ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

有川浩/「図書館戦争」/メディアワークス刊

有川浩さんの「図書館戦争」。

公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる「メディア良化法」が成立・施行
されている現在。メディア良化法の検閲権に唯一対抗できる勢力が図書館であった。
そして双方は激しく対抗し、良化隊員と図書館員間の抗争で死傷することすら超法規的
解釈がなされていた。そんな中、武蔵野第一図書館に配属された笠原郁。至上初の女子
防衛員として採用された。血気盛んで志だけは立派、直属の上司・堂上とはことあるごとに
衝突してばかり。そんな郁が防衛員を目指したのは、高校の頃のある事件がきっかけだった
――刈られる本を守る為、走れ、図書館員!


えー。実は図書館予約がすごいので予約すらしてなかったんですが、友人の所に回って
来たのを回してもらって思いの他早く手に取ることが出来ました。またしても友人M
ちゃんありがとう~^^

が、しかーし。この本でもひねくれ偏屈読書人、ブラックべるこが登場・・・。
うーん、うーん・・・・。いや、それなりに面白かったです。でも、正直、期待していた
だけに期待はずれな所も大きかった。一番ひっかっかったのは文章。読みやすいとも
いえるのかもしれないけれど、はっきり云ってラノベレベルを出ていない。確かにこの方、
出身はラノベだし、ネット検索してみるとこのメディアワークスというのもラノベ系の
出版社なんですね。だからまぁ、その辺り突っ込んじゃいけないのだろうけれども。
とにかく会話文がこそばゆすぎる・・・。漫画やラノベだったら許されると思うけど・・・。
「私の王子様」って・・・そんなの上司に向かって豪語する人間がいるとは(絶句)。
それに、図書館と良化委員会の間に抗争が起きるという設定はわかるのだけど、それが
兵器を使った戦争に発展するというのがよくわからない。図書館員=自衛隊みたいな位置
づけになってしまうのはやっぱりどう考えても無理がある気がしました。まぁ、そこまで
考えて読んじゃ駄目なんだろうけど。なんだか、設定だけが先走りしてしまい、それに伴う
説得力が欠けているように感じられてなりませんでした。

良かったのは郁と堂上の微妙な恋愛部分。先の展開はまぁほとんどの人が読めてしまう
でしょうけど、少女マンガ好きとしてはこういうベタなのが実にいい。堂上はカッコイイ
ですねぇ。郁のわかりやすい性格もいいですね。この二人の意地っぱりな平行線の関係
が今後どうなるのかは気になります。著者があとがきで「月9を目指した」と言うような
ことをおっしゃってますが、確かにこの恋愛部分だけクロースアップすればまさに月9風
と言えそうです。でも月9で戦争シーンはまずいんじゃないのかなぁ・・・。

図書館好き、本好きの心をくすぐるような設定と恋愛のドタバタを楽しむにはいいかも
しれないけど、本屋大賞候補になる程の作品かと言われると首をかしげてしまいますね。
あ~あ、この本のファン多いのに、また敵作っちゃうんだなぁ、私は・・・(ひねくれ者)。
すいません、すいません。好きな方が多いのもわかるのです。でも私にはそれ程の傑作とは
思えなかったということです・・・。でも次も借りられたら読みますよ(お前は読むな!と
言われそうだけど・・・でも二人の恋愛が気になるんだもん)。