ミステリ読書録

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浦賀和宏/「女王暗殺」/講談社ノベルス刊

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浦賀和宏さんの「女王暗殺」。

幼い頃から心臓に疾患を抱え、二度の心臓手術の末生きながらえて来た武田誠。そんな誠の唯一の
心の拠り所は美しい母だった。しかし、ある日突然母が何者かに殺されてしまう。死の間際に
母が携帯ごしに残した言葉は「1101(イチ、イチ、ゼロ、イチ)」の数字――そして、母を
失った誠の前に現れた記憶喪失の女。誠は彼女に母と同じ『理穂』と名前をつけ、一緒に暮らし
始める。次第にお互いに惹かれ合う二人だったが、幸せは長く続かない。誠の心臓を奪いに
怪しい人物に付け狙われることに。壮大な陰謀の陰には驚愕の真実が隠されていた――!シリーズ
第二弾。


うひー。長かったぁ。読みやすいから読むこと自体は苦じゃないのですが、相変わらず物語の
2/3くらいは登場人物の被害妄想とか自虐とかで埋め尽くされているので、純菜シリーズや
前作と読んでる途中の感想がほとんど同じ^^;この人って、基本的におんなじ思考回路の
キャラしか主人公に出来ないのかしらん、と思ってしまうくらい。主人公の顔が良くても悪く
ても、考えることがほとんど一緒ってのはどーしたものか・・・。まぁ、ヤギメェメェほど
酷くはなかったけれど、今回出て来た武田も久能も、どこまで行っても自分を卑下してマイナス
思考なので、さすがに途中辟易しました。武田なんか、ことあるごとに仕事をしていない自分に
罪悪感を覚えるものだから、そんなに後ろめたいなら働けば?って何度ツッコミたくなったこと
か・・・。まぁ、病気持ってて、定期的にお金が入ってくる身分だったら仕事なんかしたくない
気持ちもよーくわかるんですけどね。だったら、開き直って堂々としてりゃいいのに、とついつい
思ってしまいました。確かに、そういう性格だったらもっと嫌悪感でうんざりしてたかもしれない
けど(どっちだよ^^;)。

でも、終盤の畳み掛けるような真実の噴出はなかなかミステリとして読ませてくれました。これが
あるから浦賀作品はやめられないのよね。意外な真実が次から次へと明かされて、唖然呆然。
カンナには絶対何らかの秘密があると思っていたけれど、こう来たか!という感じでした。久能
への態度はどう考えても不自然でしたからねぇ。
でも、一番驚いたのはやっぱり記憶喪失の『理穂』の正体かなぁ。なんとも浦賀さんらしい真相
というか・・・全く救いがないですが・・・。確かに完全に騙されていましたけれど。
なかなか壮大な仕掛けになっていて、スケールの大きな作品でした。
それにしても、祥子、怖すぎ。何なのこの人ほんとに。夢に出てきそうだよ・・・。

そして、そして、何より嬉しかったのは長い長い物語の果てに不意に出現するあのお方の名前!!!
ついに、ついに、ついにですかーーーーー!!!
前作を読んだお仲間ブロガーさんがことごとく「出てこない気がする」と不吉な感想を述べて
いらっしゃって、このシリーズへのテンションがかーなーりー、下がっていたのですが、
ここで一気に上昇しましたよ。このシリーズへの期待がっ。次作では出て来るんですよね?
来ますよねっ。っていうか、出してくれーーー(懇願)。○○○○になってるってのが
何とも気になる名前の出し方ではありますけれど^^;;;(そのまんまの状態でシリーズ
終了まで、とかほんと勘弁してねって感じですよ^^;)













以下ネタバレあります。未読の方はご注意下さい。















記憶喪失の『理穂』の年齢には全く意識が行かなかったです。完全に誠と同じくらいの年だと
思って読んでました^^;誠も『君』って呼んでるし・・・。伏線になりそうな外見上の記述って
あまりなかった気がしますが(読み逃してただけ?)。でも、実際若く見えるから誠自身も
そんな年齢だと気付かなかったのか、それとも敢えて年齢には目をつぶって付き合っていたのか・・・
やっぱり(育ての)母親と同じような年齢だったからこそ、惹かれたと考えた方がいいのでしょうか。
保守党総裁の藪木が40歳代だけど20歳代にしか見えない、というのが伏線になっているのかな。
彼女がいくつで誠を産んだのかわからないので、実年齢がわからないのですが・・・40近い
のは確かですよねぇ。新理司って、前作で出て来ましたっけ・・・覚えがあるような、ないような^^;















いやぁ。次回作が非常に楽しみですね!彼は出て来るのでしょうか。これでまた名前だけだったら
泣きますよ、ホントに^^;