止めた
暦は一瞬にして彼女の秘密を知ってしまった――彼女にはここに存在しないかのように、
およそ体重と呼べるものが全くと言っていいほど、なかったのである。西尾維新が贈る、
現代の怪異譚。
たいりょうさんお待たせしました^^正解はこれ、「化物語」でした。
という訳でお気に入り登録させて頂いているたいりょうさんが絶賛されていた本書。その
熱意に負けて、苦手な西尾さんに久しぶりに再挑戦してみました。これがまぁ、面白かった。
ただ、正直第一話の途中までは登場人物の人格設定や会話についていけず、「やばい、
やっぱりこの人の文章ダメかも・・・」と思いかけたことは確か。でも、とにかく会話文が多くて
読みやすいは読みやすいので、そのまま読んでるうちにだんだん慣れて行き、そのうちに
その会話こそがツボにはまってきちゃいました。だってねぇ、ほんとに意味がないんですよ、
会話に!とにかく主人公の阿良々木が出会う人全てに対してツッコミまくる。そして相手は
ボケまくる。時には逆になり・・・もうなにがなんだか。意味が全くないけど、ついつい
噴出しちゃう、みたいな。あとがきで作者ご自身が「100パーセント趣味で書いた」と
おっしゃっているように、会話文の全に作者の趣味が繁栄されています。まぁ言ってみれば
掛け合い漫才を延々と読まされているような感じです。基本的には人間の心に付け入る化け物
を阿良々木が謎の人物忍野の協力を得て退治するというのが骨子なのですが、印象としては
その部分はつけたしに近いような^^;多分、登場人物同士の意味のない会話を省いて
スムーズに妖怪退治を行えば、この作品、間違いなく一冊(それもかなり薄い本)で事足りる
ことでしょう(何せ、上下巻合わせて800ページ以上、しかも二段組という長さ!)。
でもそれだとこの作品の魅力は半分以下になるでしょうね。やはりキモとなるのは会話文の妙。
この部分が受け入れるか受け入れられないかで、この物語の印象は180度違うのではない
でしょうか。
でまぁ、私はまんまとツボにはまって、ついつい笑ってしまいました。特に阿良々木とひたぎの
会話、阿良々木と神原の会話が最高。ひたぎと神原のキャラの立ち方は半端じゃありません。
こんな稀有な存在が同じ高校に存在するとは!!ありえないっつーの!(花男風(笑))
もちろん「いい加減にしろ!」って言いたくなることも多々ありましたけどね。だって
切迫した状況なのになぜか掛け合い漫才が始まって、ちっとも物語が進まないんですから。
「その会話してる間に、人一人助けられるだろ!」などといった読者からのツッコミが入る小説
というのも珍しい(苦笑)。でも読んだ人には絶対この気持ちわかってもらえると思う。
一つ不満を言うなら、阿良々木少年の‘春休みに起こった出来事’が結局詳しく語られなかった
こと。彼はいかにして吸血鬼となったのか?忍との出会いの部分はちゃんと書いて欲しかった
ですね。それを言ったら羽川さんの猫騒動もだけど^^;なんとなく意味深な書き方で
ぼかされちゃったので、ちょっと消化不良。
とにかく突っ込み所満載の本書ですが、なんだか変でとても面白い世界でした。はまる人はどっぷり
はまる西尾ワールド。私のように戯言シリーズで挫折した人間(汗)でも楽しめたので、これから
西尾さんを読んでみるのも良いかもしれません。ただ、意味のない会話文に辟易する場合も
多々ありますのでご注意を(苦笑)。
たいりょうさん、お薦め頂きありがとうございました!楽しい作品でした。西尾さんを
見直すきっかけに・・・なったかも??